IASB等の重要論点の一つ
業績報告
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契機:資本直入項目の出現
→損益計算書と利益計算書のあり方とが問い直された結果
利益観の分類
利益観
利益の会計計算構造上の本質に関する解釈
利益=当期純利益
利益観
・連繋利益観
・非連繋利益観
連繋
損益計算書で計算された当期純利益が貸借対照表における当期純利益と一致することによって、損益計算書と貸借対照表とが当期純利益を結節部分として繋がっている関係
連繋利益観
・収益費用利益観
収益および費用概念を中心に会計計算構造を理論構成し、利益はともにフロー概念である収益から費用を差し引く形で計算されるとする考え方
・資産負債利益観
資産および負債概念を中心に会計計算構造を理論構成し、利益はともにストック概念である資産と負債の差額である純資産額の一期間中の増減額として計算されるとする考え方
非連繋観
損益計算書で計算された当期純利益が貸借対照表における当期純利益と一致することを要求しない
*偶然に一致することはありうる
損益計算書の作成を支配する利益計算構造の基礎にある思考と貸借対照表の作成を支配する測定構造の基礎にある思考とが異なっている
収益費用利益観と資産負債利益観
(1)利益計算方式
収益費用利益観
期間利益−期間費用=当期純利益
資産負債利益観
期末純資産額−期首純資産額=当期純利益
(2)財務諸表要素の定義
収益費用利益観
収益および費用を定義
↓した上で
・資産を将来費用として定義
・負債を繰延べ(将来)収益および引当金として定義
資産負債利益観
資産を経済資源ないし将来経済便益として定義
負債を将来において経済資源を犠牲にする現在の義務として定義
↓した上で
・費用を資産の減少または負債の増加と定義
・収益を資産の増加または負債の減少として定義
利益観の混乱
(1)複式簿記と利益計算方式
前提:複式簿記
どちらの利益計算方式によったとしても、利益額は必ず一致(一致するからこそ複式簿記)
利益計算方式のみに関して
資産負債利益観と収益費用利益観とは、単一の利益計算構造の中で両立できるように見える
(2)費用収益の対応と将来キャッシュ・フローとの結び付き
費用性資産
・収益と費用の対応関係の確実性(収益費用利益観)
・将来キャッシュ・インフローを生み出す可能性(資産負債利益観)
→どれだけのレベルを要求するのかによって、資産や負債の範囲が異なる
高いレベルを要求
→資産や負債に含まれる項目の範囲は狭くなる
低いレベルを容認
→範囲は広くなる
収益費用利益観、資産負債利益観
同じ資産および負債の範囲となるレベルがある
複式簿記を前提
将来収益との対応関係や将来キャッシュ・フローとの結びつきの強弱をどう考えるか
⇒両者を同様の利益計算の仕組みであるかのように理論構成できる
<参考文献>
佐藤信彦「業績報告と利益観〔1〕」『企業会計』Vol.55,No.1、中央経済社、2003年1月