会計基準と基準設定の国際的調和をめぐる諸問題
会計をめぐる国際化
2001年4月:国際会計基準審議会(IASB)の設立
2000年5月:証券監督国際機構(IOSCO)の交際会計基準(IAS)への支持表明
欧州連合(EU):2005年までに全上場企業にIASによる連結財務諸表の作成を義務づける
国際会計士連盟(IFAC):会計監査について世界基準を作成するための機関を設ける予定
2001年1月:会計事務所のフォーラム(FOF)の発足
欧米の主要会計事務所が自主規制組織を設立
2001年7月:財務会計基準機構
金融庁・企業会計審議会にかわって企業会計基準を開発する新組織としての民間の財団
↓
会計基準の開発を行う機関:企業会計基準委員会
IASCからIASBへ
IASC:会計基準の国際的な調和化(harmonization)
各国の公認会計士協会を主体
IASB:会計基準の国際的な統一ないし収斂(convergence)
各国の会計基準設定主体との連携を基礎
→Joint Project
Approach
日本とIAS、IFRS
「レジェンド」ないし「警句」問題
2001年3月決算時点で日本の会計基準とIASとの間の相違(26項目)
<資料>IFADに指摘された日本の会計基準とIASとの相違点(P5)
IFAD報告書:53ヶ国についてIASとの相違
IASB委員の構成
アメリカとイギリスで14名中の半数の7名、アングロ・アメリカンが10名を占める
会計国際化と会計実務
影響
@ 国際的な資本調達の場において、国際的な会計基準の使用を強いられる
A 国内においても、国際的な基準に合わせて改正された新会計基準への対応に迫られる
会計基準の改定
各国の法制度、歴史、社会、経済、商慣習等をふまえていない
中小企業への影響
現行の貸し出し審査
新しい市場における厳格な会計・監査・開示要求
公認会計士への影響
新たな会計基準に直ちに精通することが求められる
会計国際化と会計基準設定
IASB−アングロ・アメリカン主導型の組織
IASCの機構改革への対応
@ 常勤者を有する本格的な会計基準設定機関を設立すること
A デュー・プロセスを通じて公開性・透明性を確保すること
B 資金関係を含めていかなる利害関係からも独立性を保つこと
企業会計審議会
・
常勤者なし
・
デュー・プロセスがIASCのそれと異なっている
↓
2001年7月:財団法人財務会計基準機構が創設
IASBに対して貢献し続けるためには
人材面では特に必要
教育が今後のわが国にとって重要な課題
会計国際化と会計教育/会計研究
わが国の会計教育における課題
世界に通じる会計人の育成
国際的な会計教育をめぐる動き
IFAC教育委員会
会計教育に関する国際教育ガイドライン(IEG)、討議資料、研究所などを公表
IAAER(国際会計教育研究学会)
IAAERタクスフォース報告書
2001年2月にIEG第9号を実施するための戦略
研究のもつ役割の再認識の必要性
@ 世界でつうじる研究方法論を身につけ
A 国際語である英語で研究成果を公表
↑
学者にとっては必須
<参考文献>
平松一夫「会計基準と基準設定の国際的調和かをめぐる諸問題」『会計』第161巻第3号、森山書店、2002年3月