中国会計の国際化
現在の中国
WTO加盟
経済面において脱社会主義あるいは市場経済化を目指している
社会主義国
「社会主義」
中国の特色を持った社会主義、社会主義市場経済
政治
共産党独裁
経済
市場原理
社会主義市場経済へ
1992年10月:中国共産党全国人民代表大会
江沢民が「社会主義市場経済」論
「改革・開放を実施して十余年、市場の範囲が次第に拡大し、大多数の商品の価格が自由化され、計画による直接管理の領域が顕著に縮小し、経済活動に対する市場の調節の役割が大いに強まっている。実践の立証するところによれば、市場機能が比較的に十分に発揮されたところほど、経済の活力は比較的強く、発展の勢いも比較的によい。わが国の経済はもしも構造の最適化、効率の向上、発展の加速、国際競争への参入を目指すのなら、市場メカニズムの役割を引き続き強めなければならない。実践の発展と認識の深化は、わが国の経済体制改革の目標は社旗亜主義の市場経済体制を確立し、生産力の更なる開放と発展を促進することにある、ということを我々がはっきりと提起することを求めている」
改革・開放政策の継続と深化を協調したもの
ケ小平が「南巡講話」で示した改革・開放の拡大と深化を強調し、追認したもの
社会主義市場経済
相矛盾する理解しがたい概念
ケ小平の「白猫黒猫論」
資本主義的手法でも、社会主義的手法でも、経済が発展すればよい
1997年時点の市場化水準
51%
@大部分の生産財とほぼすべての消費財の善良に対する政府の価格統制が終わったこと、また配給制度による食料、医療など基本的消費財の分配も終わったことなど価格の自由化の進展は相当進んでいること
A計画経済気には行政の付属物的性格が強かった企業が、経営自主権を拡大していること
B市場経済に対応する本来的意味での企業の育成が重視される中、かつての生活保障機能・社会保障機能も合わせ持った「単位」としての企業が変わりつつあること
大きな変化
企業の投資決定権がまだ充分でない
多くの企業には貿易権が付与されていない
企業の経営自主権にはまだ多くの制限
→経済の市場化の進展は依然として課題を積み残している
所有制の多元化
従来:計画経済の時代
国営企業と農村における人民公社の生産
↓その生産量に基づいて
産品が配給、流通
現在の中国
消費を肯定
大衆の消費ニーズ
↓市場の需給に合わせて
流通さらに生産を組み立てる方向
⇒郷鎮企業の大発展、私営企業、個人企業の対等、外資系企業の存在など
企業会計制度
この家庭の中で、現代企業制度の構築、つまり国有企業改革や企業形態の多様化とともに整備されてきた
社会主義市場経済体制化の企業会計制度
社会主義市場経済体制および現代企業制度の実質
全社会レベルで「所有と経営の分離」を実施
国家が最大の株主として国民経済における最大の持分を所有することによって公有制を維持
大株主の立場からマクロ調整
ミクロレベルでは資本主義の企業経営方式を実施
社会主義市場経済体制および現代企業制度の導入
従来の「一国一企業」の企業制度に基づく伝統的な企業会計制度
↑
種々の問題
⇒全面的に改革されなければならなくなった
問題点
@資本維持の問題
伝統的な企業会計
「資金の運用=資金の源泉」という等式を前提とする会計システム
資産を示す「資金の運用」の結果
直接的に「資金の源泉」の部における「基金」を増減する
伝統的な会計システム
「資金の源泉」と「資金の運用」の結果が混じっている
資本金に相当する「基金」は常に変動
→維持されることができない
EX)固定資産売却損益
国家基金の増減として処理
→企業の経営管理上の問題を覆い隠す
A資金分類基準の問題
「資金の運用」
資金の運用形態である資産の自然形態によって分類
「資金の源泉」
固定資金・流動資金・専用資金によって分類
→基金・借入金・決済資金・専用資金の4区分
⇒企業の資金供給を国家財政部門に集中して行うという経済体制に適応した会計
資金の調達源泉の法的所有関係を明らかにすることができない
B資金専用原則の問題
調達に当たり指定された資金を指定どおり運用するという意味の「資金専用」の原則の適用が要求
企業資金をその運用形態によって固定資金、流動資金および専用資金の3つのグループに分け
→それぞれのプールを混同させないという原則
固定資産の減耗等
→直接的に国家基金を減少させるような会計処理
→企業レベルで資本維持を会計構造に考慮に入れていなかった
⇒企業経営の自己責任の空洞化
企業の欠損
国家給付金で補填
*自己責任の導入
企業が自己責任でそれを解消しなければならなくなった
資金専用の原則
企業の欠損は流動資産の区分に計上
→企業に欠損が生じても
欠損額が基金の減少にはならず、買掛金などの流動負債を滞らせることができる限り、生産されることはありえない
資金専用の原則
企業が自己責任を果たすこと、また企業が資金を自主的かつ有効に運用することの支障
C損益計算の問題
伝統的な企業会計
国家基金を計画的に利用する過程とその結果を記録するシステム
機能
財産の状態および国家財政と企業との間の資金の流れを明らかにすることに重点
財務諸表
資金収支の解釈のために作成
資金の状態を明らかにする資金平衡表(資産負債表)が非常に重視
利潤表(損益表)
財務成果の集約としかみなされていなかった
企業会計制度の生成時期
資金平衡表
詳細かつ網羅的
利潤表
単なる各種の損益の集計表
損益計算
資金回転の結果を算定すること
経済改革以降
国家と企業の利益配分関係に変化
→利潤表
期間利潤の計算と処分可能利潤の計算を含めるように進化
↓しかし
国営企業の国家所有の性格
損益計算は依然として資金収支の解釈を目的
EX)資本的支出に当てた借入金の返済分の控除などの項目
損益の結果
企業の経営成果と財政・財務政策の結果の混同
財政・税務・財務の支配拘束を受けている損益計算
わかりにくい
企業の経営成績を明らかにする機能があるのかどうかについても問題
→企業の収益力に関心を持っている利害関係者の要求にこたえられない
D会計規制の問題
会液状の判断(伝統的な企業会計制度)
すべて国家管理機構に集中
→会計規制の体系
会計判断の基準が存在しなかった
この規制体系
資本の維持と増殖に監視企業レベルでの会計構造が考慮されていない
国家財産を守るために様々な財政経済規律
企業の会計行為を拘束
経済改革以来
企業の自主権の拡大、利潤動機の導入など
経済活性化、計画管理の緩和、企業行動の自由化
企業会計の面
企業が一部の経理自主権を持つよう
↓しかし
会計判断の基準がないため
それを行使することは依然として許されていない
社会主義市場経済体制と現代企業制度の導入
国家財政から分離した企業会計の確立、会計規制方式の改革は不可欠
以前:勘定科目や財務諸表の様式を増減するという表面的なこと
今回:会計規制方式と企業会計システムに構造改革をもたらすという全面改革
改革
@業種別、部門別、所有性別会計規則の規制体系
→すべての企業に適用される統一的な会計基準に、業種別会計規則を加える規制体系
A従来の会計実務または会計規定に散在し、国際的次元においても承認されているGAAPを会計基準に集約
B「資金の運用=資金の源泉」という等式
→「資産=負債+資本」
C資金平衡表、製造原価表、利潤表をはじめとする本末を区別しない財務諸表の体系
→資産負債表、損益表および財務状態変動表を主とする外部向けの財務諸表の体系を導入
D従来の、資産変動により資金運用の部の増減額、たとえば、固定資産の実地調査による差損益、減価償却費、国家の規定による価格調整から生じた棚卸資産価格差損益などが直接に資金源泉の部に加減されたのに対し、資本金制度が導入され、資本維持が要求されるようになった
E完全原価法
→製造原価法
F保守主義原則の適度な適用
貸し倒れ引当金の形状、後入先出法の容認、加速減価償却法の容認
全面改革後の規制方式の最大の特徴
個別財務規定が統一的規定になったこと
日常的な行政指導に変わり定期的な干渉となったこと
中国における企業会計制度
1999年に改正された「会計法」を母法
「企業会計準則」及び「企業財務通則」(1992年)
基本的な会計規則
会計処理や表示方法及び財務管理方法についての基本原則を定めている
統一的規定
その下に3種類
1992年に全面的に改定された「業種別会計制度」
1998年に制定された「株式会社会計制度」
1992年に「合弁企業会計制度」を改正して設定された「外国投資企業会計制度」
⇒3層構造
「会計法」
1985年に制定
1993年に改正
社会主義市場経済体制になり、経済改革の進展とともに大きく発展したさまざまな企業の会計業務の基本法としての意義を失わないために行われたもの
非国営部門の拡大、すなわち経済への影響力が大きくなった轟沈企業や私営企業などが急増したことへの対応
会計不正事件への対応
改正の理由
法的強制性を強め、会計不正事件を減少させること
→減少するどころか増加している
1999年に改正
1.会計情報に対する責任、法律上の責任の明確化
2.内部統制、外部監査の整備
3.偶発債務のディスクロージャー
4.会計原則の一部、一般原則を法律として定めた
5.実務に適合するように変更
会計不正事件の防止(3段階)
@内部監査(企業内部)
A外部監査(会計士事務所、会計士)
B政府監査(財政部監査、監査特派員制度)
法的強制性をさらに強め、会計情報について、その真実性を向上させ信頼性あるものにすること
⇒国際化のファンダメンタルとして重要
中国の資本市場はいまだ未発達
先進国のような資本市場によるコーポレート・ガバナンス制度の中国への適用は当面不可能
市場経済へ移行する過渡期としては必要なもの
「会計法」のもとにある「企業会計準則」
統一的会計規制
「基本会計準則」と「具体会計準則」によって構成
経済の国際化
会計基準の設定を求めている
中国の企業会計制度
計画管理のために形成されたもの
財務諸表及び会計指標の作成より財政管理ニーズが最優先
市場経済の要素が無視
↓その結果
中国の企業会計と資本主義市場経済諸国における企業会計とは相当異なっていた
⇒外国の投資者
中国の会計政策や経済政策に対する誤解を生じさせる原因
⇒会計基準の要請
外国からの直接投資の増加及び外国投資企業の発展を促進し、中国の企業が外国市場に進出し、国際間で経営活動を行い、中国の企業が国際資本市場で資金を調達するため
企業会計制度の国際化
(1)国際化の経緯
中国会計の諸外国との交流
中国において「会計」という語が始めて登場
古代の西周五朝時代(B.C.1143〜799年)
最も早く発展した官庁会計
王朝と国家の財物収支計算と国王への報告規定
財産の増加を記録して集計するのに加え、その集計結果が正しいものであるかの検査(監査)とその報告形式の制度
「会計」が意味していたこと
記録→集計→報告→検査という根本的流れ
現在の「会計」と大きな相違がない
官庁会計
宋代(960〜1279年)の頃には整備
次第に民間に流れ、中国の伝統的な中国式簿記、単式簿記を形成
15世紀
商工業の顕著な発展、資本主義的商品・貨幣経済の発展
収支複式簿記が萌芽
18〜19世紀の清代
「四脚帳」という中国式記帳法が確立
「四脚帳」の会計報告
「結冊」
「彩項結冊」と「存除結冊」の2種
「彩項結冊」
損益計算書
企業の経営損益状態を反映
「存除結冊」
貸借対照表
企業の財政状態(資産、負債状態)を反映
企業が持っている資産と返済すべき債務と資本を示す
当期と前期との純財産の比較
営業の利益・損失を計算
売上から原価を引いて営業損益を計算する方法
これらの損益の計算方法
西洋式簿記の方法に図らずも一致
発展過程
西洋式簿記からの影響はほとんど無い
発展過程は独自の進化
中国式記帳法
近隣諸国へ伝播
「中国国内の範囲で広く使用されただけでなく、わが国の東隣の日本や朝鮮、南側の東南アジアの国々、および華僑たちに、中日両国人民の有効往来が開始され、唐代に、両国間の交流がますます頻繁になった。当時、たくさんの唐の文化が日本に吸収され、会計もその中のひとつであった。わが国の単式収支記帳方法を特徴とする中国式貴重も、その時期に日本に流入し、日本の政治部門と民間に広範に採用された」
この時代までの中国会計
×諸外国からの影響を受けるという意味での国際化(内向きの国際化)
○独自に進化し、諸外国に影響を与えるという意味での国際化(外向きの国際化)
阿片戦争(1840〜42年)以降
様相が少し異なる
西洋式簿記の導入(2つのルート)
阿片戦争後、中国では封建経済と資本主義経済が同時に存在する半封建式、半植民地式経済体制が形成
中国式簿記(中小企業)と西洋式簿記(大中規模企業)が共存
↓この過程
中華人民共和国成立(1949年)まで続く
中国式簿記は徐々に西洋式簿記に転化
最終的にこの変化は完了
清王朝末期の日本からの伝播
日本
福沢諭吉の『帳合之法』、アランシャンドの『銀行簿記精法』により西洋式簿記、貸借複式簿記法がすでに伝わっていた
貸借複式簿記法の応用
1908年の大清銀行の創立を発端
日本に留学生を派遣
会計制度と記帳法を学ばせた
日本も漢字を使用
西洋式簿記の普及を通じて、今でも日中両国の会計用語は同じものが多い
辛亥革命(1911年)から新中国成立まで
アメリカから西洋式簿記を導入
1930年代
欧米の原価計算が模倣
中国の多くの公認会計士が重要な役割を果たしていた
会計士制度
新中国成立後にいったん消滅
*この経験は、現在の国際会計基準を導入するという流れの中で生きている
新中国成立後
経済体制が計画経済
ソ連史式会計の導入
→硬直的な会計制度のソ連式の統一会計制度(標準勘定計画)は導入されるには至らなかった
→業界ごとに独自に会計制度を設計
帳簿の処置手続
日本から導入した三伝票制手続を採用
大躍進運動期(1958〜60年)、文化大革命(1966〜76年)
極端な簡素化を目指した会計改革
完全に会計発展が停滞
計画的市場経済体制期(1978〜92年)
統一的な会計規制を制定
国際会計基準への接近
(2)「企業会計準則」の設定
設定主体
パブリック・セクター(財政部)
1980年:中国会計学会の設立
制度設定に際して、パブリック・セクターではなく、プライベート・セクターや会計準則委員会という組織により行うということが提起
民間団体によって設定
制度の権威性に問題
政府機構によって設定
法的効力
実施が保障
プライベート・セクター
中国会計学会、公認会計士協会
民間団体による会計準則
客観的
国の財政・経済政策に影響されず、企業に受け入れられやすく、公認会計士の実務適用にも便利
会計準則委員会
国務院または全国人民代表大会常務委員会のもとで、金融をはじめとした各産業や会計専門家などの代表からなる委員会
権威性と客観性を兼備
バランスのとれた組織
3つの設定主体が提起
最終的:パブリック・セクターによって設定
基本的
アメリカのFASBのようなプライベート・セクターと公開主義を特徴とする設定方式を受け入れる一方で、パブリック・セクターによる設定方式を採用
社会主義を掲げる中国の事情
現段階では、パブリック・セクター以外が設定主体となることは考えられない
@公有制主体の経済厚生においては経済活動に対して政府が介入することが多く、政府は経済活動に対して絶対統制政権を有している
A企業会計に対する政府の干渉を最小限度にとどめておくことを可能にする資本市場がそれほど発展していない
B国家行政と国有企業が真に分離していないため、政府の財政・税務政策の多くが会計を解して行われ、財政・税務政策は企業会計に対して大きな影響がある
C公認会計士制度は発足してから日が浅く、会計学会や公認会計士協会の社会的信認の程度、経済力、政府への影響力はそれほど高くない
D「会計法」では業種別会計制度の設定主体を財政部と定めていることから、会計準則の設定主体は法律的に財政部とみなせる
(3)外国投資企業会計制度の設定
「合弁企業会計制度」(1985年:財政部)
国際会計基準をおおむね取り入れた
一般原則を設定
合法性、会計期間、貸借簿記、真実性、記帳文字、記帳本位通貨、発生主義、費用収益対応、取得原価主義、資本的支出と収益的支出の区分、継続性
*中国独特
会計要素
勘定科目を資産、負債、資本、損益の4つに分類
損益項目を収益科目と費用科目に分類
「資産=負債+資本」の等式を採用
会計処理
国際会計基準の影響
EX)資本会計、棚卸資産項目を設けて取得原価によって記帳、低価法概念、繰延資産、負債の流動・固定分類、利益準備金の積み立てなど
「合弁企業会計制度」が全面的に改正
合弁企業、合作企業及び外資企業を適用対象
→「外国投資企業会計制度」
「外国投資企業会計制度」
会計基準と監査基準を別々に設定
一般原則と簿記に関する一般規定を別の章立てにし、簿記をひとつの章とした
会計取引の性質による分類
→貸借対照表の配列による分類
資本の会計処理が投下資本のみに限定されていた
→贈与資本、外貨建て資本の換算差額および資本準備金の会計処理規定を設けた
⇒国際会計基準と処理方法などが大きく異なっているところは見受けられないもの
*記述の重点が相違
EX)真実性の原則
会計報告の真実に関する原則ではなく、会計記録の真実にその重点
(4)株式会社会計制度の設定
改革・開放政策が開始されるまで
会計システムには持分の概念はなかった
×資金は資金の法的所有関係によって分類
○資産に対応する資金の状態、例えば固定基金・流動基金・専用基金に分類
持分制
一種の資金調達方法と認識
消費財の生産に深く関わっている農村の郷鎮企業や都市の第3次産業を発展させるために進められた
会社制度として持分制を導入するというより、むしろ協同組合的な意味
必ずしも株式の発行や株式会社への組織変更は伴わなかった
↓情況下
会計制度は従来の枠組みのなかでの対応
国有企業
「所有と経営の分離」を目指した経営請負制の導入
→赤字経営の長期化、国有資産の流失など(問題)
持分制の企業実態の形成
企業経営の効率化を高める
→株式会社形成の流れが加速
↓情況下
欧米式の持分制会計制度が導入
「株式会社会計制度」(1998年)
制定目的
「…投資者及び債権者の合法的権利を保護するため…」
→財務諸表の公開を前提とした会計制度
より国際化した制度
全ての株式会社を対象
財政部が念頭においているのは国有企業
株式会社化されたといっても、国有企業はその名のとおり国家が最大の投資者・債権者
株式会社会計制度の大きな課題である投資者・債権者保護
↓結局
国有資産保護として具体化
持分制の導入
財務情報の利用者として一般個人投資者も参入
最も影響力のある利用者は依然として政府管理部門
政府機関の情報ニーズを重視する会計情報システム
計画管理の目的が投資者・債権者保護の目的に変わるだけ
株式会社会計制度
従来の国家統制的なものが依然として存在
EX)資本金
関連当局への登録が強制
増資を行う場合も登録資本金を減少させる場合も、関連当局の許可が必要
財務報告
政府部門への月次・半期・年度財務諸表の提出が義務付け
↓そのあとで
「…株主に開示する必要がある財務報告は…」
政府部門が優先
株主に対しては、その提出が任意
報告内容
政府部門より限定される場合があり得る
会計規制のなかで特に国際化が進んでいる「株式会社会計制度」
行政管理優先、国家規制主義の色彩は、いまだ色濃く残っている
まとめ
中国会計
古代より長い年月をかけてゆっくりと醸成され、独自に進化
周辺地域へ伝播した時代もあった
阿片戦争を境
内向きの国際化の時代
会計システムの導入への道
改革・開放以降
導入測度が加速
社会主義市場経済体制突入後
加速度的
中国会計の国際化をもたらしているもの
@改革・開放以後の多国籍企業の中国への直接投資及び進出
↓直接的に対応している会計制度
「外国投資企業会計制度」
改革・開放当時
統一的な会計制度もなく、進出してきた企業に対する会計制度も存在していなかった
↓そのため
早急に国際的慣行を取り入れた会計制度の設定が求められた
A中国企業の国際化
中国企業の海外進出及び中国企業の海外資本市場からの資金調達の面
海外進出
海外企業との取引の拡大及び海外子会社の存在を意味
海外企業との取引の内容を盛り込んだ財務諸表の作成が必要
証券取引所に上場し、特に、海外投資者を対象とした株を発行している企業及びか以外の証券取引所に上場している企業(たとえ国有企業であっても)
国際的慣行による財務諸表の作成が必須
問題
国際化と社会主義中国との矛盾
・社会主義
生産手段の社会的所有を土台
・市場経済
財・サービスの生産・消費が市場機構によって社会的に調節される
→方向は相反
中国における国際化
市場経済化を意味
中国会計の国際化
市場経済における会計システムの導入
社会主義を掲げている以上、それを全面的にそのまま受け入れることは許されない
<参考文献>
小渕究「中国会計の国際化」『慶應商学論集』第15巻第1号、2002年3月