グローバルスタンダードとトライアングル体制
トライアングル体制と、新体制のもとで形成されるグローバルスタンダードとをどのように調和させるか
Tグローバルスタンダードの目的とトライアングル体制の特徴
グローバルスタンダードの目的とトライアングル体制の特徴
ボーダレスに展開される資本市場を重視し、そこでの投資者の意思決定に有用(relevant)な会計情報を適時に提供すること
↓
各国間に差異の認められる会計基準を、より上質の基準として整備しつつ国際的に統一し、会計情報の比較可能性(comparability)を実現しようとする
トライアングル体制
商法、法人税法および証券取引法の3つの会計関係法令が相互に密接に結びつき、一つの有機的な企業会計制度を形成している状況
会計目的(トライアングル体制)
資金的な裏付けのある分配可能利益を算定
特性
1、
会計数値の検証可能性(verifiability)
2、
保守主義性(conservatism)
3、
実現可能性(realizability)
4、
信頼性(reliability)
Vトライアングル体制における証券取引法会計の変化
連単逆転の構想
証券取引法会計を分離独立させ
↓その結果
証券取引法会計に期待されている投資意思決定情報提供機能を徹底して遂行する
伝統的な「原価・実現主義」に基づく会計の体系
↓
「時価・発生主義」に基づく会計の導入
W投資意思決定情報と分配可能利益算定情報の峻別と包括表示
新しい会計のスキームが具備すべき最も想定しやすい要件
第1、投資意思決定情報とは,企業実態を的確に開示し得る情報の形成を目指すもの
⇒「時価・発生主義会計」
第2、分配可能利益の算定を目指す計算の立脚基盤
⇒「原価・実現主義会計」
企業実態を的確に開示し得る情報の形成
時価・発生主義会計の理論と手法
分配可能利益を算定するための情報の形成
原価・実現主義会計
実践形態
FASBステートメント130号によって提案されている包括利益の計算構造
当期包括利益計算(SFAS130号)
「当期純利益」と「その他の包括利益」の2つの計算過程からなる
「当期純利益」の計算過程
伝統的な原価,実現主義会計の理論と手法が継続的に適用
⇒合算「当期包括利益」
↓つまり
原価・実現主義会計情報と時価・発生主義会計情報の二元情報を形成し,両者を明確に区別した上で,そのいずれも損益計算書に表示しようとするもの
<参考文献>
加古宜士「グローバルスタンダードとトライアングル体制」『企業会計』Vol.54,No.1、中央経済社、2002年1月