中国の立法とその体系

法律の制定権限

法律を制定する権限

→全国人民代表大会、全国人民代表大会常務委員会

中華人民共和国憲法第58

「全国人民代表大会と全国人民代表大会常務委員会は国家の立法権を行使する」

憲法第67

「全国人民代表大会は、下記の職務権限を行使する。…(3)刑事、民事、国家機関及びその他の基本法律の制定及び改正」

全国人民代表

3,000名を超え、その会議の召集と開催には時間がかかり機動的でない

→常務委員会を設置

基本的な法律以外は、常務委員会の決議に委ねる

行政法規の制定権限

憲法第89

「国務院は下記の職務権限を行使する。(1)憲法と法律に基づき、行政措置を規定し、行政法規を制定し、決定と命令を公布する」

行政法規の種類と内容

行政法規制定手続暫定施行条例

行政法規の定義(第2条)

「行政法規とは、国務院が国家の各種の行政活動を指導管理し、憲法と法律に基づき、かつ本条例の定めるところにより政治、経済、教育、科学技術、文化、外事等について制定した各種の法規の総称である」

行政法規の種類(第3条)

「行政法規の名称は、条例、規定及び弁法とする」

行政法規:条例、規定、弁法の3種類

・条例

一定の分野での行政活動について比較的広範囲に、系統的に規定するもの

・規定

一定の分野での行政活動について部分的に規定するもの

・弁法

一定の分野での行政活動について比較的具体的に規定するもの

手続的側面について規定しているものが多い

公文(行政文件)の種類と内容

法律と行政法規だけ

複雑な現実に対して行政機関が対応することは困難

→国家行政機関公文処理弁法

具体的な法の執行にあたって行政機関が発する公文について定めている

国家行政機関公文処理弁法第9

「行政機関の公文の種類は、主に以下のとおりである…」

法の執行に関するもの

6)通知

「下級機関に公文を発するのに使用される。…下級機関に対して処理を要求し、及び関連機関が周知しておかなければならないこと、または共同して執行しなければならない事項を伝達する。」

9)支持伺い(請示)

「上級機関に対して指示又は承認を仰ぐときに使用する。」

10)回答(批復)

下級機関の支持伺い事項に対して回答するときに使用する。

11)書簡(函)

「相互に従属関係のない機関の間で業務の連絡を行ない、問題に対して相談し回答する。関連主管部門に対して承認を支給するとき等。」

行政文件

通知、回答(批復)、書簡(函)、返書(復函)のなかで、具体的な法の解釈なり執行の指針が明らかにされている

 

<参考文献>

三戸俊英、近藤友良、望月一央『中国進出企業の税務・会計実務マニュアル 3訂版』清文社、2002年、P36