非連繋の財務諸表

連繋

共通の勘定および測定値を基礎にした利益報告書と財政状態表の相互関係

連繋した財務諸表

利益

正味資産の増加

 ↓↑

正味資産のある種の増加

利益

非連繋の財務諸表

利益測定

資産・負債およびそれらの属性の変化の測定とは無関係に行われる

利益が正味資産のある種の増加を表すとは限らない

非連繋を支持する見解

連繋

不必要、不都合

 ↓

独立に

収益・費用を測定、資産・負債を測定

→利益と財政状態のいずれについても、より有用な測定値が得られる

EX

利益の測定

売上収益と費消された資産の現在取替原価との差額

資産・負債の評価

現在払出価格ないし正味実現可能価値

非連繋の財務諸表に関する文献

AAAの基礎的会計理論に関する報告書(ASOBAT)で提示された会計情報規準に照らして現行の外部会計実務を調査する」ことを任務とした、アメリカ会計学会の1委員会の報告書

強制された均衡および連繋

目的適合的な情報の提供をしばしば制約してきた

  ↓重要な指針は

ASOBATで提示されたその他の基準を満たす測定過程に照らし、目的適合的なすべての情報を開示するということ

資産負債アプローチ

利用者ないし消費者の立場にではなく、会計システムの構造ないし設計者の立場に基礎をおいている

連繋を複式簿記が厳格に適用

一方の財務諸表において開示情報を改善しようとする試みが、他方の財務諸表において無意味あるいは誤導的な情報を提供するという結果を生みだしてきた

損益計算書と資金計算書の連繋が目的適合的な情報を提供しているという証拠

ほとんど存在しない

連繋を支持する見解

財務諸表の連繋

伝統的、必要かつ有用

理由

比類のない二重チェックの保証(比較的容易に達成される)

財務諸表の連繋

資産・負債の測定と収益・費用の測定を相互補完的なものとするべく、これら2つの測定を同時に実施するもの

  ↓

複式記入発生主義会計

→二重チェックを保証

複式記入発生主義会計および財務諸表の連繋

営利企業における経済活動の本質を正確に反映したもの

 

経済活動

複式記入会計および連繋した財務諸表によるほうが、より正確に描写される

複式記入法および連繋した財務諸表

きわめて柔軟

収益・費用の適切な対応を通じて現代の営利企業の複雑な経営活動を記録する十分な柔軟性を備えている(収益費用アプローチ)

非連繋の財務諸表において開示しうる目的適合的な情報

→すべて連繋した財務諸表においても開示できる

非連繋の財務諸表の批判

利益、収益、表、利得、損失は、企業の経済的資源ならびに将来他の実態に資源を引き渡す企業の責務を表す資産・負債の変動としてのみ、適正に定義しうる

非連繋

利益の測定と資産・負債の測定を分離するもの

収益・費用が経済的資源のフローを表しているのか、単なる簿記記入を表しているのかを識別する手立てが存在しない

 

<参考文献>

津守常弘『FASB財務会計の概念フレームワーク』中央経済社、2000