アカウンタビリティの社会的基礎
アカウンタビリティの概念
会計責任の概念よりも外延的・内包的により広くより深いもの
「Power, Inc. 」ノートン・ミンツ、ジュリ・S・コーエン
アーサー・S・ミラー
アカウンタビリティ
それが何かを意味するとすれば、力を行使するものが他者に責務を負い、その意思決定の理由を明らかにすべきこと
ジョン・スチュワート・ミル
完全なアカウンタビリティ
統治者の利害は民衆がより教化されるに応じて民衆の利害とますます等しくなる
アカウンタビリティ概念の起源
ペリクレス時代のアテネ(C.490〜429 B.C)で民主的アカウンタビリティへのぎこちない動きが発生
*マッケオン「責任概念の意義と発展」
accountability = responsibility
民衆に対するアカウンタビリティの進水
→アメリカ革命
価値の多様化
正反対の倫理的価値意識が存在し倫理的アカウンタビリティについて共通の認識が成立しないことを示唆
↓法の世界において成立
リーガル・アカウンタビリティにまで成熟
権利意識の社会的確立
Continental Vending Companyの不適正表示事件(1968)
GAAPに準拠していることは必ずしも十分かつ公正な開示(full and fair disclosure)を満足するものではないという点について争い
↓陪審
否応なしに財務報告は「公正に表示」されていると裁断
パブリック・アカウンタビリティの真の意味とその社会的機能
→社会構造の重み
アカウンタビリティの判断が民衆の判断に基づいている
問われたこと
真実な会計であると民衆が認めることができたか否か
会計原則にとって必要なこと
民衆の信頼に答えうる十分なアカウンタビリティの認識を確立すること
パブリック・アカウンタビリティの認識が会計原則を設定する場合の基礎におかれなければならない
アカウンタビリティ
社会的・政治的構造が一定の特性
・歴史的相対性
・空間的(地域的)相対性
国によって異なった認識が成立するという意味
ex)アメリカ(民権国家)VS国権国家
→アカウンタビリティの概念と内包を異にしニュアンスの相違がある
社会的責任と会計責任との関係
企業の利害関係者の拡大と企業の社会的責任の拡張
企業の社会的責任と会計責任
↓結ぶ糸
倫理的価値意識
企業の社会的責任
企業行動に対して社会が要求する責任
会計原則の設定
企業の社会的責任を明確に認識しそれをアカウンタブルなものとして企業が履行義務を自らが認める態度を要請すべき
一般原則or会計公準(社会的責任)
企業はその会計処理を行うにあたっては企業の社会的責任に関する社会的合意を尊重しそれに従うものでなければならない
企業の社会的責任に関する認識状況
→流動的
明確な法的責任が確認されないものには賛否両論が存在
・アメリカで認められる→日本で認められない
・同じくにであっても時代とか時期によって異なる
↓
「あいまい」
*伝統的な道徳的価値判断と新しい革新的な価値判断
↓
容易に決着のつかない相克が生じる
<参考文献>
吉田寛「アカウンタビリティの社会的基礎」『会計』第119巻第2号、1981年2月