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商法(総則・商行為)

T商行為

基本的商行為

絶対的商行為(501)

営業的商行為(502)

補助的商行為

附属的商行為(503)

絶対的商行為(501)

商人でないものが行っても商行為となる

投機購買及びその実効行為(501条1号)

対象物:動産・不動産・有価証券

投機意志:物を取得した時点にあればよい、その後は関係ない

有償の法律行為であること、原始産業は該当しない

投機売却及びその実行行為(5012)

先物取引

対象物:動産・有価証券

営業的商行為(502)

商人でないものが行っても商行為とならない

営業トシテ為ス

営利の目的を持って、同種の行為を反復的・継続的になすこと

適用除外行為(502条但書)

専ら賃金を得る目的でものを製造し、または労務に服するものの行為

投機貸借及びその実行行為(502条1号)

ex:各種レンタル業

客の来集を目的とする場屋の取引(5027号)

ex:飲食店・旅館・劇場・遊園地などサービス業

両替その他の銀行取引(5028号)

受信行為と与信行為の双方を行なう

保険(5029号)

相互保険・社会保険は含まれない

付属的商行為(503条)

商人が営業のためにする行為(503条1項)

要件

商人であること(固有の商人(4条1項),擬制商人(4条2項))

営業の為にする行為(5031項)

営業の為にすることと推定(5032項)

準商行為(523条)

固有の商行為ではないが、商行為法の諸規定が準用される行為(523条)

民事会社(522項)

営業の為にする行為〜5031

営業として為す行為〜501.502条にあたらない

           |

          523条により商行為法準用

民事会社(522項)以外の擬制商人(42項)

営業の為に為す行為〜5031

営業として為す行為〜501502条にあたらない

           |

          523条を類推適用

公法人の商行為

法令に別段の定めがないかぎり商法を適用(2条)

一方的商行為(3条)

当事者の一方が商行為である場合、商法を適用(31項)

当事者の一方が数人である場合、その一人のみが商行為である場合も全員に商法が適用(32項)

U商人

固有の商人(41項)

擬制商人(42項)

自己の名において営業する主体で、商法の適用上、区別はない

固有の商人(41項)

本法ニ於イテ商人トハ自己ノ名ヲ以テ商行為ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂ウ

自己ノ名ヲ以テ

自己が法律上その行為から生ずる権利義務の主体となること

商行為ヲ為ス

501502条の商行為

業トスル

1       営利の目的

2       同種の行為を計画的に反復・継続して行なう

擬制商人(42項)

商行為を営業とする者ではないが、その経営形態・企業的設備に着目して商人と認められる者

1 店舗その他これに類似する設備により物品の販売をなすを業とする者(42項前段)

ex:原始取得したものを販売するもの

2 鉱業を営むも者(42項前段)

3 民事会社(42項後段・522項)

商行為をなすを業とはしないが、会社という企業経営組織をとっている(522項)

* 商事会社(521項)

商行為を業とする会社

小商人(商法中改正法律施行法3条)

資本金が50万円に満たない商人かつ会社でない

V商人適格

商人適格

1 自然人

2 営利法人(会社)

商事会社(521項・41項)、民事会社(522項・42項)、有限会社(有12条)

設立登記により商人資格を取得(57条、有4条)

清算事務の終了により商人資格を喪失(116条、147条、4301項、有751項)

3 非営利法人

公法人 ex:都バスなど

公益法人 ex:学校法人・宗教法人など

中間法人〜商人適格を否定 ex:各種協同組合、証券取引所など

商人適格の取得時期

会社

設立登記したとき(57条)

自然人

開業準備行為をなした段階で行為者を商人と認め、当該行為は付属的商行為(503条)となる

T商業使用人

雇用契約により特定の商人に従属して、その対外的な商業上の業務を補助する者

代理権をもつ〜対外関係の業務につき営業主を代理して行動し得る地位

簿記係、職工は含まれず

制度の趣旨

商業使用人の代理権の発生・変更・消滅及び範囲を規制して、取引の円滑・安全を図ること

種類

支配人(38条1項)

営業に関する全般的な包括的代理権を有する者

ex:支店長

番頭および手代(43条)

特定された部分的営業の裁判外の行為につき包括的代理権を有する者

ex:部長、課長

物品販売店舗の使用人(44条)

店舗内の物品の販売代理権を擬制される者

U支配人

営業主に代わり、その営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する商業使用人(381項)

名称によらず、営業から営業に関する包括的代理権(支配権)を付与されているか否かによる

選任

選任者

営業主たる商人

支配人選任に関する特別の授権がない限り、他の支配人を選任する事はできない(382項の反対解釈)

非選任者資格

自然人(行為無能力者でもよい(民102条))

株式会社・有限会社の監査役は、会社・子会社の支配人はできない(276条、有341項)

終任

代理権の消滅(民111651654条)

雇用契約関係の終了(民651653条)

*営業主の死亡は支配人の代理権の消滅事由とならず(506条)

登記義務

支配人の選任、終任を必ず登記(40条)

   |

登記を怠ると、善意の第3者に対抗できない(12条)

10条の例外〜支配人を置いた営業所の所在地でしなければならない

代理権(支配権)の特色

包括性(38条1項)

営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為

営業の廃止・譲渡などの営業そのものを処分する行為はない

営業主の営業に関する行為であるか否かは、行為の客観的性質により判断

不可制限性(383項)

支配人の代理権に制限を加えても、善意の第3者に対抗することができない

*裁判上〜訴訟行為

 裁判外〜私法上の適法行為

共同支配人(39条)

数人の支配人が共同してのみ代理権を行使すべき旨を定めることができる(391項)

能動代理〜常に共同

受動代理(意思表示の受領)〜1人でもOK392項)

登記義務(40条)

義務

善管注意義務(民644条)

不作為義務(411項)

競業避止義務(411項)

自己若ハ第三者ノ為ニ、営業主ノ営業ノ部類ニ属スル取引ヲ為スコトヲ得ズ
営業の補助的行為は含まれない

営業禁止義務(精力分散防止義務)(411項)

支配人ハ営業ヲ為シ、会社ノ無限責任社員、取締役若ハ他ノ商人ノ使用人ト為ルコトヲ得ズ

義務違反

営業主は支配人に対して損害賠償を求め(民415条)or解任(民628651条)

But、取引行為は無効にならない

介入権の行使(412項)

介入権

支配人が営業主の許諾なく、自己のために営業主の営業の部類に属する取引をなした場合、営業主はその取引が自己のためになされたものとみなすことができる(412項)

自己ノ為ニ

自己の計算において(名義を問わない)

行使期間

営業主がその取引を知った時から2週間以内に行使しないとき、又は取引の時から1年を経過したときは消滅(413項)

表見支配人(42条)

本店又ハ支店ノ営業ノ主任者タルコトヲ示スベキ名称ヲ附シタル使用人ハ之ヲ其ノ本店又ハ支店ノ支配人ト同一ノ権限ヲ有スルモノトミナス但シ裁判上ノ行為ニ付テハソノ限リニ在ラズ

趣旨

権利外観理論ないしは禁反言の定理に基づき、かかる取引相手の信頼を保護し、もって取引の安全を図るため

要件

1 本店又は支店の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人の行為

2 営業主が当該使用人に名称の使用を許諾していること(帰責性)

  明示的・黙示的であるを問わない

  営業主が使用人の勝手な使用を知りつつ放置しているときも可

3 相手方の善意無重過失

4 裁判外の行為

V商業登記

意義

 商法及び有限会社等の規定に基づき、商業登記簿になす登記

趣旨

 企業取引の円滑と安全を確保すること

登記事項

絶対的登記事項

 登記を怠ると、登記義務者はその事項をもって善意の第三者に対抗することができない(消極的公示力:12条)

 会社の場合、登記を怠ると一定の者に過料の制裁が課される(49811号、有8511号)

相対的登記事項

 登記するか否かは自由

 しかし、いったん登記すると、その変更・消滅は必ず登記することを要す(15条)

通則

 本店の所在地において登記すべき事項は、支店の所在地においても登記しなければならない(10条)

例外〜支配人の登記(40条)

登記手続

当事者申請主義(915条、商登1416条)

@                    当事者の申請により

A                    管轄登記所において

B                    登記官が、商業登記簿に記入

登記官の審査権

形式的審査主義(現行法の立場・商登24条)

 申請された事項が登記事項であるか、その登記所の管轄に属しているか、申請書等が法定の形式を具備するかについて審査する権限・義務

実質的審査主義

 申請された事項が形式的審査主義に加え真実であるか否かについてまで審査する権限・義務

効力

一般的効力(12条)

消極的公示力

 登記すべき事項は、登記(及び公告)の後でなければ、実態法上成立しまたは存在していても、善意の第三者に対抗できない(12条前段)
善意〜過失の有無を問わない

積極的公示力

 登記すべき事項が成立しまたは存在している時、これを登記した後は、その事項を善意の第三者にも対抗できる
登記後であっても、第三者が正当の事由によってこれを知らなかったことを証明すれば、当事者は登記事項をこの第三者に対抗することができない(12条後段)
正当の事由〜客観的障害(風水害など)
        主観的事由(病気など)×

12条適用範囲

 登記事項には、本店のほか支店で登記するもの(10条)と支店のみで登記するもの(40条)があるが、いずれの場合も、登記の効力は各営業所ごとに生じる(13条)

不実登記(14条)

意義

 故意または過失によって不実の登記をしたものは、それが不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない

趣旨

 権利外観理論ないしは禁反言の法理に基づき取引の安全を図るとともに、登記への信頼を保護し、商業登記制度の公示的機能を保証することである。

要件

 真実と異なる登記(不実の登記)があること(概観の存在)
 不実の登記の作出につき、登記申請者に故意または過失があること(帰責性)
*登記官の過誤による不実の登記や第三者が勝手になした不実の登記には、14条は適用されない

W商号

意義

自己を表示する為の名称(商標・営業標ではない)

選定

商号自由主義(現行法の立場)

商号の譲渡・相続を認める(英米法系)

商号真実主義

商号の譲渡・相続を認めない(フランス法系)

商号自由の原則(16条)

 商人はその氏、氏名その他の名称をもって商号となすことが出来る

商号自由の制限

会社の商号についての制限(17条、有31項)

 会社は、その商号中に会社の種類に応じて、それぞれ合名会社、合資会社、株式会社、有限会社なる文字を用いなければならない

会社ではない者の商号の制限(18条、有32項・86条)

 会社でない者は、その商号中に会社たることを示すべき文字を用いることはできない

不正目的による商号使用の禁止(21条)

 何人とも、不正の目的をもって、他人の営業と誤認せしむべき商号を使用することはできない(211項)
 勝手に名称を使用されたその他人は、この禁止に違反する不正使用者に対して、その商号使用の差止および損害賠償を請求することができる(212項)
 不正使用者は過料に処せられる(22条)

商号単一の原則

 一個の営業については一個の商号しか有することができない

不正競争防止法による周知商号の使用禁止(不正競争防止法2112号)

 行為の差止(同3条)、損害賠償(同4条)、信用回復措置(7)を請求できる

登記

商号登記制度の趣旨

 社会的・経済的には営業の同一性を表示し、その信用の標的となる機能

登記義務の有無

個人商人

登記しない、自由

会社

設立登記事項(6411号・1491項・632項、18821号・16612号、有1321号、62号)

商業登記の効力

公示力(12条)

同一商号の登記排除(19条)

 商号が登記されたときは、同市町村内において、同一の営業のために、他の者がこれと同一の商号を登記することができない(19条)
 同一の商号とは、全く同一の商号のみならず、それを判然区別できない商号も含む(商登27条)

不正競争目的による同一・類似商号の使用排除(20条)(202項〜立証責任の転換)

使用差止請求
損害賠償請求
不正競争の目的で、他人が登記した商号と同一または類似の商号を使用する者は、過料に処せられる(22条)

商号権

商号使用権

 商人がその商号につき他人によりその使用を妨げられない権利

商号専用権

 他人が同一または類似の商号を不正に使用するのを排斥する権利

*商号使用・専用権は、商号登記の有無に関わらず、事実上の商号選定・使用によって生じ、登記商号と未登記商号で差異はない

譲渡・相続

商号譲渡の制限

 商号は、原則として単独で譲渡することはできない
 営業とともにする場合、または、営業を廃止する場合には、譲渡することが認められる(241項)

対抗力

 商号の譲渡を第三者に対抗する為には、商号の譲渡に関する登記が必要である(242項)

廃止

 商号の登記をなしたものが正当の事由なくして2年間その商号を使用しないときは、商号を廃止したものとみなされる(30条)

名板貸し(23条)

名板貸

 他人に対して、自己の氏名や商号を使って営業をなすことを許諾すること

名板貸人

名義を貸与する者

名板借人

名義貸与を受けた者

23

 権利概観理論ない禁反言の法理に基づき、営業主体を誤認した取引相手を保護し、もって取引の安全を図るため、一定の場合に名板貸人に責任を負わせるものとしている

23条の要件

 名板借人が名板貸人の名義を使用して独立に営業をなすこと(外観の存在)

商人性〜名板貸人は商人でなくてもよいが、名板借人は名板貸人の名義を自己の商号として営業をなすことから、商人でなければならない

自己の名称を使用して営業をなすことの許諾(帰責性)

営業をなすことの許諾
明示・黙示の許諾
相手方が名板貸人を営業主ないし取引主体と誤認したこと(相手方の善意・無重過失−外観への信頼)

23条の効果

取引先によって生じた債務−責任を負う

不法行為によって生じた債務−(交通事故など)負わず

              (詐欺など)負う

許諾(営業)の範囲を超過する場合−負わず

T営業の譲渡

営業

主観的意義における営業

 商人の営業上の活動

客観的意義における営業

 一定の営業目的により組織化された有機体としての機能的財産(営業財産)

営業の特別財産

 個人商人の営業財産は、債権の目的とはなりうるが、営業の特別財産性は認められない

営業譲渡

意義

 一定の営業目的により組織化された有機体としての機能的財産の移転を目的とする債券契約である

移転する財産の範囲

各個財産のみの譲渡は営業譲渡ではない

営業がその同一性を維持しながら移転される必要

支店のみの営業譲渡も可(一部譲渡 245条1項1号、有40条1項1号)

効果

当事者間における効果

営業財産を移転する義務

債権契約
  |
対抗要件の具備
動産〜引渡(民178条)
不動産・商号〜登記(民177条、商242項)
株式〜名簿の名義書換(2061項)
指名債権〜債権者に対する通知または債務者の承諾(民467条)

競業避止義務(25条)

特約なし
同市町村及び隣接市町村において、20年間、同一の営業をなすことができない(251項)
特約あり
同一府県及び隣接府県内で、かつ、30年を超えない範囲においてのみその効力を有する(252項)

営業上の債権者に対する関係

譲受人が譲渡人の商号を続用する場合(26条)

 債務引受の手続(債権者の承諾)をとらなければ、営業上の債務は依然として譲渡人のもとに存ずる
趣旨
 26条は、営業譲渡に伴う債権者の誤認を救済するため、商号の続用という定型的な要件のもとに譲受人の外観責任を認め、このような譲受人に弁済責任を課した
内容
 商号の多少の変更可(「新」の字句が付け加わった場合は、債務を承継しない)
 262項により、譲受人が債務を負わない有無を登記した場合、通知した場合は弁済の責任を免れる

商号の続用はないが、譲受人が債務引受の広告をした場合(28条)

 債務引受の広告をした場合、28条は、禁反言の法理に基づき、譲受人に弁済義務を課した

徐斥期間(29条)

 26.28条の場合、譲受人の責任は、営業譲渡のなされた後2年内に請求または請求の予告をしない債権者に対しては、2年を経過したとき消滅する

営業上の債権者に対する関係(27条)

 27条は、譲渡人の営業によって生じた債権の債務者が譲受人に対してなした弁済は、たとえその債権が譲渡されていないときでも有効なものとする

内容

 債務者が営業譲渡につき善意無重過失である限り有効なものと取扱われる(27条)

T商行為法通則

商行為の営利性

報酬請求権(512条)

 商人がその営業範囲内において、他人のためにある行為をなしたときは、特約がなくても相当の報酬をすることができる

*無償原則(民648656665条、702条)

消費賃借の利息請求権(5131項)

 商人間の金銭の消費賃借については、特約がなくても貸主は法定利息の請求をすることができる

*民法では無利息(民587条)

立替金の利息請求権(5132項)

 商人がその営業の範囲内において、他人のために金銭を立替えたときは、当然に立替日以後の法定利息を請求することができる

*民法ではできない(民6501項・665条)

商事法定利率(514条)

 年6分

*民事法定利率(民404条) 年5分

商行為の代理と委任

代理方式(504条)

非顕名主義(504条)

 代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効力を生じる

*顕名主義(民991項・100条)

 相手方が本人のためにする行為であることを知らない場合には、代理人に対しても履行を請求できるものとしている(504条但書)

代理権の消滅事由(506条)

 商行為の委任による代理権は、本人の死亡によって消滅しない

*民法では消滅する(民11111号)

受任者の権限(505条)

 善管注意義務(民644条)を明確にした注意規定

商事契約の成立

契約の成立要件

 申込に対する相手方の承諾(意思表示)により成立

対話者間の申込の効力(507条)

 対話者間において、承諾期間の定めなく契約の申し込みを受けた者が、直ちに承諾をしないときは、申込はその効力を失う

隔地者間の申込の効力(508条)

 対話者間ではない当事者、すなわち隔地者間において、承諾期間の定めなく契約の申込を受けた者が、相当の期間内に承諾の通知を発しないときはその申込は効力を失う

 この期間をすぎて承諾の通知を発した場合、契約は成立しないが、申込者は、その承諾を新たな申込とみなすことができる(5082項、民523条)

申込に対する諾否通知義務(509条)

 承認が平常取引をなす者から、その営業の部類に属する契約の申込を受けたときは、遅滞なく諾否の通知を発することを要し、もしこれを怠ったときは、申込を承諾したものとみなす

送付物品の保管義務(510条)

 商人がその営業の部類に属する契約の申込を受けた場合において、申込とともに物品を受け取った時は、その申込を拒絶したときでも、申込者の費用でその物品を保管する義務を負う旨を規定する

 その物品の価額が保管の費用を償うに足りないとき、または、商人がその保管によって損害を受ける場合は保管義務はない(510条但書)

*民法には保管義務はない

商事債権の担保

多数債権者の連帯(5111項)

連帯債務

人的担保を強化し、商事債務の履行を確保

*民法では分割債務の原則(民427条)

保証人の連帯(5122項)

 保証人がある場合において、@主たる債務者の商行為によって生じたとき、または、A保証が商行為であるときは、主たる債務者が及び保証人が格別の行為をもって債務を負担したときでも、その債務は、各自連帯してこれを負担する

*民法では補充制(民446条)、催告の抗弁権(民452条)、検索の抗弁権(民453条)をもつ

流質契約の許容(515条)

 商行為によって生じた債権を担保に設定した質権について、流質契約を締結することを認めている

*民法では流質契約を禁止している(民349条)

商事留置権

商人間の留置権(521条)

 商人間において、双方のために商行為たる行為によって生じた債権が弁済期にある場合、債権者は、別段の意志表示がない限り、弁済を受けるまで、その債権者との間の商行為によって自己の占有に帰した債務者所有のものまたは有価証券を留置することができる
 一般的牽連性
 商人間の商行為によって生ずる債権一般と、その両者間の商行為によって債権者が占有を取得した債権者の所有物一般をいう
*民法は個別的牽連性(民2951項)

代理商・問屋の留置権(51条、557条)

 代理商・問屋の留置権は、債権と物との個別的牽連性が必要とされない点で、商人間の留置権と同様

運送取扱人・運送人の留置権(562条、589条)

 運送取扱人・運送人の留置権は、債権と物との個別的牽連性が必要とされる

商事債権の消滅

債務履行の場所(516条)

一般の債務

 債権者の現時の営業所(債権者の住所)

特定物債権

 行為の当時その物の存在した場所

指図債権・無記名債権

 債務者の現時の営業所(債務者の住所)

債務履行の時間(520条)

 商行為による債務の履行については、法令または慣習により取引時間の定めがある場合、その取引時間内に限り債務の履行をなし、または、その履行の請求をなしうる

*民法〜信義誠実の原則(民12項)

消滅時効(522条)

 商法に特別規定がある場合および他の法令で商法より短い時効期間の定めがある場合を除いて5

*民法〜10年(民1671項)

商事寄託(593条)

 ただで預かっても善管注意義務

有価証券に関する特則

有価証券の呈示(517条)

 有価証券のうち指図証券および無記名証券については、証券の呈示があるまで、履行遅滞の責任を負わない

有価証券の喪失(518条)

 証券を喪失したものは、公示催告の申立をなしたときは、債務者に目的物を供託させたり、証券喪失者が担当の担保を提供したうえで証券の趣旨に従った履行をさせることができる

有価証券の譲渡と善意取得(519条)

 手形法12条〜14条および小切手法52項・19条・21条の準用

U商事売買

売主の供託権・自助売却権

 商人間の売買において、買主が売買の目的物を受け取ることを拒みまたは受取ることができないときは、売主は目的物を@供託し(供託権、5241項前段)または、A相当の期間を定めて受取を催告した後、これを競売することができる(自助売却権、5242項)ただし、これらの場合には、遅滞なく買主に通知する必要がある

 さらに、B売買代金の弁済期が到来していれば、その代価を供託せずに、その全部または一部を売買代金に充当することができる(5243項)

買主の目的物の検査および通知義務

 商人間の売買において、買主は目的物を受け取ったときは、@遅滞なくこれを検査し、A瑕疵または数量の不足を発見したときは直ちに(直ちに発見できない場合は、受領後6ヶ月以内)売主に対してその通知を発しなければ、B売主がその瑕疵または数量不足につき善意の場合(5261項前段)にはその瑕疵または数量不足によって、契約の解除または代金の減額、もしくは、損害賠償を請求できなくなる(5261項前段)

買主の目的物保管・供託・競売義務(527条・528条)

@買主が検査および瑕疵の通知をして目的物の瑕疵・数量不足により契約を解除した場合(5271項・5261項)、品違い・数量超過の場合(528条)

A売主が善意(5262項)

B売主と買主の営業所が同一市町村内に存在しないとき(5273項)

 

 売主の費用をもって相当の期間保管または供託しなければならない(5271項)

緊急売却(5271項但書)

確定期売買(525条)

 確定期売買の場合、当事者の一方が履行しないでその期限を経過したときは、相手方が直ちに履行を請求しない限り、契約を解除したものとみなされる

V交互計算

意義

 交互計算とは、商人間または商人と非商人との間で平常取引をなす場合において、一定の期間内の取引から生ずる債権債務の総額について一括相殺をなし、その残額の支払をなすべきことを約する契約である(529条)

交互計算契約の当事者

少なくとも当事者の一方は商人であること

附属的商行為に属する

一定期間内に相互に債権債務を生ずるような継続的取引関係にある者

交互計算の対象

交互計算期間〜特約がないときは6ヶ月(531条)

対象外の債権

金銭債権以外の債権

手形その他の有価証券上の債権

効果

交互計算契約の消極的効果

 交互計算期間中に相互に発生した債権債務は、その独立性と個性を失い不可分一体のものとして全体に結合され、個々の債権の行使は許されなくなる(交互計算不可分の原則)

 交互計算不可分の原則の例外(530条)

交互計算契約の積極的効果

 期間満了時に集団的差引計算がされ、その差額について残額が独立した債権として成立・確定するためには、債権債務の各項目を記載し残額を算出した計算書の承認(532条)が必要

終了

契約の一般的終了原因によって消滅

任意解約(534条)

法律上当然の終了(破66条、会社更正107条)

T代理商

意義

 代理商とは、商業使用人ではなくして、一定の商人のために平常その営業の部類に属する取引の代理(締約代理商)または媒介(媒介代理商)をなすことを業とする者をいう(46条)

特定の商人の補助者

本人との間の継続的な関係の存在

商人の営業の部類に属する取引の代理または媒介をなす者

独立の商人

代理商と本人との関係

法的性質

取引の代理〜委任(民643条)

取引の媒介〜準委任(民656条)

商法上の特別規定

通知義務(47条)

競業避止義務(48条)

留置権(51条)

代理商と第三者との関係

媒介代理商の通知を受ける権限(49条)

代理商契約の終了

委任の一般的終了原因によって終了する(民653条)

商法の特則

2ヶ月前に予告して、契約を解除できる(501項)

代理商契約を継続することが社会通念上著しく不当と見られる場合、予告期間をおかずに契約を解除できる(502項)

U仲立人

意義

 仲立人とは、他人間の商行為の媒介をなすを業とする者をいう(543条)

媒介

 他人間の法律行為の成立に尽力する事実行為、すなわち、委託者と相手方との間で契約成立のはこびに至るよう各種の仲介・斡旋・勧誘的事務を行うこと

仲立契約の法的性質

準委任(民656643条)

仲立人の権利・義務

善管注意義務(民644条)

紛争防止のための義務

見本保管義務(545条)

結約書交付義務(546条)

仲立人日記帳の作成・謄本交付義務(547条)

氏名黙秘義務(548条)

自ら履行すべき義務(介入義務、549条)

仲立人の報酬請求権(512条)

要件

仲立人の媒介によって当事者管に契約が有効に成立したこと
結約書の作成・交付を終わったこと(5501項)

仲立人の報酬は、当事者双方が「平分」して負担する(5502項)

給付受領権限の不存在(544条)

V取次商(問屋・準問屋・運送取扱人)

意義

 取次とは、自己の名をもって他人のために法律行為をなすことを引受けることをいう

 取次商とは、取次を引受けることを業とする者をいう(50211号・41項)

問屋(551条以下)

運送取扱人(559条以下)

準問屋(558条)

問屋

 問屋とは、自己の名をもって、他人のために物品の販売または買入をなすことを業とする者をいう(551条)

問屋の基本的法律関係

法律効果〜問屋に帰属
経済的効果〜委託者に帰属

外部的法律関係

 問屋が問屋契約の実行行為としてなす売買契約は、問屋が自己の名でなすから、第三者に対し売主または買主として権利を取得し義務を負うのは問屋である(5521項)

内部的法律関係

 問屋と委託者との関係について、問屋と委託者との間には委任および代理に関する規定を準用する(5522項)
問屋と委託者との内部関係を問屋の一般債権にまで拡張する

問屋の権利・義務

 問屋契約は委任の性質を有するので、問屋は委託者に対し、受任者としての権利を有し義務を負う(民644条以下、商512条)

通知義務(557条・47条)

指値尊守義務およびその特則(554条)

履行担保責任(553条)

介入権(555条)

要件
1 販売または買入の委託を受けた物品について取引所の相場があること
2 特約または委託の趣旨により、委託者が明示的または黙示的に介入を禁じていないこと
3 問屋が委託された行為(販売または買入)をまだ実行していないこと
4 法によって介入が禁止されていないこと

供託または競売の権利(556条・524条)

留置権(557条・51条)

準問屋

 準問屋とは、自己の名をもって、他人のために販売または買入以外の法律行為をなすことを業とする者をいう

 商法は問屋に関する規定を準用している(558条)

運送取扱人

意義

 運送取扱人とは、自己の名をもって、物品運送の取次をなすを業とする者をいう(5591項)

運送取扱人の義務

善管注意義務(民644条)

損害賠償責任の発生・免責要件(560条)

高価品に関する特則(568条・578条)

責任の短期消滅時効(566条)

 荷受人が運送品を受取った日から1年を経過したときは、運送取扱人の責任は時効により消滅

運送取扱人の権利

委任に関する一般規定(5592項・5522項)

報酬請求権(512条、561条)

 確定運賃運送取扱契約は特則がない限り別に報酬を請求することができない(5612項)

介入権(565条)

 委託者の請求によって貨物引換証を交付したときは、介入が擬制される(5652項)

留置権(562条)

費用償還請求権(5592項、その他)

債権の短期消滅時効(567条)

時効〜1

運送品の受取人に対する権利(568条・583条)

相次運送取扱の特則(563条・564条)

T運送営業

意義

 運送とは、物品・人または通信をある場所から他の場所に移動させることをいう

 陸上運送営業(第3篇第8章)

 海上運送営業(第4篇第3章)

運送人の意義

 運送人とは、陸上・湖川・港湾において物品(動産および有価証券)または旅客の運送をなすことを業とする者をいう(569条)

運送契約

契約の方式

 運送契約は、契約当事者の合意だけで効力の生ずる諾成契約であり、かつ、特別な方式を必要としない不要式の契約であって、原則として有償契約である。

契約の当事者

運送人と荷送人(583条)

U物品運送契約

物品運送人の義務

一般的義務(運送をなす義務)

善管注意義務(民644条)

荷受人に対する義務(583条)

貨物引換証の所持人に対する義務

貨物引換証交付義務(5711項)

荷送人・貨物引換証所持人の指図に従う義務(運送品処分件―582条)

処分権の限界

 荷受人の変更、積込方法の指定等は運送品処分権の範囲に含まれるが、発送地への返送、わき途への運送、到達地の延長等は含まれない。

処分義務を履行した場合の効果

 運送人は、すでになした運送の割合に応ずる運送賃(割合運送賃)、立替金およびその処分によって生じた費用の弁済を請求することができる(5821項後段)

荷受人の処分権

損害賠償責任

物品運送人の権利

運送品引渡請求権

運送状交付請求権(570条)

運送賃請求権(512条)

運送という仕事を完了した場合

運送が中途で終了した場合

運送品の全部または一部が不可抗力(5762項所定の事由以外の事由)により滅失したとき
 運送賃を請求することはできず、受け取っていた場合、返還しなければならない(5761項)
荷送人が運送品処分権を行使したため、運送が中途で終了したとき
 すでになした運送の割合に応じて運送賃を請求する事ができる(5821項後段)
運送品の全部または一部がその性質・瑕疵または荷送人の過失により滅失したとき
 運送賃の全額を請求する事ができる(5762項)

支払義務者

荷送人、荷受人の不真正連帯債務(5832項)

留置権(589条・562条)および先取特権(民318条)

運送品の供託権および競売権(585条、586条、587条)

荷受人の地位

意義

 荷受人とは、運送契約上到達地において自己の名をもって運送品の引渡を受くべき者と予定されている者をいう

荷受人の権利義務

第一段階〜運送品が到達地に到達する前の段階

権利義務なし

第二段階〜運送品が到達地に現実に到着した後

運送契約により生じた荷送人の権利を取得(5831項)

第三段階〜運送品が到達地に到着した後、荷送人の指図がないうちに荷受人が運送品の引渡を請求したとき

荷受人の権利が荷送人の権利に優る(5822項)

第四段階〜荷受人が運送品を受取ったとき

運送人に対して、荷送人が負担した運送賃その他の費用の支払義務を荷受人も負う(5832項)

V物品運送人の損害賠償責任

577

 運送人は、自己もしくは運送人が自ら委託した運送取扱人、または、その使用人、その他運送のために使用した者が、運送品の受取・引渡・保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明しなければ、運送品の滅失・毀損または延着について損害賠償責任を免れることができない(577条)

*履行補助者に過失がある場合にも運送人が責任を負う

損害賠償額の定型化(580条、581条)

滅失・毀損による損害賠償額の定型化

賠償額算定の基準

全部滅失の場合(5801項)
 運送品の引渡があるべかりし日における到達地の価格
一部滅失または毀損があった場合(5802項)
 延着しなかったときはその引渡があった日、延着したときはその引渡あるべかりし日における到達地の価格
運送品の滅失または毀損のために支払を要しなくなった運送賃、その他の費用の額は控除される(5803項)
運送人に悪意または重過失があるときは、580条は適用されず、民416条の一般原則により、運送人の悪意または重過失と担当因果関係のある一切の損害を賠償しなければならない(581条)
延着のみの場合は、民法の一般原則(民415416条)による

高価品に関する特則(578条)

 高価品は普通品よりも損害発生の危険が多く、かつ損害が巨額にのぼる
 578条は、荷送り人が運送を委託するにあたり、その種類および価額を明告しなければ、運送人は損害賠償の責任を負わない旨を規定している

明告をなした場合の効果

 価額の明告は、運送人にその責任が生じうる損害賠償額の最高限度を予知させるためのものと解される

明告のない場合の効果

 運送人は高価品としての損害賠償責任を負わないだけでなく、普通品としての損害賠償責任も負わない(578条)

578条の適用が問題となる場合

延着の場合
適用なし、民法の一般原則による損害賠償
高価品の明告がないにもかかわらず、運送人が偶然に高価品であることを知った場合
普通品と同様

損害賠償責任の消滅

特別消滅事由(588条)

 荷受人または貨物引換証の所持人が留保をしないで運送品を受取り、かつ、運送賃その他の費用を支払った時は、原則として運送人の責任は消滅する(5881項本文)。また、運送品に直ちに発見できない毀損または一部滅失があった場合で、荷受人等が引渡の日から2週間内に運送人に対してその通知を発しないときも、運送人の責任は消滅する(5881項但書)

運送人に悪意があるときは適用なし(5882項)

短期消滅時効(589条・566条)

 荷受人等が運送品を受取った日の翌日、もしくは、運送品が全部滅失した場合には引渡あるべかりし日の翌日から、1年を経過すれば、運送人に悪意があった場合を除いて、運送人の責任は時効により消滅する(589条・566条)

相次運送人の責任に関する特則(579条)

 「数人相次テ運送ヲ為ス場合」、各運送人は、運送品の滅失・毀損・延着につき連帯して損害賠償責任を負う(579条)

運送人の不法行為責任との関係

請求権競合説(判例)

債務不履行責任と不法行為責任の併存を認める

法条競合説(有力説)

不法行為責任を排除

W貨物引換証

意義

 貨物引換証とは、運送人が運送品の受領を認証し、到達地においてこれを証券所持人に引渡すべき義務を負担する有価証券である

有価証券としての性質

法律上当然の指図証券性

 貨物引換証は、記名式で作成されたものであっても、特に裏書禁止の表示がないかぎり、裏書によって証券上の権利を譲渡することができる(574条)

非設権証券性

 新たに発生するのではなく、すでに運送契約上発生した運送品引渡請求権である

要因証券性(有因証券性)

 証券上の法律関係は、運送契約(原因関係)に左右される

文言証券性(572条)

要式証券性

 法定記載事項(5712項)はあるものの、手形・小切手のような厳格な要式性は要求されない

呈示証券・受戻証券性

 証券の所持人は、貨物引換証を呈示し(517条)、かつ、これと引換でなければ運送品の引渡を請求しえない(573条)

処分性証券性

 処分権の行使や運送品の譲渡・質入などは、その貨物引換証をもってしなければならない(573条)

債権的効力

判例

1 空券の場合には証券を無効

2 品違いの場合には証券に記載された運送品の引渡請求権を表章すると解する

物権的効力(575条)

意義

 貨物引換証の物権的効力とは、貨物引換証の引渡が運送品自体の引渡と同じ効力を有することをいう

X旅客運送人の損害賠償責任

旅客運送の意義

 旅客運送契約とは、自然人の運送を目的とする契約をいう

 物品運送の場合における運送品の受取・保管・引渡に関するような、複雑な法律関係は生じない

方式

諾成契約であって、乗車券が発効されても、これは契約の成立要件ではない

普通乗車券

有価証券〜譲渡可

鋏を入れた後〜証拠証券〜譲渡不可

回数乗車券

有価証券

定期乗車券

証拠証券〜譲渡性なし

旅客運送人の義務

一般的義務(5901項)

善管注意義務(民644条)の注意規定

損害の賠償額(5902項)

裁判所は被害者及び家族の状況を斟酌すべきものとされる

旅客の手荷物の損害

 託送手荷物は、物品運送人と同じ責任を負う(5911項)そして、手荷物が到達地についた日から1週間内に旅客が引渡を請求しないときは、供託し、一定の条件のもとで競売することができる(5912項・524条)

携帯手荷物は、運送人またはその使用人の過失を証明しなければ損害賠償を請求できない(592条)

T倉庫営業

意義

倉庫営業者とは、他人のために物品を倉庫に保管することを業とする者をいう(597条)

物品〜動産

倉庫〜必ずしも屋根のある建物である必要はない

倉庫寄託契約

倉庫営業者が物品を蔵置保有することを引受ける契約

民法上の寄託契約(民657条)の一種

倉庫営業者の義務

受寄物保管義務(593条・619条)

善管注意義務(民644条)

特約または慣習がない限り、他の倉庫業者に保管の下請をさせることはできない(民6581項)

契約で保管期間を定めなかったときは、倉庫業者は、やむをえない事由がある場合のほか、入庫の日から6ヶ月を経過した後でなければ受寄物の引取を請求できない(619条)

受寄物返還義務

いつでも寄託者の請求があるときは、受寄物を返還しなければならない(民662条)

倉庫証券を提示して返還を請求する倉庫証券所持人に対してのみ義務を負担(620条、6272項)

倉庫証券交付義務(627条)

預証券および質入証券または倉荷証券の交付

点検・見本摘出等の要求に応じる義務(616条)

損害賠償責任(617条)

倉庫営業者の権利

寄託物引渡請求権

保管料等の請求権(618条)

民法・商法の一般規定による留置権(民295条・商521条)

動産保存の先取特権(民321条)

供託、競売する権利(6241項・2項、5241項・2項)

倉庫証券

 預証券と質入証券(598条)および倉荷証券(627条)の総称

 運送と寄託との性質の相違から生じる差異を除き、貨物引換証と同様の性質

U場屋営業

意義

 場屋営業とは、客の来集を目的とする場屋の取引(5027号)を営業とする補助商である

 場屋取引とは、公衆にサービスを提供するための物的・人的設備を整え、来集した客にこれを利用される行為のすべてをいう

場屋の主人(場屋営業者)の責任

寄託を受けた物品に関する責任(5941項)

善管注意義務(593条)はもとより、場屋の主人は、客から寄託を受けた物品の滅失または毀損について、それが不可抗力によって生じたことを証明しない限り、損害賠償責任を免れないものとして、責任を加重している

寄託を受けない物品に関する責任(5942項・3項)

 客が特に寄託しない物品であっても、場屋内に携帯した物品が場屋の主人またはその使用人の不注意によって滅失または毀損したときは、場屋の主人は損害賠償責任を負う(5942項)

高価品に関する責任(595条)

 高価品については客がそのことを明告しなければ損害を賠償する責任はない(595条)

責任の消滅(596条)

時効1