IASBとFASBのノーウォーク合意について
IASBとFASBの共同会議(2002.9.18)
@IASBとFASBの統合プロジェクトの推進
A収益認識プロジェクト
B企業結合第2フェーズ
C業績報告プロジェクト
ノーウォーク合意(2002.10.29公表)
「IFRS」と米国会計基準との統合化を今後推進していくことについて行われた合意
・比較的簡単に統合化ができる項目に限って短期的なIFRSと米国会計基準との統合
・2005年1月1日時点で残っている両者の差異についても、独立プロジェクトを設けて中長期的に統合化を図っていく
・会計基準を解釈する委員会の活動についても共通の解釈ができるように統合化を図る
ノーウォーク合意の背景(IASBの統合化プロジェクト)
統合化プロジェクト(IASB:2002.6〜)
現在リエゾン国の間には、おおむね類似の会計基準でありながらいくつかの細かい点で内容が異なっている会計基準が存在しており、このような会計基準を取上げて、基準観の比較的小さな差異をなくし、リエゾン国間における会計処理の統合化を図る
検討課題の候補
@年金会計
A法人所得税(税効果会計)
Bセグメント報告
C再評価(有形固定資産に関するIASが許容している時価による再測定方法の統合化)
*IASBの目的
各国の国内基準と国際基準の高品質な解決策への統合をもたらすこと
ノーウォーク合意
@IFRSと米国会計基準との間にある多様な差異を削除する目的で短期的な統合化プロジェクトに着手する
A2005年1月1日時点で残っている両者の会計基準の差異を、両者の将来の作業計画を調整することを通じて取り除く
B現在進行している共同プロジェクトを継続してとり進める
C両者のそれぞれの解釈し新設定組織がそれぞれの活動を相互に調和させることを促進する
→IFRSと米国会計基準とを短期のみならず、中長期的にもほぼ同じ内容とすることを念頭に、広範な協力関係を構築していくことを宣言したもの
@:目標
2003年半ばにプロジェクトの修了
改訂IFRSを2005年から適用
A
短期的に解消できないより根本的な両者の差異についても、そのような差異のある会計基準を一つ一つ取上げて、今後中長期的に差異の解消を図っていく
B
2つのプロジェクト(企業結合の第2フェーズの検討と収益認識に関する包括的な会計基準の検討)の推進、統合化
C
IFRSの文言の解釈等を行なう「国際財務法おく解釈指針委員会」と米国会計基準の解釈を行なう「緊急問題託すフォース」とが緊密に連携を図り、同じ会計事象に対しては、同じ解釈指針が公表できるようにすること
短期統合化プロジェクト
対象として選ばれている差異
IFRSで採用することが要求されているが、その会計処理は米国会計基準では認められない差異に限定
↓言い換えると
短期統合化プロジェクトでは、米国会計基準に準拠することがそのままIFRSに準拠することになるようにすることが目的
図参照(P83)
IASBとFASBの共同プロジェクト
@収益認識プロジェクト
A企業結合第2フェーズ
*IASBがASB
業績報告プロジェクト
@収益認識プロジェクト
いつ収益を認識するべきかについての包括的な会計基準を作成することを目指すプロジェクト
・IASB
IAS18号
・FASB
包括的な収益認識の原則が示されていない
↓
業界ごとまたは取引ごとに様々な収益認識の取り扱いが存在
↓
繰延収益という負債の定義を満たさない科目が負債に計上
IASB,FASBの概念フレームワーク
包括的にこの問題を取り扱っていない
資産・負債アプローチに基づいて収益認識に関する包括的な会計基準を作ろう
A企業結合プロジェクトの第2フェーズ
FASB
基準書第141号、142号
IASB
IAS第22号
第1フェーズ(2002.12:IAS第22号の見直し)
企業結合に関する米国会計基準との統合化を図るため、プーリングオブインタレスト法が削除され、のれんの減価償却は減損会計に置き換えられた
第2フェーズ
企業結合の唯一の会計処理とされたパーチェス法を実務に適用する差異に問題となるいくつかの点について、より詳細な取り扱いを明確化するための会計基準の作成を目的
ex)
・被取得企業の資産・負債の公正価値を決定するための測定ガイダンスの作成
・株式を企業結合の対価として交付する場合の測定日を取得日とするか合意日とするか
ノーウォーク合意の意義
目的(表面的)
国内およびクロスボーダーにおける財務報告において世界的に利用されるような高い品質の一組の会計基準を作ること
目的(実質的)
米国会計基準に準拠した財務諸表をそのままIFRSに準拠した財務諸表とみなせるようにすること
↓
IFRSを用いる欧州の資本市場と米国会計基準を用いる米国の資本市場がより一層互換性を高める
山田氏の見解
@
A
B
C(P85参照)
<参考文献>
山田辰巳「IASBとFASBのノーウォーク合意について」『企業会計』Vol.55,No.2、中央経済社、2003年2月