Understanding the Issues

SFAC7「会計上の測定におけるキャッシュ・フロー情報及び現在価値の利用」

4つの論点

@期待キャッシュ・フロー

A負債の当初測定が公正価値によるケース

B公正価値による測定

C信用度と負債の測定

・概念フレームワークそのものの概説

 

Why Dose the FASB Have a Conceptual Framework?

(1)概念フレームワークとは何か?

(2)フレームワークはどのように会計実務に影響するのか?

(3)なぜフレームワークが必要なのか、そして誰がそれから恩恵を得るのか?

(4)FASBがフレームワークを開発した動機は何か?

(5)FASB以外の会計基準設定主体でも似たようなフレームワークを開発しているか?

(6)フレームワークについて将来どのようなことがなされるべきか?

 

(1)概念フレームワークとは何か

概念フレームワーク

相互に関連する基本目的ならびに基本原理の集合体

*基本目的

財務報告の目標や意図を明らかにすること

*基本原理

基本目的の達成を支援すべく根本にある諸概念

*根本諸概念

会計処理すべき取引や事象さらに状況をいかに選択し、そしてそれらをどのように認識し測定すべきか、またどのように要約し報告すべきかについての指針を与える

7つのSFAC

SFAC1号:『営利企業の財務報告目的』(1978.11

SFAC2号:『会計情報の質的特徴』(1980.5

SFAC4号:『非営利組織の財務報告目的』(1980.12

SFAC5号:『営利企業の財務諸表における認識と測定』(1984.12

SFAC6号:『財務諸表の構成要素』(1985.12

SFAC7号:『会計測定におけるキャッシュフロー情報と現在価値の利用』(2000.2

(2)フレームワークはどのように会計実務に影響するか

・直接は影響しない

・新しい会計基準開発段階における影響力のみによって会計実務に影響を与える

(3)なぜフレームワークが必要なのか、そして誰がそれから恩恵を得るのか

フレームワーク

会計基準設定のための基礎

会計処理と報告における疑問点の解決手段

FASB−最も直接的な受益者

問題点を討議する際の基礎

意思決定するときの基礎

⇒基準の「結論の背景」

基本的論題(ex.資産とは何か?)の再論を退ける

→基準設定過程が極めて効率的になることに寄与

効率的なコミュニケーションの促進

共通の専門用語の規定、検討項目の枠組みを提供

⇒特定の技術的問題点について審議会内部の討論を効率化

政治的圧力を減らす作用

財務情報−中立的な情報

経済及び社会における希少資源の効率的な配分の推進を助長

→公共の利益に貢献

個人的な偏向の影響を減らす

if,概念フレームワークなし

⇒基準設定が必然的に審議会の個々のメンバーの個人的フレームワークに基づかなければならない

*チャールズ・ホーグレン(Charles T. Horngren

(企業会計2002.NO.6 P107,8参照)

個人的な概念フレームワークに基礎を置いている状況

→組織のメンバーが変更するに従い、個々人の概念フレームワークの混ざり合いも変化

⇒相互一貫性や過去の結論とも一貫性のない会計基準、将来について何らの示唆をなしえない会計基準として結実してしまうかもしれない

↓つまり

適切な会計上の取り扱い

当事者の目に映ったもの

フレームワークなくして合理的な討論は起こりえない

フレームワーク

内部的に一貫した会計基準の開発を促し、また、各基準相互間で整合性のある基準の開発を助長する

→財務諸表作成者、利用者に恩恵

当該情報の内容をよりよく理解し、またその限界も理解するのを助ける

フレームワークから導き出された会計基準を理解するための考え方の枠組みを提供する

→財務諸表作成者、監査人、学生、教授者に有用

(4)概念フレームワークを開発した動機

APBが経験した困難性についての考察から

AICPA特別委員会が1958年の報告により創設

前提:諸概念〜会計基準にとって意義ある根源を与える

→諸概念と基準の両方の開発

APBステートメント第4号「営利企業の財務諸表の基礎となる基本的な諸概念と会計原則」

→基本的には規範的なものでなく解説的なもの

→回顧的なものであり、会計基準設定にあたりAPBに確たる指針を与えるものではなかった

 ↓APBの批判を受け

フィート報告書「財務会計基準の設定」

トゥル−ブラット報告書「財務諸表の基本目的」

 ↑

FASB概念フレームワーク・プロジェクトの基礎

(5)FASB以外の会計基準設定主体でも概念フレームワークを開発しているか

カナダ、IASC(現IASB)−最初に

オーストラリア、ニュージーランド、イギリス−続いて

財務報告の基本的な目的観

投資意思決定及び与信意思決定にあたり投資家及び与信者に有用な情報を提供すべき

(6)フレームワークについて将来どのようなことがなされるべきか

どのフレームワーク→「完全」とはいえない

ex)FASB

財務諸表の表示、開示

財務諸表外の報告

→扱われていない

認識、測定

→主題のように取り上げられながら幾分不完全

FASBフレームワーク(20年前)

 ↓

今日的な諸問題の多くが、フレームワークがはじめて開発された時に想定されたものとは違った様相を呈しており、より複雑になっている

 

<参考文献>

ジョン・M・フォースター、L・トッド・ジョンソン 訳:澤悦男・佐藤真良「FASB概念フレームワークの論点@」『企業会計』Vol.54,No.620026