会計と社会
・会計学的研究の領域の拡大
・会計理論の深化を図ること
『会計と社会』
・「社会における会計の役割」に関する科学的探究
・「動的社会秩序の形成要因としての会計」に関する研究(制度概念に導かれた会計学的研究)
・企業の私的費用および収益ばかりでなく、社会的費用および便益をも考慮にいれた会計学の研究
世間
会計
実用の学科
日常の経理実務を解説した書物が出版されればそれで足りるかのような考え方
↓しかし
複雑化し変化しつつある現代の社会における会計の意味を正しく把握することは困難
・「簿記会計」というごとき教科書的な概念のもとに作られた会計学書
・種々の受験用の会計学に関する出版物
→近代会計学の学問的進歩を妨げるものでしかなかった
伝統的会計手続きを知ったうえで、進んで現代における会計学の真実の役割を明らかにし、会計学を学問的に再形成することが、私どもの目標
会計に関するコンヴェンションの理論
私どもは実感の世界を乗り越えて、社会的なコンヴェンション(すなわち社会的な同意と約束、あるいは社会規範)の世界を形成し、その土台の上に社会的に意味のある制度を育て上げ、これによって、実感の世界を支えるのである
人間はすべてよりよく生きるために、法律のコンベヴェンョンを作り、経済のコンヴェンションを作り、そして会計のコンヴェンションを作り、そのうえに制度を形成して、社会の秩序を発展させる
コンヴェンションが制度(人間行動のコントロールの仕組み)にまで結晶する過程で、理論が生まれてくる。理性的な人為の実在(制度)を作り上げることによって、法学や経済学や政治学や会計学が生成するのである。
<参考文献>
黒澤清『会計と社会』中央経済社、1973年3月