10章 企業と会計情報−社会報告会計−

1.日本文化と企業

文化

 人間社会においてそれぞれの風土と社会的要因に基いて形成された一つの価値体系

 それぞれの社会において独自に継承されてきているもの

特質

長い間に独自性を持ちながら継承

特徴

独自性をもつ

根底

人間社会に共通する普遍性を包含している

日本文化の原点→祭り

日本の祭り

神道に基づいており、それぞれの神社が祭祀している祭神を記念し、五穀豊穣・殖産興業・家内安全・無病息災等を祈念しつつ、神輿担ぎや山車の引回しなど様々な行事を行うもの

企業

希少資源を有効に利用して価値ある生産物を新たに産出し、それを社会に提供する機能を担って存在する組織体

  ↑

独自の文化的基盤に立脚して生成発展してきている

文化的独自性を内在的に保有しているもの

2.「八紘為宇、六合開都」と実虚ピラミッドモデル

3.企業モデルと会計情報

伝統的企業モデル

企業の活動をカネの流れとモノの流れによって捉えている

情報として全体的に統一的に把握される企業会計

企業規模の拡大と職能の分業化にともなって財務会計と管理会計とに区分けされて利用され考察されるようになった

財務会計

企業を取り巻く各種の利害関係者に必要な会計情報を提供するもの

管理会計

企業の経営管理者に有用な会計情報を提供するもの

  ↓コンピューターの出現と時代認識の変化

改めて財務会計と管理会計を統合する視点が必要

4.貸借対照表・損益計算書とキャッシュ・フロー計算書

5.付加価値の計算と環境付加価値計算書

伝統的企業モデル

従業員の位置付け

企業が対価を支払って取得した労働力というサービス

→従業員の削減ないし賃金・給料の切下げが短絡的に実施

企業の経営成績

利益概念を発展させた形での付加価値で測定

付加価値

営業利益に従業員に支払われる賃金・給料等の労務費部分を加算して計算

賃金・給料等

費用として認識されるのではなく、労働収益として認識されて付加価値という成果の分配

→付加価値計算書の作成および開示

 

環境付加価値計算書

オランダ:BSOORGIN社が公表

構造

企業の経済活動の成果を示す財務数値として「付加価値」を捉え、そこから環境に与えた正味のマイナス額として「控除価値」を計算して、企業の社会的成果に近い財務数値として「純付加価値」を算出するもの

控除価値

環境に与えたマイナス要因を「環境影響コスト」として捉え、それから環境のために支出した費用「環境支出」を差し引いて計算

環境に与えたマイナス要因

天然ガス使用暖房・電力使用・道路交通・空路交通・廃棄物償却による二酸化炭素等の空中放出分、汚水、廃棄物

  ↓

物量値で把握

  ↓

貨幣換算

⇒会計の枠組みの中で環境問題が把握される

付加価値

人件費+減価償却費+金融費用+税金+純利益

 

<参考文献>

木下照嶽、中嶋照雄、柳田仁編著『文化会計学−国際会計の一展開−』税務経理協会、20026