中国における企業制度市場化の進展
会社制度(「会社法」)の導入
中国の企業に対し有限責任制度を導入することを主眼
企業は「会社になる」ことにより、資産の範囲とそれに対する責任・権利の所在とが法的に規定された存在となる
会社制度導入の進展
会社として登記されている企業数:60万社近く
中国で登記されている企業数:800万社
国有企業の総数
会社の総数の3倍を超えている
今後諸条件を整えて会社として登記されるべき企業がまだまだ数多い
中国の会社法
有限会社と株式有限責任会社という2種類のみが規定
有限責任制を大前提
会社であるもののうち株式制をとるもの
1%を若干越える水準
会社制度の導入の狙い
・政府からの企業の独立
中国の経済改革開始以降一貫して課題
企業を政府の影響力から切り離し、意思決定のうえでも経営責任のうえでも独立した主体とさせること(所有と経営の分離)
経営体としての企業の独立性が保障されること
*国有企業の「会社」への改組
経営を所有から独立した権限
政府の立場を一介の出資者
第三者の資本参加により所有者を多元化
政府による企業への干渉を減らす
・企業経営に対する監視と統治
中国の国有企業
「独立性を欠く」点が一貫して強く問題視
市場化する経済
国有企業は事実上着実に経営の自由度を拡大
自主権が拡大される一方
「ソフトな予算制約」は解消されず
経営に対する有効な監視の手段は生み出されないまま
→過剰投資や企業内部での過剰分配を招く
→経営者やこれと結んだ行政担当者によるより明白な背任行為
⇒財務状況の深刻な悪化
略奪的な経営を可能にした
企業に対する監督力の弱さ
会社制度の導入と所有者の多元化
企業の経営陣に対する出資からの統治機能を生み出すものとして期待
↓構想の実現のための用具として注目
「持ち株会社」
市場経済において、経営資源を統合して配下におくことにより、常にもっとも高い収益を生み出すような組み合わせへの資産の編成を可能にする用具としてしばしば採用
新設の純粋持ち株会社や、大型企業・企業グループなどを改組した事業持ち株会社
→順次国有資産の運用主体とする動きが進む
持ち株会社による資産運用
国有資産の価値の保持と増大とが最重要の指標
・資金の調達
外部資金の調達
証券市場への上場は巨額の資金調達を可能にする
*以前
企業は資金調達の方法が非常に限られていた
・企業自身による自己蓄積
・追加資金の借入れ
<参考文献>
国分良成編著『グローバル化時代の中国』日本国際問題研究所、2002年6月、P111〜116