会計の国際化と会計教育
マーチン・トロウの高等教育制度の段階的移行論
エリート型(18歳人口の15%以下)
マス型(15%以上50%以下)
ユニバーサル・アクセス型(50%以上)
↓
日本:ふいバー去る・アクセス型大学
適合的な教育改革を早急に行う必要
問題の背景
大学の大衆化
専門教育内容の複雑化・高度化
→対立した側面
わが国の問題点
@ 大学の大衆化(レベル低下減少が既に顕在化している)
A 大学教育内容の高度専門化
B 社会人への門戸開放(公開講座なども含まれる)
社会人大学院の幕開け(障害教育と高度専門学習の区別の必要性)
C 産学協同の推進およびこれまで以上の実学の重視
D 大学組織の効率化(大学内組織をはじめ大学間のネットワーク化なども含まれる)
E 基礎教育の充実化および学際的学習の重要性(カリキュラム改革の必要性)
会計教育にかける米国の動き
日本
各大学内でのカリキュラム・レベルで検討
アメリカ
公認会計士協会を中心とする外部組織からも様々な要望や注文
大学当局も会計の現場からのニーズに耳を傾けながら改善努力
わが国との比較(特徴)
@ 公認会計士協会が、大学のカリキュラムに対して高い関心をもち、さらに教育に対しても積極的に注文をつけていること
A 会計学会が、会計教育に関する特別委員会を設置し、かなり具体的に、会計教育の水準向上に向けて踏み込んだ調査・研究を行なっていること
B 大学サイドでは、会計教育の実を挙げるために、経営系大学の間で横断的に組織化し、実を挙げようとしていること
高度職業人教育と研究者養成
問題
「企業会計原則」が、実態に合わなくなってきた(会計プリンシプルを見失った)
個別財務諸表領域
@有価証券の処理Aリース取引B研究開発費C新株引受権付社債D退職給付引当金E資本取引処理、というように次から次へと新たな課題が登場
→教員側に宿題が山積み
簿記教育の現場〜コンピュータ簿記教育の必要性
*株式投資ゲームの試験的な導入
→ゲーム性ゆえの学問製や会計と投資との係わり合いの不明瞭性等に大きな疑問
*コンピュータ会計能力検定試験の実施
教育現場
@ 商業高校
A 大学
B 大学院
C 専門学校
教育的発想〜他校との横並びを強く意識しすぎる内容
会計教育
@ 会計教養
A 会計技術
B 会計研究
表2 日本の大学・大学院での会計教育の見直し案(P42)
JICPAによる国際研修制度の確立構想
今日のわが国会計人の英語能力は総じて低い
↓
英語を交えた会計教育の必要性
国際エリート教育の実現
→JICPAによる国際研修制度
@ IAS中心
A 英語による講義・討論、報告書の作成
B 徹底したネイティブ研究員による集中講義
C 国内研究所の英文化
わが国における2つの難点
・
コスト面
・
参加機会的側面
JICPAに設置(大学院の単位互換を前提)
会計教育の国際化
@ 国際教育ガイドライン(IEG)第9号(1996、10)
A 国際教育基準
「国際会計基準」の作成とその対応という時代
↓
外部監査の国際的充実化を実現するための「国際教育基準」に対応した時代
その他報告にかかわる議論展開の中で:世界各国のグルーピングと国際会計基準
会計を国際基準という観点から捉えなおすために、現在の世界を見た場合、以下のようなグループを意識しながら考察していくことが重要
@ OECD諸国:IASに象徴される国際スタンダードの世界
A ロシアならびに中国:世界経済を左右する超大国
B 東南アジアおよび中・東欧諸国:IASにベクトルを向けつつある
C 中近東諸国:イスラム経済圏と国際資本市場との基本的関係が問われる
D その他の発展途上国:旧宗主国の影響を強くいけている国が多い
<参考文献>
松井泰則「会計の国際化と会計教育」『会計』第161巻第3号、森山書店、2002年3月