会計制度の安定性と変化に関する進化ゲーム理論的検討
はじめに
金融資産の資産評価にかかわる会計制度は、長期にわたって、原価評価のまま変化してこなかった
1980−1990年代のアメリカ金融危機における金融資産への時価評価導入を考察する際に、1930年―1940年代のアメリカ会計原則設定運動期における制度生成のプロセスと比較
・カタストロフを通じて制度が変化
・両者共に資産評価についての変革
→変化のトリガーに共通点があり、資産評価に関して正反対の変化
T.会計システムの外部環境およびミクロな主体についての考察
1.会計外部環境とミクロ主体
原価主義と修正原価主義の対立(米:1950年代)
原価主義者:A.C.リトルトン
vs
修正原価主義者:G.O.メイ
アメリカ会計学会『会計理論および理論承認に関するステートメント』
会計に様々な理論が存在する理由
会計データの「利用者」と、作成者および利用者が行動すると考えられる「環境」の規定の仕方に違い
2.情報の非対称性による不信感
会計システム
会計情報作成者が、会計情報利用者に対して、「不信感」を払拭するために情報提供を行うものということ(受託責任解除の会計)
U.1930年代以降アメリカ会計原則設定運動期における制度生成プロセス
1.―恐慌前―
2.―恐慌後―
V.1980年代以降のアメリカ金融危機における制度変化のプロセス
1.S&L危機の経緯
2.S&L危機の展開と会計規制との関わり
金融危機における制度変化の背景
経済の証券化・ストック化と金融市場の進展
W.進化ゲーム理論による会計制度のモデル分析:省略
1.モデルの設定
2.時価に対する不信のケース
1930年以降の会計原則運動期を想定して
3.原価に対する不信のケース
1980年代以降の金融危機を想定して
<参考文献>
篠田朝也「会計制度の安定性と変化に関する進化ゲーム理論的検討」『経済論叢(京都大学)』第169巻第1号、2002年1月