「財務諸表目的・財務諸表目的」問題(1972〜1978)、「会計情報の質的特徴」問題(1972〜1980)
FASB「概念フレームワーク」の形成・変容過程の第一局面
「財務諸表目的・財務報告目的」問題ならびに「会計情報の質的特徴」問題という密接に関連する二つの問題領域をめぐる論争の局面
「財務諸表目的・財務報告目的」プロジェクト
出発点
Trueblood委員会報告(1973.10)
結実
『財務会計概念書第1号』(1978.11)
「意思決定・有用性アプローチ」にとって決定的に重要な意味をもつプロジェクト
特徴
財務諸表の目的の多様性と多様な目的観の位置付けに関する問題が提起
→「一般目的外部財務報告」という結論に集約
当初提起
「財務諸表目的」
↓替えて
「財務報告目的」:目的範囲の拡張
「会計情報の質的特徴」に関する論争
ASOBAT(1966)
「会計情報の基準」
目的適合性・検証可能性・不偏性・量的表現可能性
APBセテイトメント第4号(1970)
「質的特徴」
Trueblood委員会報告(1973)
「報告の質的特徴」
『財務会計概念書第2号』(1980.5)
特徴
「〔会計情報を有用ならしめる〕会計特性の階層構造」を初めて設定したこと
*目的適合性と信頼性との関係に「トレードオフ関係」を導入
重要な論点の提示
Arthur Andersen & Co.の主張
・「質的特徴」における目的適合性・主観性の強調
・「属性」における時価の強調
・目的適合性と信頼性とのトレードオフ関係の導入を主張する見解
他方
・客観性の強調と「属性」における原価の強調
・目的適合性と信頼性との相互必要条件化を主張する萌芽的な見解
<参考文献>
津守常弘『会計基準形成の論理』森山書店、2002年2月