国有企業改革

20033月:第10期全国人民代表大会第1会議

国務院国有資産監督管理委員会の設立

  ↑をうけて

0211月:第16回党大会

「中央政府と地方政府がそれぞれ国を代表して出資者の職責を履行し、所有者権益を享受する、権利・義務・責任が統一され、資産と人、事務の管理が結合した」国有資産管理体制をつくるべきだと提起

国有資産管理体制改革の経過

1988年:国有資産管理の専門機構として国有資産管理局が設立

1993年:143中全会

国務院が国有資産の所有権を統一的に行使し、各級政府が分担して監督・管理する

“国家の統一所有、政府分級監督・管理、企業自主経営”の基本原則

国有資産管理局

財政省に従属した2級管理部門

独立した専門職能を十分行使できなかった

→中央政府各部門、各級地方政府

事実上、国有資産所有者の身分で所有者職能を分割して行使

→誰にも所有者責任を全面的に負う義務もないし責任をとらない

⇒“所有者不在”状況

国有資産管理局

98年撤廃

→独立の国有資産管理部門は設立されず、関係政府機関が分割して監督・管理する方式

1999年:154中全会

“国家所有、分級管理、授権経営、分担監督”の原則が提起

国務因果国有資産の所有権を統一的に行使し、中央と地方政府が国有資産の所有権を統一的に行使し、中央と地方政府が国有資産を分級管理し、大企業、企業集団あるいは持株会社に国有資産の経営を授権する体制の構築

国有資産監督管理委員会の組織構造・職責と特徴

国有資産監督管理委員会

中央企業工作委員会の全部の職能(190社あまりの中央管理の国有企業の指導グループの任免)

国家経済貿易委員会がもっていた国有企業改革・再編の指導等のいくつかの職能

財政省が責任を負っていた国有資産の登記・処理等の職能

労働省が握っていた賃金総額管理

国家発展計画委員会の事業決定職能

など

→複数の官庁に分割されていた国有資産の管理の職能を整理・統合

国有資産を専門的に管理する国務院直属の正規の部(省)クラスの特設機構として設立

国務院から授権して国家を代表して出資者の職責を履行

国有資産監督管理委員会の監督・管理の範囲

中央所属企業(金融関係企業を含まず)の国有資産に確定

地方所属企業の国有資産

改革後設立する省、市(地区)両級地方政府の国有資産管理機構が国家を代表して出資者責任を履行し、監督・管理に責任を負う

国有資産監督管理委員会の職責

会社法等に照らした出資者職責の履行

国有企業改革と再編の指導

国家を代表して一部分の大型企業への監事会の派遣

企業責任者の任免と賞罰

所管国有資産の価値維持・増加状況に対する監督・管理、国有資産の法律

行政法規の立案

規制制度の制定

地方国有資産への指導と監督

など

新国有資産管理体制

国有企業の改革、再編を促進する主体を、中央政府だけでなく地方政府にまで拡げた点に特徴

国有資産

国有資産総量は、01年末で約109000億元、うち経営性資産73000億元、67%、経営性資産のうち中央管理が約60%、地方が40%。全国各地方各業種の1718万社の公有企業に分布

国有企業改革の現状

国有企業改革

90年代後半以降、国有経済の戦略的調整、すなわち国有経済を少数の重要業種、基幹分野、重点企業に集中する一方、劣位企業の市場からの退出を促進することによって、国際競争力をもった大企業と大企業集団を形成すること、国有大中型企業の株式制改造、法人管理構造の確立などの現代企業制度を確立し整備すること等が目指されてきた

国有経済の整理・統合

80%以上の国有小型企業が売却、吸収合併、株式合作制等の方式を通して非国有企業に変わり、国有経済の範囲・比重が低下

国有企業の数

1718万社

業種分布が分散的

01年末:39の工業業種領域すべてに存在

国有企業の民営化や国有企業の政策的破産

01年までの5年間で5335

競争業種や市場からの退出が進展

国有資産流出

国有資産総額約10兆元に対して毎年100万元

国家統計局の全国4371社の重点企業調査

01年末までに3322社、76%が会社制改革を行なっている

514社の国家重点企業の会社制改革企業の割合

77.2

181社の中央管理国有企業

21

93社の国務院確定の現代企業制度確立実験企業

88.2

121社の国務院確定の企業集団実験親企業

52.1

→全体的にみると形式的変化の要素が強い

会社制改革を行なった3322社の登録資本

国家資本:64.6

投資主体の多元化は十分ではない

上場株式会社の設立

下の国有企業の優良な資産のみを取り出し、債務、余剰人員、離・退職者の養老と医療保険等の各種の負担をも持株会社として上場会社を支配するという方法

新国有資産管理体制形成の狙い

新しい国有資産管理体制の形成の狙い

国有資産に全面的な責任をもつ所有主体を明確化すること

主な課題

@国有経済の集約化をさらに進める一方、外資企業や私営企業への国有資産の売却等を通して競争業種からの国有企業の退出を大胆に進める

Aその際、国有資産評価、購買者に対する審査等によって、国有資産の流出を防止する

B国有企業の管理構造を改善し、インサイダー・コントロールを防止し、企業競争力を強化する

市場経済への移行

最終段階

多くの地方政府は内外投資家に財産権を譲渡

→労働者に対する社会保障の手当てが今後大きな問題

 

<参考文献>

(社)中国研究所『中国年鑑 2003年版』創土社、20038月、P132134