中国の法律制度
人知から法治へ
1970年代
法律の数は極めて少なかった
「文革体制」のもと、法律よりも政治が優先
1979年:「改革開放」以来
先進諸国への門戸開放を前提として法律を急速に整備
現在
日本で制定されている法律の大部分は、中国でも制定されている
六法全書の量:ほぼ同じ
法律の適用
人知の国だから、法律はあってもそのとおり運用されていないはずだとの指摘
法律が制定されるスピードが人々のほう意識に追いつかない
政策より法律の内容が頻繁に変更されて不安定
地方の現場では混乱も
外国からの投資に関して
法律のルールにより運営されるという原則が徹底されてきている
市場経済
予見可能性が必要
予見可能性を担保するもの
→法律
中国への投資にとって法律の役割は極めて重要
中国法の制定時期
法律が整備され始めた
1979年:「改革開放」以来
合弁企業法
1979年にいち早く制定
憲法、民法通則など
1980年代に制定
1992年:「南巡講話」
社会主義市場経済が本格的に導入
法律整備のスピードは急に速まった
不正競争防止法、会社法、担保法、労働法、手形法、外果敢離条例、証券法、契約法などが相次いで制定
2001年のWTO加盟
1,000以上の法令を改廃する作業
加速度的に人知の国から法治の国へと向かいつつある
国家機構のレベルと法律のレベル
(一)狭義の法律
立法権
全人代だけでなく、その常務委員会にも与えられている
全人代の開催
原則として毎年1回
→機動的に対処できない
常設機関として常務委員会が設置
全人代の代表のなかから常務委員会の委員が選出
通常2ヶ月に1回開かれる
全人代と常務委員会が制定する法律
狭い意味での法律
法律名の最後に「法」がつくことが多い
(二)行政法規
行政機関
国務院
中国
三権分立制度はない
国務院は全人代の下部組織
国務院
行政法規を制定する権限が与えられている
国務院が制定した行政法規
「条例」と呼ばれることが多い
国務院の中にいろいろな部門
日本でいえば省に相当
中国では部
部と同一のレベル
委員会
部や委員会で制定される行政法規
「規則」、「規定」、「実施細則」などと呼ばれる
中国の法律制度
レベル構造
優先関係がある
全人代と常務委員会が制定する法律
行政機関である国務院が制定する条例に優位
国務院自体が制定する条例
国務院の部や委員会の制定する規則、規定、実施細則に優位
(三)地方性法規
地方の省や直轄市
地方性法規を制定することができる
憲法、法律、行政法規に反しないことが前提
現実
地方性法規が、国務院の部の制定した規則と矛盾することがある
→国務院が意見を添えて、全人代常務委員会に処理を委ねる
国家の重要なルール
全人代またはその常務委員会が法律(狭義の法律)の形式で制定
法律を支えるための重要な規定
国務院が制定
細かい規定
国務院の部や委員会が制定
法律や行政法規の存在しない分野
地方ごとに地方性法規
→重要な規範
<参考文献>
『中国経済六法〔2003年版〕』日本国際貿易促進協会、2002年11月、P30〜33