中国における企業会計制度の発展過程と課題
中国
経済的背景:経済体制の転換、WTO加盟
国内の経済制度を整備・再構築することが喫緊の課題
↓その一つ
企業会計制度の整備
経済の国際化、資本市場の国際化
中国の企業会計制度を如何に国際的に調和化させるかが、中国経済の発展にとって最重要課題
論点
@「中華人民共和国会計法(会計法)」の成立・改正過程を概説することにより、中国の企業会計に関する法体系の特質を浮き彫りにすること
A中国の企業会計制度における転換点となった「企業会計準則」についてその成立過程と制度的意義を論じること
B中国における会計実務の具体的指針である「企業会計規則」について、その発展過程の特徴を浮き彫りにすること
C@〜Bの議論を踏まえ、中国における企業会計制度の特徴点と問題点を闡明にすること
中国における企業会計制度の全体像
中国の企業会計に関する法体系(3つから構成)
@「会計法」
A「企業会計準則」
B「企業会計規則」
「会計法」
企業会計に関する法体系のなかで、基本法
他の2つはこの「会計法」に準拠しなければならない
「企業会計準則」
「基本準則」と「具体準則」の2つから構成
・「基本準則」
すべての企業会計を規制
会計公準、一般原則、会計要素、および財務諸表の作成と提出に関する基本的要請を規定
・「具体準則」
「基本準則」に基づき、個別的な会計処理について具体的な規定
「企業会計規則」
「企業会計準則」を受けて、会計実務の具体的かつ詳細な指針を定めたもの
「会計法」の成立・改正過程とその意義
「会計法」
1985年1月21日に全国人民代表大会常務委員会が制定
1985年5月1日に施行
1993年12月29日、1999年10月31日の2度にわたって改正
「会計法」制定の背景
経済体制の改革と市場経済への移行(1980年代)
混乱した帳簿システムの立て直し
1980年8月:第5期全国人民代表大会第3回会議
「会計法」制定の準備が開始
↓4年半に及び制定作業
1985年1月21日
「会計法」成立
「会計法」制定の主たる要因
企業会計に対する改革要請
中国の政治的・経済的・制度的背景
@法制度の欠落による社会秩序の混乱(政治的背景)(文化大革命)
A会計業務の混乱と原価管理の欠落(経済的背景)
B会計担当者による職責履行の困難さ(制度的背景)
1978年:第11期中国共産党中央委員会第3回総会
「社会主義法制を強化すること」が宣言
「人知または無法」から「法治」への転換が決意
→法制度の重要性が再確認
中国全土で法制度の整備が始められた
↓以降
基本的な会計業務はかなり整頓されてきた
↓全国についていえば
当時の会計業務の水準は経営管理の強化・経済効果の向上という要請になお合致していなかった
ex)会計帳簿ははっきりせず、会計計算には虚偽が見られ、「財務経済規律」に違反する減少がしばしば発生
基本的な会計業務の遅れと財務管理が厳格でない状況
企業に損失・浪費を発生させる原因
・会計業務が確立×
→正しい利益や課税所得を計算できない
・原価計算や原価管理×
→企業の増収と国家財政を保証することもできない
財務管理体制と会計制度を改革し促進する必要性
企業の会計担当者
政府の代理人と企業の従業員という2つの顔
国家
一つの「企業」
企業は国家の計画を実業する組織
企業の利害が国家の利害と常に一致するとは限らない
会計監督の職責を履行するか、あるいは企業を裏切るかという選択に迫られる
会計担当者の職責履行
何らかの法定保証が必要
「会計法」の概要
第1章 総則(第1条〜第6条)
「会計法」の目的
「会計制度を強化し、会計担当者の方による職権行使を補償し、国の財政制度・財務制度の維持、社会主義公共財産の保護、経済管理の強化および経済効率の向上における会計の役割を発揮させる」(第1条)
→市場経済でなく、計画経済のためのもの
適用範囲(規制対象)
国営企業と事業単位、国家機関、社会団体、および軍隊などの国営組織(第2条)
非国営経済組織はその適用対象とはされていない
第2章 会計計算(第7条〜第15条)
会計行為の基本要素が規定
ex)会計計算の対象、会計機関、記帳上の通貨単位、証憑の要求、会計手続、財産照合制度、財務諸表の作成・提出、および会計文書の保管など
第3章 会計監督(第16条〜第20条)
会計監督の基本原則
会計部門と会計担当者による内部監督
国家機関による外部監督
第4章 会計部門と会計担当者(第21条〜第24条)
会計部門および会計担当者に関わる事項が規定
ex)会計部門の設置および会計担当者の配置、会計部門と会計担当者の職責など
第5章 法律責任(第25条〜第29条)
会計担当者と組織責任の違法行為について、その業績処分および刑事責任が具体的に規定
第6章 附則(第30条、第31条)
「会計法」の改正
1993年の部分改正
1985年「会計法」
中国における急速な経済改革のなかで、様々な環境変化に適応しえなくなった
@経済体制の転換(計画経済から市場経済得の移行)
A企業形態の多様化(非国有企業の出現)
「会計法」の制定
会計行為の規制が強化
「会計法」が制定された当時
計画経済(国営企業)が主導的な役割を果たしていた時期
「会計法」の立法主旨
「国の財政制度・財務制度の維持および社会主義公有財産の保護」
1993年:第14期中国共産党中央委員会第3回総会
「社会主義市場経済の確立」という大方針
→計画経済から市場経済への経済体制の転換
非国有経済組織(私営企業、外資系企業など)も多数出現
「会計法」の適用範囲
「国営企業と事業単位、国家機関、社会団体および軍隊」に制限
会計の基本法としての意義を次第に失う
改正の要点
@立法主旨の変化
「会計法」の立法主旨を「計画経済秩序の維持」から「社会主義市場経済秩序の維持」に変更し、それに見合った内容に改正すること
A適用範囲の拡大
「会計法」の適用範囲を「国有経済組織」から「すべての経済組織」へ拡大すること
B会計業務に対する組織責任者の法的責任
会計部門や会計担当者だけではなく、組織責任者にも会計業務に対する法的責任を負担させること
1999年の抜本改正
1996年:国務院は全国の約83.9万の経済組織に対して、会計業務の整備状況を調査
@16.3%の経済組織において、会計情報に誤りがあった
A16%の経済組織において、会計業務の基礎体制の不備がみられたが、その過半数は個人事業や私営企業であったこと
B粉飾決算が氾濫していたこと
要因
@経済組織(単位)の会計全般に関する責任が不明確
1993年「会計法」
組織責任者は、会計部門や会計担当者が法に従って業務を行なうよう指導し、職権をもって業務を持って業務の履行を保証するよう規定
↓しかし
経済組織の会計全般に対して誰が責任を謳歌に付いては、明確に規定されていなかった
A会計監督のメカニズムが健全ではなかった
1993年「会計法」
会計部門や会計担当者が会計監督を行うことが規定
↓しかし
会計担当者は、組織責任者の指導下にある従業員であることから、会計監督の職権を履行しにくいという事情
B会計計算に対する法的強制力が弱かった
1993年「会計法」
会計計算に関する具体的規則は規定されていない
「企業会計準則」にそれを委任する形
「企業会計準則」
会計計算に関する法的責任の規定がない
↓調査結果を踏まえ
国務院(1998年6月)
財政部に企業会計の改善策として「会計法」の改正を指示
1999年10月(2000年7月施行)
「会計法」の改正案が全国人民代表大会常務委員会で成立
抜本的な改正
「会計法」
6章30条→7章52条
30の条文が追加
21の条文が改正
8の条文が消去または合併
主要な改正点
@立法主旨の変化
A会計業務に対する組織責任者の法的責任の拡大
B監督体制の強化
C会計計算に関する規則の整備
D会計違法行為の取締強化
「企業会計準則」の成立過程と制度的意義
「企業会計準則」制定の背景
経済体制の改革と対外開放政策の急速な進展
@国民経済のマクロ管理の強化
A対外開放政策の拡大化
B企業経営のメカニズムの転換
「企業会計準則」前の企業会計制度
所有制別、部門別、業種別に制定
各企業が提供する会計情報
統一性と比較可能性に欠けていた
国民経済の状況を正確に判断するため
企業間の会計規範を統一する必要
対外開放政策の拡大
外国企業と経済交流や合弁企業の設立が盛ん
旧「所有制別・業種別企業会計制度」
旧ソ連の計画経済体制に適応した会計制度を基本モデル
先進諸外国の会計制度とは大きなギャップ
→合弁企業の設立や外資導入が極めて不便な状況
国際会計基準に準拠した会計基準の確立が企業や関係機関から要請
企業改革の深化
企業
一つの独立した商品生産経済単位
旧「所有性別・業種別企業会計制度」
企業の自主的経理を制限
↓問題
・企業の自主性と創造性が発揮されないこと
・業種によって会計制度が異なるため、利益配分などで企業間に不公平が生じてきたこと
・企業の所有権の関係が会計制度上明確に反映されないことから、企業改革の一層の深化にとって障害となってきたこと
企業経営のメカニズムの転換に適合した企業会計制度が望まれる
「企業会計準則」制定の方法論
制定の順序(2つの見解)
@まず「具体準則」を制定し、次に「基本準則」を制定すべきであるという見解(中国会計学会「会計準則および理論研究グループ」の見解)
・諸外国の会計基準制定の歴史からみると、ほとんどの国では、具体的な会計基準が基本的な会計基準より先に制定されている
・理論的には、「基本準則」が「具体準則より先に制定されるべきであるが、実務上は、様々な会計問題を解決するため、具体的な会計規準を制定してから、各会計基準を首尾一貫させるために、基本的な会計基準を制定するのが現実的
Aまず「基本準則」を制定し、次に「具体準則」を制定すべきであるとする見解(財政部会計司「会計準則課題グループ」の見解)
・IASCでは、まず概念フレームワークを決定していることから、この経験を参考にすべきである
・計画経済の産物である「業種別・所有性別企業会計制度」は、国際会計基準とのギャップが大きい。このようなギャップを埋め、会計情報の比較可能性を高めるには、まず共通の基本的概念(フレームワーク)を設定すべきである
・財政部会計司の現状からみると、直ちに「業種別・所有制別企業会計制度」に変わる具体的な会計基準を作成することは困難
「企業会計準則」の制度的意義
「企業会計準則」制定の指導理念
@「企業会計準則」は、中剛の社会主義市場経済の体制に適応するもの
A「企業会計準則」は、国際会計基準を参考にするとともに、中国の会計実践を総括するものであること
B「企業会計準則」は、財政・税務制度との協調を前提とし、会計の相対的独立性を保証するものであること
企業会計制度の変革
@従来の会計計算を大きく変貌させた
「企業会計準則」
従来の業種別、所有制別、部門別による会計計算のモデルとは異なり、中国国内のすべての企業に共通の会計規範であり、各業種や部門の会計制度の基礎となるもの
A会計計算の一般原則を規定した
「企業会計準則」
準拠すべき12項目の一般原則を規定
一般原則
「企業会計準則」のなかで主導的地位
「具体準則」の制定と会計実務全体を指導するもの
その後に予定されている各種会計制度の制定や各企業の会計計算の指導的規範を提供するもの
B会計等式を国際的な会計等式に転換
資産=負債+所有者持分
C国際的に通用する会計報告書の体系を採用
「企業会計準則」
従来の資金平衡表を貸借対照表に転換
財政状態変動表(C/F)を追加
3つの計算書類が会計報告書の体系を構成
D国際的に通用する製造原価法を採用
従来の中国の原価計算(完全原価法)
企業の管理費や販売費等も製品原価に加える
→企業の経営状況を正しく反映しない
製造原価法を採用
製造費用と期間費用を区分する
発生主義と費用収益対応の原則を徹底
「企業会計準則」の構成
「基本準則」と「具体準則」の2つから構成
(1)「基本準則」の構成
「基本準則」
1992年12月公表、1993年7月1日施行:財政部
主として会計計算の基本に関する原則を規定したもの
すべての経済組織を対象に適用
10章66条
@総則(第1章)
「基本準則」の目的
「中国の市場経済の要求に適応し、会計計算を統一化し、会計情報の質を保証することにある」
適用対象
すべての企業
会計公準(4つ)
企業主体、継続経営、会計期間、貨幣的測定
A一般原則(第2章)
一般原則:12の原則が規定
特徴
・比較可能性、適時性といった情報の質的特徴(国際会計基準の概念フレームワークの内容)が含められている
・一般原則の下位におかれるべき評価基準が混在
→性格があいまい
B会計要素(第3章〜第8章)
会計の基本要素が定義
資産
「企業が所有または支配しかつ貨幣で測定可能な経済資源である」
→「将来の経済的便益」ではなく、所有または支配というほう概念によって規定
資産の分類(流動資産、長期投資、無形資産、繰延資産)を規定
→中国の「基本準則」には、基本要素の定義のみならず、具体的な会計手続も規定されている
中国の「基本準則」
国際会計基準の概念フレームワークと比べて、不整備の点が多く存在
→「基本準則」の改正・充実が今後の課題
(2)「具体準則」の構成
「具体準則」
「基本準則」に基づき、会計計算の具体的内容と特別な業種の会計計算について規定したもの
基本的に国際会計基準に準拠して作成
「企業会計規制」の構造的特徴
発展過程と意義
@旧「業種別企業会計規則」から新「業種別企業家計規則」への発展
A「中外合弁企業会計規則」から「外資系企業会計規則」への発展
B「株式制実験企業会計規則」から「株式会社会計規則」へ発展
C「企業会計規則」の統一化
旧「業種別企業会計規則」から新「業績別企業会計」へ
「会計法」や「企業会計準則」が実施される以前
40以上の業種別の企業会計規則
旧「業種別企業会計規則」
財政部または財政部が権限委譲したほかの部(鉄道部、石油化学工業部など)の会計制度担当部門によって作成・公表され、各業種別に実施されるもの
高度に集中化された計画経済の体制に適用するよう、部門別・所有制別・業種別に制定
1992年10月:社会主義市場経済の体制が確立
1993年11月:現代的企業制度が提起
→様々な問題に直面
@会計情報の企業間比較が不十分
企業会計規則が業種別・所有制別に適用されるため、異なる業種の企業間、あるいは同業種でも異なる所有制の企業間では、会計情報の比較が困難
A資本維持が困難
「資金の運用=資金の源泉」という会計等式が採用されており、「資金の運用」と「資金の源泉」の変化の結果が混在するため、資本金に相当する「基金」は、常に変動し、維持されることができない
B記帳方法が統一されていない
多種多様な記帳方法が容認されていたことから、同じ会計事象に対して異なる記帳法が容認されていることになり、会計情報の比較が困難
C財産所有権を明確にできないこと
財産(資金の源泉)は資金の調達源泉ではなく、資金管理の要請(固定資金、流動資金、専用資金)によって分類
国が唯一の所有者である計画経済
→問題なかった
企業資金の調達源泉が変わり、国からの流動資金の給付がなくなった反面、企業は金融市場から資金調達が可能
→所有権の関係を明らかにすることが困難
D企業の経理自由が認められていない
認識・測定に関する会計的判断が認められていなかった
会計的判断は国家によって行われ、国の財政・財務規則によって規制
1993年7月1日:「企業会計規則」の大幅な見直し
40以上の「企業会計規則」→13の「企業会計規則」
@工業、A商品流通、B運輸交通、C鉄道、D航空、E郵便、F旅行飲食サービス、G建設、H不動産開発、I農業、J貿易、K金融、L保険
改正の特徴
@すべての企業が統一的な「企業会計準則」に準拠した上で、所属する新「業種別企業会計規則」を適用することによって、企業間の会計情報の比較可能性が高まった
A会計等式が「資金の運用=資金の源泉」から「資産=負債+所有者持分」へ変更されることによって財産所有権の関係が明確になり、資本維持の考え方が可能になったこと
B記帳方法が貸借記帳法に統一されたことによって、会計情報の企業間の比較可能性が高まったこと
C企業の経理自由が容認されたこと
↓しかし
業種別の壁は完全に破られてはいない
異なる業種間で会計情報の比較が不可能であるという問題は、依然として未解決
「中外合弁企業会計規則」から「外資系企業会計規則」へ
1979年:対外開放政策がスタート
外国資本の直接投資が認められる
外国投資企業(3つの形態)
@合弁企業
A合作企業
B外資企業
1979年7月:「中外合弁企業法」施行
1985年3月:資本主義会計に基づく「中外合弁企業会計規則」公表、1985年7月実施
特徴
@業種別ではなく、すべての業種に適用されること
A国際会計基準を参考にして制定された最初の規則であること
B一般原則および会計処理基準が含まれていること
「中外合弁企業会計規則」
国際会計基準に準拠した近代的な企業会計規則
中国における企業会計の国際的調和化の第一歩
外国直接投資の環境は着々と整備
合弁企業のほか、合作企業および外資企業の数と規模は増加の一途
1992年5月
合弁企業、合作企業および外資企業を含めた統一的な「外資系工企業に関する実施規則」が公表
1992年6月:「中外合弁企業会計規則」制定
中国企業と外資系企業
依然として異なる企業会計規則が適用
→中国企業と外資系企業の間で会計情報が比較可能性を欠く
「株式制実験企業会計規則」から「株式会社会計規則」へ
1989年:国営企業の経営悪化
問題
@国有企業の赤字経営の長期化および国有資産の流失
A経営請負制およびリース経営制による企業活動の短期化
↓問題状況から脱却するため
株式会社制度が導入
1992年5月23日:「株式制実験企業会計規則」
有限会社と株式会社に適用
1998年1月:新たに「株式会社会計規則」実施
「株式制実験企業会計規則」と比べて、投資者および債権者保護にその目的が置かれている
財務諸表の開示が前提
→開示内容の一層の充実が図られている
企業会計規則の統一化
2000年12月:「企業会計規則」公表(財政部)、2001年1月1日から実施
最終的には、すべての企業に適用されるもの
現在は、株式会社にのみ適用
(1)統一的な「企業会計規則」必要性
@「会計法」などからの要請
A市場からの要請
B会計基準および経済の国際化
(2)「企業会計規則」の意義
2つの部分に分類
@一般規定
A会計勘定科目および財務諸表に関する規定
「業種別企業会計規則」や「株式会社企業会計規則」とどのように異なるのか
@適用範囲が拡大されていること
A内容が一般的であること
B会計要素が明確化され、一般原則が充実していること
・資産の定義
従来の「所有または支配」という法的概念から「将来の経済的便益」という経済的概念へ変更されている
・実質優先主義の採用
・減損会計の採用
対象:固定資産、建設中の工事、無形資産など
・中国の事情に適応しない事項が廃止された
公正価値による債務再構築の廃止など
今後の課題
現行の企業会計制度には、いくつかの重要な課題
@経済組織は、その活動目的によって、会計の目的、認識対象などが異なることから、「会計法」がすべての経済組織を同様に規制することには疑問が残る
A「企業会計準則」については、「基本準則」と「具体準則」のそれぞれに以下のような課題
・「基本準則」のなかに、国際会計基準の概念フレームワークが含まれているが、それは一部分に過ぎず、内容的にかなり不十分であることから、「基本準則」を国際会計基準のレベルまで改正・充実する必要
・「基本準則」と「企業会計規則」の内容を調節する必要
・「具体準則」の中には最近の会計問題に関する規定がない
B「企業会計規則」については、それを国有企業に如何に適用させるかが課題
C「企業会計準則」と「企業会計規則」の関係
内容がかなり重複する部分がある
両者間での調整が必要
D会計専門家の不足
会計専門家をいかに養成し、会計機能をいかに発揮させるかが、中国における企業会計制度の発展の鍵
<参考文献>
河崎照行、顔維群「中国における企業会計制度の発展過程と課題」『甲南経営研究』第42巻第3・4号、甲南大学経営学会、2002年3月