原価企画
意義
原価企画とは、製品の企画・設計段階を中心に、企業の関連部門の相違を結集して、総合的な原価低減と利益管理を意図した手法である
背景
@ 標準原価計算による管理の重要性の低下
1)
FA化、CIM化→直接工の激減→標準による管理対象の喪失
2)
多品種少量生産、製品ライフサイクルの短縮化、絶えざる技術革新→標準の設定が煩雑・困難
A 原価は製品の計画段階でその発生額の大半が決定
*
FA(ファクトリー・オートメーション)〜工場一貫の自動化システム
*
CIM(コンピュータ・インテグレーテッド・マニファクチャリング)
プロセス
@新製品の企画
目標利益を決定
↓
0 Look VE(マーケティングVE)
*VE(バリュー・エンジニアリング、価値工学)
製品に必要とされる機能を明確にし、昨日とコストのつり合い研究を行う(製品の機能を最低のコストで実現)
・0 Look VE〜企画の段階のVE
・1 Look VE〜製品システム設計に適用されるVE
・2 Look VE〜製品システム改善に適用されるVE
A目標原価の設定
@予定販売価格−目標利益
A=許容原価
↓ 1 Look VE
B成行原価
↓ 2 Look VE
C目標原価
↓ 生産準備
D標準原価
*成行原価〜改善目標が加味されていない見積原価
B生産段階での原価管理
原価低減(標準原価それ自体の引下げ)
計画段階→原価企画
生産段階→原価改善
原価統制(原価維持)(標準原価の維持)
生産段階→標準原価計算
目的
@ 総合的な原価低減
A 戦略的利益管理
特徴〜標準原価との対比
適用領域
企画・設計段階⇔生産段階
管理機能
原価低減⇔原価統制(原価維持)
管理の範疇
戦略的利益管理の手段⇔原価統制技法
管理技法
経営工学的な性格⇔会計的な性格
生産形態
多品種少量生産⇔少品種大量生産
導入
日本企業
部門間の垣根が低いため、関連部署の総意の結集が容易
デザイン・インが容易
欧米企業
日本企業の逆
ABC(アクティビティ・ベースド・コスティング:活動基準原価計算)
経営資源
↓
活 動…活動原価を計算する
↓ 原価作用因〜資源ドライバー、活動ドライバー
原価計算対象
背景・目的
ABC:伝統的な製造間接費の配賦方法を克服する手段
企業環境の変化(多品種少量生産+FA化・CIM化)
↓
間接費の増大
↓
間接費配賦計算の精緻化の要請
伝統的配賦方法とABCの相違
@ 伝統的配賦方法
原価部門を設定し間接費を集計(第1段階)
↓
補助部門費を製造部門に配賦(第2段階)
↓
操業度を基準として製造部門費を製品に配賦(第3段階)
A ABC
活動センターまたは活動センターを細分化したコストプールに間接費を集計(第1段階)
↓
活動センターまたはコストプールごとの原価作用因に基づいて、活動センターまたはコストプールに集計された間接費を製品に配賦(第2段階)
*活動センター〜ここに活動の原価を測定したいと考えるセグメン ト
原価作用因(コスト・ドライバー)〜活動の原価に変化を及ぼす要因
有用性
@製品の収益性分析や価格決定などの意思決定に有用
内部相互補助が回避できる
A原価管理の基礎を提供
ABMに必要なABC情報を提供
ABM(アクティビティ・ベースド・コスティング:活動基準(原価)管理
意義
ABMとは、ABCから得られる情報を経営管理に活用する方法である
有用性
活動を分析
↓
付加価値活動と非付加価値活動とを識別
↓
主目的は、活動やプロセスの改善による原価低減
効果
ABCは、リストラクチャリングに有用
ABMは、リエンジニアリング(業務改革)に有用
BPRに効果的
*BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング:業務改革)
品質原価計算(クオリティ・コスティング)
意義
品質原価計算とは、品質原価を算定・分析し、品質管理に役立てる技法である
品質原価
劣った製品が存在するかもしれない(自発的原価)、あるいは現に存在するために発生する原価(非自発的原価)
・会計的測定可能性
直接的品質原価
間接的品質原価
・発生原因
予防原価〜従業員訓練費
評価原価〜検査費
内部失敗原価〜補修費
外部失敗原価〜回収費
自発的原価と非自発的原価との関係
評価原価↑:内部失敗原価↑・外部失敗原価↓
予防原価↑:内部失敗原価↓・外部失敗原価↓(長期的:評価原価↓)
ライフサイクル・コスティング(LCC)
意義
LCCとは、研究開発から処分に至る製品のライフサイクル全体の原価を測定し分析するための計算手法である
目的
製造業者:生産コストと使用コストはトレード・オフ関係
ユーザー:取得コストと使用コストはトレード・オフ関係
↓
生産(取得)コストと使用コストのトレード・オフ分析を通じて、製品の最適信頼性水準を決定
効果
製造業者:市場競争力確保
ユーザー:最も有利な投資案を選択できる
原価計算システム
原価計算の目的は多元的
↓
クラーク:異なる目的には異なる原価を
「基準」の原価計算システム
複数目的の原価計算を1つの計算秩序の内で同時に実現
JIT(ジャスト・イン・タイム)方式
意義
必要なものを必要なときに必要な量だけ生産するシステム(プル・システム)
↓↑
押し出し方式:材料が各工程で加工され、製品が押し出されていく方式
在庫を持つことのメリット
生産・販売場のトラブルを和らげる緩衝機能
在庫を持つことのデメリット
・金利(資本コスト)がかかる
・在庫維持費がかかる
・問題点を覆い隠して改善を阻害する