財務会計情報の有用性
法律による財務会計情報公開規制の問題
効率性と公正性の2つの問題
・効率性の問題
規制によって誰もが不利益を被ることなく、社会全体としての構成がより改善されるか
・公正性の問題
規制によって富が各個人にいかに分配されるか
財務会計情報の法規制が意義
社会全体の富・構成を増加させうる
ワッツ・ジンマーマン、ビーバー
法規制による強制的情報作成のコストの方が自発的情報作成のコストより少なくてすむ
会計情報を自発的に作成する場合に比べて規制によって作成する場合のコストがどれだけ少ないか
社会的ベネフィットが経営者あるいは投資家等の私的ベネフィットを上回る
規制から得られるベネフィットがどれだけ得られるか
財務会計
資金調達のための会計
財務会計情報の提示
資金調達のためのコスト
財務会計情報の有用性
資本市場理論
証券の期待収益率の決定要因
市場リスク
投資家にとっての財務会計情報の有用性
市場リスクを推定する能力によって決定
財務会計情報と市場リスクとの相関関係
現実に存在
利益の変動性を表す財務会計情報と市場リスクとの間
効率的市場仮説
利用可能なあらゆる情報を十分に反映している市場であり、証券価格に関連する情報処理において効率的な市場のこと
内部情報を入手する以外、超過収益を期待できない
公開財務会計情報の役立ち
株価安定化作用にあるのではないか
市場レベルの観点から財務会計情報の機能
公正な証券価格決定資料としての役立ち
稀少資本の効率的配分への役立ち
個々の投資家のレベル
より少ないリスクでより大なる収益率を稼得できるような証券の組み合わせのための選択にとっての有用性
財務会計情報の伝達
資本市場に課せられている機能
効率的な資金配分
→「公正性」の要請
強行法規によって公正性を維持
「適時性」
「正確性」
時価評価とリスク情報の提示
投資判断資料および公正な証券価格形成資料
投資家に対しての経営者のいわば法的責任解除表明手段としての機能
計算書類の公開
法的には何よりも責任解除機能にある
現行の制度会計
持分保全会計
外部意思決定会計ではない
*レバレッジ
営業上および財務上のリスクを引き受けることにより、そのプラス効果として利益率を高めたりあるいはそのマイナス効果として利益率を低めたりするプロセス
財務レバレッジの測定方法
・ストックによる測定方法
負債比率、総資本負債比率
・フローによる測定方法
営業利益と支払利息との比率
・結合的な測定方法
総資本利益率と自己資本利益率との比率
<参考文献>
保坂和男「財務会計情報の有用性」『産業経理』Vol.63, No.2、産業経理協会、2003年7月