財務報告の信頼性をめぐる諸問題
財務報告への社会一般の不信の払拭
すべてのステーク・ホルダーの問題
ステーク・ホルダー
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企業
財務情報を作成し、かつ、報告する直接の当事者である
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会計基準設定機関
企業が財務情報を作成する場合の基礎を提供する機関
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監査人
企業が作成する財務諸表に信頼性を付与するステーク・ホルダー
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監査基準設定機関
監査人が財務諸表監査を実施し、関西圏を表明する場合の基礎を提供する機関
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行政機関
財務報告制度を確立し、企業の公表する財務報告の公正性と透明性を確保するための監督機関
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株主・一般投資家
企業の公表する財務情報を利用する立場のステーク・ホルダー
日本的文化
我が国経済の驚異的な成長
財務報告システムと環境に内在していた問題点を覆い隠してしまった
以下、監査人としてのステーク・ホルダーの分野に焦点
監査実施面における課題
監査基準の問題に集中
↓しかも
監査基準の適用上にも大きな課題(三点)
(1)倫理観の高揚
監査人は非監査会社に対して?然たる態度が取れることが必要
*監査一般基準
倫理観の欠如が一部で指摘
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強い非監査会社と弱い監査人
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対立を好まない日本的文化と思想
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悲監査会社と異なる意見表明を行う監査人を保護する法的手当てがない
(イ)強い監査人の育成
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教育研修を通じての監査人としての倫理観、精神的独立性の重要性の鼓舞
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監査事務所の大規模化
規模は質の変化をもたらす
人材の有効活用、投資のけに現、教育研修の統一化・高度化などのメリットのほか、対非監査会社に対する精神的独立性の強化
国際的競争関係においてもプラスの効果
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行動基準の強化
(ロ)監査人としての使命と日本的文化
(ハ)非監査会社と異なる意見表明を容易にする法的手段
(2)問題を起こした監査人への迅速かつ厳正な対応
行政からも会計士協会からも実質独立した審理機関の創設
ex)類似の制度をイギリスに見ることができる
(3)監査時間の増強
不正の発見・摘発も監査人に課せられた重要な職務であるとの認識
不正の有無について確証が得られる範囲までの徹底した監査の実施
監査時間の大幅な増加
短期的
コスト増
長期的
資金調達コストの削減効果
<参考文献>
関正弘「財務報告の信頼性をめぐる諸問題−監査人への期待−」『会計』第157巻第4号、森山書店、2000年4月