変わる会計 変わる日本経済
経済を見る「会計」というメガネ
会計とは何か
@財産の変動とその現状を明らかにするシステム
「財産の変動」を測定する
A利益を計算するシステム
「利益の計算」
B企業における各種の関係者の利害を調節するもの
測定結果を使って関係者の利害を調節
C投資の意思決定に必要な情報を提供するもの
投資家に情報を提供
@,A
会計の目的に関する見解の相違
→会計とは何をするものなのか
B,C
会計がどういう役割を果たしているかという、機能に関する意見の相違
→会計は、社会のどういうところで利用されているか
広範囲な仕事を曲がりなりにも満たしてきた
多機能
→どの仕事もうまくこなせるわけではない
会計の役割
会計にしかできない仕事
企業のトータルな利益を期間的に区切って計算すること
金融ビッグバンと会計の仕事
利益の計算以外
財産を計算する機能
投資意思決定情報提供の機能
規制緩和が叫ばれる時代に、会計だけが規制を強化される
⇒『自己責任の原則』
会計ビッグバンの下で想定されている会計の役割
投資家や消費者が、企業や企業が提供する商品について適切な判断が下せるように、必要な企業情報を会計データという形で提供すること
会計と倫理
会計も包丁も道具
・人間が包丁を悪用すれば、包丁ではなく、悪用した人間が責められる
・会計を使う人間が粉飾やら利益操作やらをやっても、やった人間ではなく、会計という道具が悪いと言われる
→会計制度や会計基準の問題ではない
⇒経営者の倫理観の問題
厳格な会計基準
暴走族を前提とした信号システム
「会計ビッグバン」で何が変わったのか
フリー・キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた残り
M&A、自己株式の取得、増配、債務圧縮など戦略的な意思決定に使える資金
日本経済のグローバル化と国際会計基準
制度(ダグラス・ノース)
ルールの束
会計を経済学的に定義
市場の価格メカニズムが機能しない内部組織においてなされる経済取引について、擬似的な計算価格を提供する制度
技術やルール
標準化されればされるほどその普及が加速化される特性
国際会計基準の特徴
連結会計、時価会計、キャッシュ・シュロー会計
日本的経営
長期的な側面が強調
資本…メインバンクとの長期の相対取引
労働…新卒からの長期雇用
中間財…長期的な系列取引
市場指向の会計基準
市場変動をストレートに開示する制度
利益を安定化させる機能をもたない
会計情報
制度化された経済情報
制度
支配的な利用者の要求に応じてダイナミックに変化する
<参考文献>
田中弘「経済をみる「会計」というメガネ」、冨塚嘉一「「会計ビッグバン」でなにが変わったのか」、山本昌弘「日本経済のグローバル化と国際会計基準」、『経済セミナー』No.574、日本評論社、2002年11月