中国における企業会計制度の統一化
2001年末のWTO加盟
国際経済との一体化への速度がさらに加速
流れの大木
1978年の改革・開放政策
計画的市場経済体制への移行
現在の会計制度
1978年頃から行われてきた様々な会計改革の結果
策定作業
統一的な会計制度の制定
複雑な会計規制体系の統一化
秩序ある急改革
1992年(財政部):「企業会計準則」及び「企業財務通則」、13の業種別会計制度、10の業種別財務制度を発布
*全2者を「両則」、後2者を「両制」とし、「両則」「両制度」と呼ぶ
市場経済に適合し、また国際的会計慣行を斟酌した新しい会計制度
1993年(財政部):「株式会社施行会計制度」を発布
1998年(財政部):「株式会社会計制度」を制定
対象:株式市場での資金調達のためにA株、B株、H株を発行している株式会社
国有企業改革、現代企業制度の推進、健全な資本市場の発展に重要な役割
1997年(財政部):「企業会計準則」を発布
・「基本会計準則」〜会計の一般原則を規定
・「具体会計準則」〜個別の会計問題を扱う
継続的に発布(16の具体会計準則)
投資、収入、債務再編、非貨幣性取引、建造契約、会計方針、後発事象、キャッシュ・フロー計算書、偶発事象、借入費用、無形資産、リース、中間財務諸表、棚卸資産、固定資産等
2000年(国務院):「企業財務会計報告条例」を発布
2000年(財政部):「企業会計制度」を発布
第2条
「金融保険企業と外部資金調達をしない企業および小規模企業を除く国内のすべての企業」
中国における資本市場改革経験の集大成を基盤とした、中国会計の国際化の大きな一歩
2001年1月1日から暫定的に株式会社に適用
*「株式会社会計制度」は廃止
2002年1月1日から外国投資企業および国有企業にも適用
*「外国投資企業会計制度」は廃止
2001年9月(財政部):「証券投資基金会計計算方法」を発布
2002年1月1日より実施
証券投資における会計計算および管理、投資家保護、健全な証券市場に重要な意義
2001年12月(財政部):「金融企業会計制度」を発布
中国国内で設立された金融企業(銀行、保険会社、証券会社、信託投資会社、基金管理会社、リース会社、財務会社等)に適用
国際的基準を斟酌して作成
↓各金融企業に適用
各企業の会計行為が改善され、金融資産の充実により金融企業の発展が促進されることが望まれる
中国における企業会計改革と国際化への進展…10年余り←短い
制度の内容…欧米ないしは国際的会計慣行に近似
「西側諸国が70年で来たところを10年できた」情況
経済の急速な発展
経済状況、企業の成長度合い、企業組織の成熟化に応じて、急速な改革
⇒秩序ある改革
社会主義市場経済体制に移行した1992年時点
市場経済に対応した会計制度
→即座に、全単位・組織を対象とするような全面的な導入は避けた
・好調な経済状況にブレーキをかけないため
・企業の海外展開の土台となり国有企業の株式会社化や外国投資企業の中国進出が容易になるため
⇒漸次導入
統一的記録システムの構築
中国における企業会計制度
・三起両伏
1949年建国後から社会主義市場経済を打ち立てるに至るまでに3回の発展期と2回の停滞期
大躍進運動期および文化大革命期
「無調会計」や会計無用論などが台頭
→会計環境が大きく乱れた
・大躍進運動期
ソ連式会計制度から離脱しようとして始まった会計制度改革が極端な簡素化を目的とする会計改革に
・文化革命期
会計制度が労働者を束縛するものとして革命の対象
→財政部は機構の簡素化を余儀なくされ、「規制・制度無用」が論じられるなかで会計制度もその方向への会計改革に
・現在が第5時会計改革
・第一次
ソ連式会計制度導入の会計改革
・第二次
大躍進運動後の会計制度の整備
・第三次
文化大革命後の制度整備改革
・第四次
社会主義市場経済に向けた会計改革
・第五次
社会主義市場経済に適合し、また国際的にも通用するような制度体系やないようにしようとする会計改革
会計改革の過程
会計環境悪化の回復という作業か繰り返されている
特徴
どのレベルの制度であっても、長期的な目標として、統一的なものへの改革、統一化の施行が常に存在していたこと
文化大革命期に至るまでのその統一化
国家が企業に対して統一的指導を行なったり、企業を統一的計画に従って活動させたりするための意味合いがほとんど
1949年建国後:計画経済体制
ソ連の企業会計制度(標準勘定計画)を全面的に導入
1954年前後
国営企業について統一的な会計制度が成立
*計画経済体制
国営企業の経営者には企業に与えられた資金の管理・運用についての裁量権は与えられていない
↓
会計上の判断
→すべて国家行政管理機構
企業会計制度
企業が国家の規定どおりに資金を運用しているか否かをチェックするための統一的記録システムの構築
文化革命後:1978年から計画的市場経済体制
計画的市場経済の形成過程
国営企業と国家との関係
企業自主権の拡大、「所有と経営の分離」などの企業改革
→大きく変貌
企業会計制度改革
「国営工業企業会計規則」を中心に段階的に行われた
特徴
経営請負制の導入
利潤の処理について、経営者に裁量権
EX)企業活動の結果生じた利潤から、借入金の返済や従業員への奨励金支給等が直接行なえるようになった
企業会計制度
会計監査制度および公認会計士制度
情報開示に視点を置いたものへ進化
マクロレベル
計画的市場経済体制における効率的資源配分の一環
会計上の判断
依然として国家財政管理機構
この時期の会計改革
統一的記録システムの拡充・修正
第1次統一化
1985年「会計法」
計画的市場経済体制のもと
国営企業も企業会計制度を中心
段階的に、市場経済に適合した統一的記録システム構築
市場原理導入の加速、非国営部門の経済に与える影響の増大
→そうした情況にも適応した会計制度が求められる
最初の軸⇒1985年の「会計法」の制定
立法主旨
「会計制度を強化し、会計担当者の法による職権行使を保証し、会計の国家財政制度および財務制度を維持すること、社会主義公有財産を保護しおよび経済管理を強化し、経済効果を高めることにおける役割を発揮すること」(第1条)
「すべての国営企業および事業単位、国家機関、社会団体、軍隊は、その会計事務を行なうにあたっては、この法律に従わなければならない」(第2条)
→ほぼすべての組織を網羅した会計行為の統一的法制化
全般的要因
文化大革命の影響や制度的欠陥等の原因で会計秩序が著しく乱れていた
↓新体制
整備が重要な問題
・国営企業への経営請負制の急速な普及
国営企業の企業改革
以前:国家の完全管理課にあった国営企業
↓政府より経営者に権限の委譲
国家と国営企業との間に委託・受託関係
企業会計
国家財政管理の一部として帳簿記録的なもの
↓
代理人会計へと進化
構造
企業の会計担当者がその職責を果し、彼らが職責を果すことに対する障害を排除
「一国一企業」の計画経済体制
企業の仕入・生産・販売・投資等の自主的決定権
→すべて政府管理部門に集中
企業の役割
政府の指令を遂行することだけ
会計の判断
すべて政府が介入し監督
構造
独立した監査部門の存在も不要
企業の会計担当者
政府の代理人として国家利益の立場から企業会計を行なう
企業の財務活動を監督する義務
会計担当者の職責
「厳格に会計規制を遵守し、真実に経済活動の情況を明らかにし、よって企業に経済採算性を強化し、国家の財産を保護し、国家の計画を執行し、国家の制度を守り、国家の財政・金融規律を厳守させる」(国務院「会計人員職権施行条例」)
会計の組織構造が有効であることの前提
国全体:一つの利益の中心点、一つの会計単位
↓しかし
中央政府の行政管理と情報処理の能力には限界
↓実際
代理人を通して企業管理
国民の経済の運営は、最高権力機構である中央執行機構から中央級の支部機構、地方級執行機構、地方級の支部機構、企業、そしてその従業員までにのびる多層的な代理関係網で成立
代理網の責任区分
各級、各機構および各企業
→それぞれの責任範囲
→それぞれは独立した利益中心点
独立の会計単位
会計に関する行政指令違反の背景
国家利益と企業利益またはその従業員の利益とが必ず一致するとは限らない
全体の利益と部分の利益が一致しない場合
会計担当者
国家から与えられた職責を遂行して企業利益を裏切るか、または職責を放棄して企業利益、つまり自分の利益を守るかという板挟み
統一的な法律である「会計法」が求められた要因
計画経済体制時から抱えていた問題
「企業会計準則」
1992年
業種別会計制度や個別の会計制度にすでに具備されていたものを整理
国際的会計観工から要約したものを加える
→統一的会計基準としてまとめられた
1993年7月1日施行
第1条
「社会主義市場経済の発展の要請に応えて、会計処理の標準を統一し、会計情報の質を保証するために、「会計法」に基づいて、本気順を設定する」
情況
統一的会計法令として「会計法」が存在
実務指針としては業種別会計制度が機能
改革・開放以来、環境変化に応じて会計規制の改訂が何度となく行なわれてきた
→会計実務を統一的に定めるような「企業会計準則」がなぜ求められたのか
理由
1.「国民系座のマクロ管理と調整を強化するため」に、会計基準の設定の必要性
会計実務の面(3つの制度軸)
業種別、部門別および所有制別
業種別間の統一性が欠如
非常に繁雑なもの
会計数値の比較性の欠如
→会計情報の比較可能性の観点からの有用性に問題
企業改革のなかで「所有と経営の分離」
政府が直接的に企業の経営状況を把握できない
→政府が国民経済のマクロ管理を行うため
政府は政府以外のその他の会計情報利用者と同様に筆禍宇可能な会計情報を入手しなければならない
⇒各種の企業に共通して遵守されるべき会計基準の必要性
2.「対外開放を拡大させるため」に、会計基準の設定が必要
それまでの中国の企業会計制度
計画管理のために形成
財務諸表および会計指標の作成より財政管理のニーズが最優先
市場経済の要素が無視
→中国の企業会計と資本主義市場経済諸国における企業会計とは異なる部分が存在
外国人投資家
中国の経済政策や会計政策に対する誤解を生じさせる原因
外国からの直接投資の増加および外国投資企業の発展
中国の企業が国際資本市場で資金調達に対応していくため
3.「企業改革を進化させ、企業経営のメカニズムを転換させるため」に、設定が必要
会計規制の弾力性
従来の会計規制
会計処理について詳細な事項および択一的な方法を説明(取扱説明書)
統一的計画の下の国家の財政・税務・財務政策
会計規制において指令化
ex)企業間で、利益配分面において違いが出てしまうといった問題
「所有と経営の分離」を内容とする現代企業制度を確立し、公平で競争のある市場経済メカニズムを形成するために、統一的な会計基準を導入することが不可欠
第2次統一化
初期統一化の結果もたらされた企業会計制度の構造
「会計法」を頂点
↓その下に
「企業会計準則」および「企業財務通則」という2つの基本的会計規制
↓その下に
「株式会社会計制度」、「外国投資企業会計制度」、そして業種別会計制度が存在
「会計法」:1993年に改正
社会主義市場経済体制になり、経済改革の進展とともに大きく発展した様々な企業の会計業務の基本法としての意義を失わないため
適用範囲
国営経済組織だけで案句碑国営経済組織までのすべてを適用対象
第2次統一化
1993年改正「会計法」以降から、2000年12月29日に「企業会計制度」の発布が行なわれるまで
1999年改訂「会計法」
主な変更点
@会計情報に対する法的責任の明確化
A内部統制および外部監査の整備
B偶発債務の開示
C会計原則の一部および一般原則の法律化
D実務適合化
理由
社会主義市場経済が進むなかで存在意義を失わないため
制定以来10年以上経過した「会計法」
法律の制定・廃止が頻繁に行なわれている中国
社会主義市場経済体制を支える一つの大きな柱として確立されたことを意味
1999年改訂「会計法」
新たに30ヶ条が追加(8条は削除)
6章30条から7章52条に増加
第1条
「社会主義市場経済の秩序を維持すること」
+α「会計資料の真実と完全性とを保証」
第9条、第18条
「真実性の原則」や「継続性の原則」を全単位に適用
第19条
「後発事象」も全単位適用
法律責任
「単位が会計帳簿を登記しない、裏帳簿を作る、あるいは会計処理方法を故意に変更する等は、違法行為として3,000〜5,000元の罰金を課す」(第42条)
「会計証憑や会計帳簿の偽造・編贈答の違法行為に対しては単位には5,000〜100,000元、直接責任を追う主管者等に対しては3,000〜50,000元の罰金を課す」(第43条)
「財政部門等の行政職員の職権濫用、秘密漏えいは刑事責任を問う」(第47条)
国家統一の会計制度
従来:会計計算制度のみを意味
会計計算、会計監督、会計機構と会計担当者、および会計業務管理に関して財政部が制定する制度にまで拡大(第50条)
1999年改訂「会計法」
会計情報面に関することと法的強制性をさらに強化
→統一法としてのその存在意義を強固
憲法に基づく会計関連法規として「会計法」とともに柱となっているもの
「会社法」、「証券法」、「税収徴収法」
「会計法」を中心とする会計規範
独立性を有する一つのシステムとして機能
「会社法」
日本の商法のような会計計算に関する詳細な規定は設けられていない
企業が会計処理をするにあたり、会計規制に準拠すべきという会計基準の遵守を要求する直接的な規定も設けられていない
「会社は、法律、行政法規および国務院財政主管部門の規定に準拠して、自社の財務・会計規定を定めなければならない」(第174条)
各種財務諸表(計算書類)を作成するにあたって準拠すべき会計規定についても言及していない
⇒すべて企業会計規定である「会計法」や「企業会計制度」に委ねられている
「証券法」
1999年7月1日施行
財務会計報告書の作成にあたっては準拠すべき規定がなんであるのかについては規定されていない
・財務会計報告
財務会計に関わる法律、行政法規および国務院財務部管理部門の関連規定に基づかなければならない
「税収徴収法」
現在の税体制
「税収徴収管理法」を中心に20種を越える一連の税法令等から構成
現行の「法人税法」
暫定条例
課税所得額
納税者の年間の収入総額から控除可能項目を引いたもの(第4条)
収入総額、控除可能項目、および控除不可能項目について明確にしておらず、具体的な言及はされていない
第9条
「納税者が課税所得を計算するにあたって、会社の財務、会計処理の方法が、国家の関連税収規定に抵触した場合には、国家の関連税収規定に従って計算しなければならない」
→税法と企業会計規定との間に定職が生じた場合には、国家の関連税収規定が優先されるという関係
企業会計制度
中国の企業会計制度の母法あるいは頂点に位置する「会計法」の改訂
その構造に影響
統一的会計制度「企業会計制度」
2000年12月29日発布
「企業会計制度」
中国国内の一部の企業を除き、すべての企業に適用
→これまでその複雑な構造を構成していた「株式会社会計制度」および「外国投資企業会計制度」は廃止
「企業会計準則」(「基本会計準則」「具体会計準則」)
内容が改めて「企業会計制度」内で規定される
「企業会計準則」は存続
→依然として不透明な面は残っている
「企業会計制度」
第1章「総則」から第7章「利益と利益分配」
「基本会計準則」に関連する内容
第8章「非貨幣取引」から第12章「関係当事者間取引および開示」
「具体会計準則」に関連する内容
「具体会計準則」として規定されていない税効果会計、連結財務諸表、減損会計の規定
実務面への配慮
業種別会計制度は存続
廃止の動きは出ていない
業種別会計制度
ある特定の業種で培われてきた会計処理方法等の集約
「具体会計準則」「企業会計制度」
国際会計基準に代表される国際会計観集を導入
専門性が高く、高度の会計知識と熟練した会計技能が必要
多数存在する中小企業
それが適当であるとは必ずしもいえない
「企業会計制度」
小規模企業は除く
今後、全単位・組織に適用予定
中国国内に存在する全単位・組織に適用可能な制度の制定
「基本会計準則」、「具体会計準則」、「株式会社会計制度」、「外国投資企業会計制度」の統一
「改革・開放」、「改革加速・開放拡大」政策における一つの大きな通過点
会計制度導入による歪み
近年の会計改革
中国における企業会計制度→国際的な水準に到達
「2001年会計基準調査報告書」:国際的な会計事務所が行っている国際会計調査
国際会計基準との際が極めて少ない
制度それ自体の面
改革・開放以来目指してきた国際化を達成
アメリカ会計基準あるいは国際会計基準の直接採用ではないかとの観点
いくつかの問題点が指摘
中国の現状に適合していない
世界各国において行なわれている会計基準の国際化の流れとも合致していない
@
アメリカ
IASの直接採用には慎重姿勢
2000年6月5日のFASBとSECとの会議の報告書
IASのないように検討すべき点が多いこと
世界的協調体制が整っていない
→アメリカ企業がIASをそのまま採用しない
→アメリカで上場している外国企業に対して、IASによる報告を受けつけない
FASB
世界的に財務会計報告の基礎が整備されれば、その運用は成功する
問題:企業内部会計資料の信頼性、監査基準の質、企業内部統制の有効性、会計担当者のIASに対する理解度、会計情報提供者に対する責任追及、政府管理部門の監督権等
アメリカ国内の投資家
アメリカの会計基準に基づいた財務報告よりIASに基づいた財務報告が、情報として、質、量ともに劣るとみている
アメリカに上場する外国企業
アメリカ国内の投資家の正確な投資分析を可能ならしめ、正確な経済的意思決定に資するために、アメリカ会計基準に基づく財務諸表も公表しなければならない
IASの世界的な統一的解釈と実施の問題
FASBやSECとIASCとの間で解釈が異なった場合にどうするのか
IASの強制力はどれほどあるのか
↑このような慎重姿勢は中国にも必要
特殊な文化的背景、社会環境、基礎的条件等があるにもかかわらず、IASやある国の会計基準を採用した
↓将来
何らかの代償を払うことになる可能性が存在
A
IASをそのまま踏襲した国は見当たらない
IASを直接導入した国
ギリシャ、ウズベキスタン等
実際の国内情況に適合していない
先進国の金融システムを導入した南米諸国
うまくいかなかった
環境整備が不十分な情況
そのまま導入するにはリスクが伴う
中国
経済発展の度合いや企業改革の進行状況にある程度呼応するように会計改革が行われてきた
*国有企業改革は順調に進んでいない
B
他の国の会計基準やIASを導入
既存の制度や制度体系との関係、および既存制度の権威が問題
「会計法」
国家が実行する統一的会計制度
↑
これを母法をし、遵守する形で、それ以外の会計制度が存在している
アメリカ基準やIASの直接採用
↓将来
それらの制度との不具合が生じる
法律として有効に機能するかが問題
「会計法」を制定している国務院(財政部)から発布される「会社法」や「企業財務会計法億条例」等の有効性への影響は必至
C
中国における会計のアメリカかもしくは国際化一辺倒の流れ
中国の社会主義市場経済と適合しない
制度面
アメリカやIASとの差異は少なくなった
中国の市場経済
まだ初級段階
資本市場整備や企業改革は未だに中途
公正価値
市場経済初級段階あるいは社会主義国において、それを市場経済国と同様の方法により処理できるのかといった問題
*特に土地
土地使用権の公正価値評価
評価額の算定は大きな問題
減損会計等の規定がすでに織り込まれているが微妙
国際化と統一化
第1次統一化
1978年改革・開放以降、1985年の「会計法」および1993年の「企業会計準則」の制定までを一つの流れとしたもの
国際化と無関係ではないが、国内要因の方が強かった
計画的市場経済体制へ移行
↓
企業改革
↓
企業経営者に裁量権が与えられる
↓
国家が企業財産の管理を直接的に行えない
会計処理の判断も、経営者あるいは会計担当者に委ねられるようになった
所有と経営の分離の情況下
国家がマクロ的に効率的に国家財産を管理・維持していくことを第一義
強制力のある統一的な会計制度
国家
その他の会計情報利用者と同様に、外部利害関係者に近い立場から比較可能な会計情報が必要
多様な企業形態の出現と増加
国営企業の国家経済への影響力の後退
⇒流れを加速
国際化をすることにより経済発展を目指した改革・開放の流れ
環境整備のために会計制度の統一化
社会主義市場経済体制という国際化へ向けての整備
↓というより
国家管理の強化のためという意味合いが強かった
第2次統一化
1999年改訂「会計法」および2000年「企業会計制度」の制定というのが大きな流れ
「企業会計準則」の制定
国際的会計慣行も反映
↑
企業会計制度全体としては十分に整備されていたとはいえない
制度体系の問題
「会計法」を母法とし、「両則両制」を有し、さらに「株式会社会計制度」、「外国投資企業会計制度」、業種別会計制度が存在
国際化に対応するために、C/Fやリース会計についての「具体会計準則」も発布
→複雑な制度体系
↓
国際化の加速の足枷になりかねない
→法的強制制や会計情報の真実性あるいは信頼性を強化しながら、整備
会計制度大改革
「会計法」の下に大きな柱、「企業会計制度」を一つ添えるとする大胆な統一化を成し遂げた
社会主義市場経済に適合した企業会計制度の構築
国際化を見据えた改革
統一化の流れにおいて、国内要因より国際化が第一義
中国における近代会計への改革
1978年から始まり、それは、「企業会計制度」の施行により、一応の終焉を迎えた
国際化や統一化といった作業
国際的開会慣行を斟酌したもの
非常に急なもの
↓今後
いくつかの問題が生じることは避けられない
問題:会計教育面
各単位・組織の会計担当者だけでなく、公認会計士や政府監督機関の担当者も、新制度への対応が不十分
「企業会計制度」(5つ)
統一性、可?性(信頼性)、国際化、中国特色、更穏健(さらに充実)
適用対象
全単位・組織になろうとしている
中国
IASBの一員に加わったことによる変化(これから)
<参考文献>
小渕究「中国における企業会計制度の統一化」『慶應商学論集』第16巻第1号、2003年3月