賢明な投資家に必要な知識
個人および会社の財政状態
個人の場合
自分の「富」
保有資産の市場価値総額と債務総額との差額
企業や会社
個人とは別の属性に照らして特徴付けるべき理由は何もない
・資産の保有
・債権者に対する金銭債務
・資産総額と負債総額との差が正味財産
・資産の価値と負債および正味財産の額についての完全な表示が財政状態の表示
ex)ある年度の獲得純所得
費用支出の態様あるいは資産構成に変更を加えるか否かを決定するのに役立つ
→個人、会社の投資家としての個人、または会社それ自体のいずれかについても当てはまる
連続した各期間
・事業の活動量
・特定の資産の価格が変動する割合
・貨幣の購買力が変動する割合
→異なる
↓これらの影響
渾然一体となって正味財産の増大程度、つまり会社資産に対して株主が有する残余権益の増加額を表す
→株主、債権者、経営者およびその他の当事者すべてにとっての関心事
↓影響を考慮に入れるため
毎期諸資産を見積市場価格で評価する必要がある
財政状態についての計算書としての貸借対照表の適切性
資産に付される価額に大きく左右される
↑
契約によって生じた債務の額は、比較的容易に決定できる
投資家と経営者の受託者責任
年度財務諸表の機能
会社の事業および資金を管理統制する取締役または役員の受託者責任の説明を与えること
↓根拠
購入価格または原始原価を用いるのが、特定年度末における貸借対照表数値の妥当な基準
⇒完全に誤っている
外部者が、現金その他の資産について不適切な使い方が行われたかどうかを読み取ることは不可能
受託者責任
○丁度終了したばかりのその年度について、かかる評定がなされるべき
×会社存続の開始時点から最新の貸借対照表日に至るまでの前年度
各年度
丁度当座的企業のように、限定された活動範囲のなかに位置付けられる
年度の期首の資産の現金等価額
当該年度において取締役および役員が、会計責任をもつべき貨幣の基礎的な金額
現金等価額
当該年度の期首における資産の市場価格の合計
資産価格の変動によって得られる利益
発生する年度に計上しないかぎり
→報告利益およびその他の利得に人為的捜査が加えられる
⇒貨幣以外の資産を市場価格で評価する必要
支払能力
債権者、株主、経営者
会社が短期債務を支払い得る能力に関心
経営者
会社業務に支障を生じさせる度合の最も少ない資産または資産の組み合わせを選ぶ
→資産の見積売却市場価格を知っていなければならない
支払能力に使われている判定尺度
流動負債に対する流動資産の割合(流動比率)
借入能力および自己資本と他人資本との適合化
業績と利益率
リスク
収益力と利益の平準化
清算および株式の公開買付
結論
会社の状態および期間の全利得と損失についての適切な指標
資産残高を求めるに当って、現在性をもつ売却市場価格が適用されている場合にのみ導き出せる
会社の財政状態および経営成績についての真実公正な表示または適正表示
会社の財務諸表を一定期日ごとに、資産の売却可能価格にできるだけ近似した金額を基礎として作成する場合にのみ行われる
すべての会社が、その財務諸表の基礎をこのルールに置く場合
別々の会社の財務状態と経営成績を直接比較することが可能
・投資家
有価証券の購入、売却または継続保有についての意思決定を行うに際し、確固たる基礎を有する
・証券市場
本来の機能に即して、実証済みの経営効率と財務管理を基礎として、十分識別力のある資金配分を行い得るに至る
<参考文献>
R・J・チェンバース著、塩原一郎訳『現代会社会計論』創成社、1977年4月