税務会計(tax accounting)
意義
課税の基準となる課税所得の計算や課税価額の評価を目的とする会計
目的
租税負担の配分基準となる課税標準の算定
部門別区分
所得税務会計
所得課税(法人税、所得税)における課税標準としての「課税所得金額」の計算を課題
・ 法人所得税務会計
・ 個人所得税務会計
財産税務会計
財産課税(相続税、贈与税、固定資産税)における課税標準である「課税財産」の「課税価格」の評価を課題
消費税務会計
消費課税(消費税、個別間接税)における課税標準である「課税消費」の「課税価格」の評価を課題
*課税標準
課税されるべき事実関係としての課税物件(課税客体)を金額又は物量によって示したもの
機能〜利害調整の機能
@ 課税者と納税者との間における租税負担能力の計測をめぐる利害調整
A 納税者相互間における租税負担の配分をめぐる利害の調整
B 企業の経営成果・利潤の社会的配分をめぐる利害の調整
→租税をめぐる動的社会秩序の形成要因として機能すべき
現実的役割
課税の公平←税務会計システムが公正に形勢され、適正に運営されているか
・ 課税の侵蝕化(タックス・イロージョン)
・ 課税の隠れ場(タックス・シェルター)
税務会計学
課税標準の計算または評価についての税法の諸規定をどのように形成(立法)し、いかに運用(執行)するか
↑ 分析・追究
会計学的な思考・アプローチ
*財政学〜国家の歳入としての租税とその負担の問題を論ずる研究
経済学〜国民所得論の観点からする租税の経済学的な研究
税法学〜租税を法学的立場から追究する
意義
租税現象を個別経済との関連を中心に、さらにまた、個別経済的観点に立って、会計学的アプローチにより研究する講義の会計学の領域に属する特殊会計学
研究領域
(1) 税務会計原理論
原理的にしてアカデミックな純理論的研究を展開する
(2) 税務経営管理論
企業経営管理において有用な役割を果たすタックス・マネジメントの研究をする
(3) 税務会計解明論
税法および税務会計制度の基礎的理解と解明を担当する
(1)税務会計原理論
税務会計規定の妥当性を批判的に検討し、課税所得概念を究明するとともに適正妥当なる課税所得の計測原理を確立することにより、租税をめぐる配分的社会正義の実現を図るための研究
(2)税務経営管理論
タックス・マネジメントとしての企業の経営管理面におけるタックス・プランニングとタックス・コントロールをとりあげるデジション・メイキングのための税務情報論の研究
(3)税務会計解明論
税務会計規定の一般的・基本的理解、税務会計の独自的論理の究明をなし、税務会計システム・税務会計制度の具体的・実践的解明を中心として税務会計知識を習得するための研究
税務会計原理論の課題と役割
中心的課題
課税所得概念の解明(課税所得概念論)
租税負担能力の測定尺度としての「所得」、つまり課税所得とは何か
税務会計原理の解明(税務会計原則論)
課税所得はいかなる計測原理ないし原則により算定把握されるべきか
「税務会計公準」
↓ 解明、位置付け
「税務会計原則」形成
税務会計原則←公正な課税ベースの構築のために不可欠
→税務会計の独自性ないし特異性を主張
→税務会計と財務会計との関連を明確にし、両者の調整ないし調和を基本的に
して論理的な形において進めていく
課税所得概念
一般的課税所得概念
所得課税を目的とする税目について、納税者が負担すべき租税数額の配分基準となる課税標準としての所得
*税務上の所得概念←最も難しい経済的概念
所得課税←納税者の給付能力ないし租税支払能力(租税負担能力)に即応して適性に負担せしめられるべき
課税所得←担税力ないし応能負担の原理
⇒納税者間における租税負担の公平な配分
税務会計的課税所得概念
基本的には資本の追加投資および引出し、所得の処分を排除し、2時点間において貨幣的単位で測定されたすべての源泉から生ずる経済力の実現純増加高である
課税所得
・ 表見的事実にとらわれずに、経済的実態に即応
・ 納税者による恣意的な計算を排除
・ 控除し得られる損金許容限度を規制
・ 所得の発生源泉、実態、性格、資金的裏付けなどに起因する租税支払能力や租税負担力を配慮
・ 資本余剰を除外
租税
・ 便宜性(納税者)
・ 容易性(税務行政上)
・ 客観的な計算基準
・ 簡便化
・ 独自の租税の理念
租税の仕組み
・ 歳入調達機能
・ 経済政策的配慮〜経済の成長と安定
・ 社会政策的配慮〜完全雇用、公平な所得配分
税務会計理論の基本構造
税務会計手続 ⇒上部構造
税務会計個別原則⇒中間構造
税務会計一般原則
税務会計公準 ⇒下部構造
(1)下部構造…税務会計公準
基礎的前提(基本的な目的ないし目標、基本的な要請ないし命題、基底をなすフレームワーク)
(2)中間構造…税務会計原則
税務会計一般原則〜基本的・普遍的な税務会計思考の体系
税務会計個別原則〜一般原則それぞれの具体的な内容を構成する税務会計思考の体系
(3)上部構造…税務会計手続
税務会計における具体的な手法、技術または手順
課税所得の計算に関する実践的な手続の体系
税務会計公準
税務会計における課税所得の概念構成ならびに課税所得の計測について特有な会計思考の体系の確立にあたり、その基礎的な前提となる理論的基盤であり、税務会計理論の構造的基礎をなす
@ 要請的公準
(@)租税負担公平の公準
(A)租税負担能力の公準
A 機構的公準
(@)租税運営配慮の公準
(A)会計制度依存の公準
税務会計原則
税務会計公準を根本的な基盤として、それに立脚して税務会計における課税所得の計測についての行為規範または行動指針たるべきものを体系的に示すもの
9つの一般原則と24の個別原則からなる
一般原則
@ 実質課税主義の原則
A 計算恣意排除の原則
B 損金控除規制の原則
C 負担能力主義の原則
D 資本剰余除外の原則
E 計算明確性の原則
F 計算簡便性の原則
G 企業自主計算の原則
H 公共政策配慮の原則
課税所得計算の通則的規定
通則的規定
「各事業年度の所得に対する法人税」の課税物件
→各事業年度の「所得」(法5)
その課税標準
→各事業年度の「所得の金額」(法21)
所得(課税所得)の金額の計算
→法人税第22条に5項からなる通則的規定
第1項
各事業年度の所得の金額
=当該事業年度の益金の額−当該事業年度の損金の額
第2項
「益金の額に算入すべき金額」を損益の額に関連付けて
第3項
「損金の額に算入すべき金額」を原価・費用・損失の額に関連付けて
第4項
収益・損益の額は、法令に特別の規定がない限り、GAAPに従って計算する
第5項
益金の額および損金の額の計算から除外される「資本等取引」の範囲
益金の額の計算(法22U)
(1) 資産の販売にかかる収益
販売収益(売上高)
(2) 資産の有償譲渡にかかる収益
固定資産、商品ではない有価証券等の譲渡対価としての収益
↑
譲渡原価と相殺せずにグロスの金額で計上
(3) 役務の有償提供にかかる収益
手数料、賃貸料、運送料、受取利息など役務提供についての対価としての収益
(4) 資産の無償譲渡にかかる収益
無償譲渡した資産の時価相当額が、収益の額
(5) 役務の無償提供にかかる収益
サービスの無料提供、金銭の無利息貸付等
(4)と同様
(6) 資産の無償譲受にかかる収益
受贈益
(7) その他の収益
債務免除、債務消滅、損害賠償、資産の評価換え等
損益の額の計算(法22V)
@当該事業年度の収益にかかる売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額→(1)原価
A当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用の額→(2)費用
B当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの→(3)損失
(1) 原価
当期に収益と個別的・直接的な対応関係をもつ売上原価、完成工事原価等
←グロス金額
(2) 費用
当期の収益と期間的・間接的な対応関係をもつ販売費、一般管理費のほか、支払利息・割引料等の営業外費用←債務の確定
債務の確定
@ 債務の成立
A 給付原因事実の発生
B 金額の合理的算定
↑
見積費用の損益算入を認めない旨
(3) 損失
当期の収益と対応関係をもたない火災・震災・風水害等の災害、盗難、争議等の偶発的事故、損害賠償等による損失
公正処理基準の尊重
課税所得の計算にあたり益金の額に算入すべき収益の額および損金の額に算入すべき原価・費用・損失の額は、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従って計算するものとされている(法22W)
↑
財務会計基準への依存性の思考を確認的に表明したもの
↑
相対的な依存関係
公正処理基準〜客観的な規範性をもつ公正かつ妥当と認められる会計処理の基準
資本等取引
益金の額および損金の額の計算から除外される「資本等取引」とは、法人の資本等の金額の増加または減少を生ずる取引および利益または剰余金の分配(中間配当を含む)をいう(法22X)
(@)資本等の金額
(A)利益または剰余金の分配
課税所得計算の個別的規定
個別的規定の意義と性格
別段の定め
法人税法(第23条〜第64条)および租税特別措置法等
個々の取引ないし事象に関する税務会計基準を示したもの
通則的規定(法22)に対置される個別的規定
性格
租税負担公平性と租税負担能力性
租税運営や公共政策などへの配慮
実質課税主義
計算恣意排除
損金控除規制
負担能力主義
資本剰余除外
計算明確性
計算簡便性
企業自主計算
類型
@「公正処理基準」を確認するもの
A「公正処理基準」の適用を制約し、あるいはその内容を部分的に修正するもの
B「公正処理基準」に対する特例を創設的に定めるもの
C税務会計特有の思考にもとづいて設定されているもの
個別的規定の体系的分類
@ 課税除外益金(益金不算入項目)
A 課税加算益金(益金算入項目)
B 非控除損金(損金不算入項目)
C 控除許容損金(損金算入項目)
課税所得計算の基本構造と実践構造
課税所得計算の基本構造
財務会計上の損益計算に税務上の損益項目を加算・減算することにより課税所得の金額が算定される
確定決算基準の原則(確定決算主義)
確定した商事法上の決算に基づいて課税所得の計算を行わなければならないとする税務上の要請
↓
法人が確定した決算において適用した会計方法が課税所得計算上も適用される
*確定した決算
株主総会の承認、出資社員総会の同意その他これらに準ずる機関の承認等を受けた決算
税務会計的計算と企業会計実務のかかわり
課税所得の計算上、法人に選択適用の余地が許容されている事項については、法人の最終的な意思表示は、納税申告書上の「申告調整」ではなく、商法上の決算である確定決算において「決算調整」として行われなければならない
→企業が確定決算で表現しない限り、課税所得の計算要素としては取り上げられない
→損金経理の必要性
*損金経理
法人がその確定した決算において費用または損失として経理すること(法2条26号)
税務会計的計算の類型とその特徴
(1) 任意的規制的計算(任意的決算調整)
企業の経理または決算において税法上の規制に基づき所要の「経理処理」を行うことにより、はじめてそれが有効な損益項目となる
→「決算調整」として行うかどうかは企業の任意
(2) 必要的規制的計算(必要的決算調整)
企業の経理または決算において税法上の規制に基づき所用の経理処理を行うことを必要とする
→企業の決算処理がこれと異なっているときは、申告に際して所要の「申告調整」を行うことが要請される
(3) 任意的調整的計算(任意的申告調整)
申告書において税法の規制に基づき所要の「申告調整」を行うことにより、はじめてそれが有効となるもの
→申告調整を行うかどうかは、企業の任意
(4) 必要的調整的計算(必要的申告調整)
企業の経理上または決算上の処理「決算調整」は必要としないが、申告に際しては、必ず所要の「申告調整」をなすことが要請される項目
→企業が申告調整を行わなかった場合には、税務当局において積極的に修正「職権調整」を加えることにより課税所得の計算をなし、公正処分が行われる項目
販売収益
販売収益の意義と原則的計上基準
販売収益の意義
販売収益とは、商工業における企業の主たる営業活動としての商品・製品等の販売にともなって流入する経済価値を言う
(→営業収益・売上高)
*販売
通常販売〜現金販売、手形や掛売りによる信用販売
特殊販売〜割賦販売、委託販売、試用販売
販売収益の原則的計上基準
販売基準(引渡基準)
引渡基準の実際的運用
商品用の種類、販売の形態、事業の規模、販売についての契約条件等
↓応じて
・ 出荷基準
・ 船積み基準
・ 到着基準
・ 検収基準
・ 使用収益開始基準
・ 検針基準
*引き渡しの日が明らかでないときは、@、Aのいずれか早い日
@代金の相当部分(おおむね50%)を収受するに至った日
A所有権移転登記の申請(その当期の申請に必要な書類の相手方への交付を含む)をした日
割賦販売売上収益の特例的計上基準
割賦販売については、販売代金が一般に長期に渡り分割して支払われ、割賦金の受取期が順次に到来することなど、通常の販売形態と著しく異なっている点に着目し、税務上においても特例として「履行期到来基準」(「弁済期到来基準」)を内容とする「割賦基準」を適用することが認められている(法62@)
*「回収基準」は、税務上は認められない
割賦基準の適用要件(法62)
@ 棚卸資産の割賦販売または役務の割賦提供であること
A 割賦基準の方法によって経理すること
B 割賦基準の方法を継続的に適用すること
C 割賦販売等をしたすべての商品等について割賦基準を適用すること
割賦販売等の意義
割賦販売等とは、月賦、年賦その他の賦払いの方法により対価の支払いを受けることを定型的に定めた約款に基づいて行われる販売または提供をいう(法62A)
*「賦払の方法」
@対価の額につき支払いを受けるべき金額の支払期日(履行期)が頭金の履行期日を除き、月、年等のように年以下の期間を単位としておおむね規則的に到来すること
Aそれぞれの履行期日において支払を受けるべき金額が相手方との当初の契約において具体的に確定していること
割賦基準の方法
棚卸資産の販売の場合
販売対価の額−(売上原価の額+販売手数料の額)
=割賦販売利益(損失)の額
役務の提供の場合
役務提供の対価の額−(役務提供の原価の額+役務提供に要した手数料の額)
=割賦提供利益(損失)の額
当期に計上すべき割賦損益の計算
割賦販売等の利益(損失)の額×
当期中に支払期日の到来する賦払金の合計額/割賦販売等の対価の額
=当期に計上すべき割賦販売等の利益(損失)の額
その他の特殊販売収益の計上基準
委託販売収益
委託販売とは、一般に売主が自ら商品等の販売を行う代わりに、受託者に商品等を積送して販売を委託する販売形態をいう
受託者販売時基準(原則)
委託者が委託品を販売した日の属する事業年度に計上する
条件付売上計算書到着時基準(例外)
委託品に関する売上計算書が売上の都度ごとに作成され送付されている場合において、継続してその収益を売上計算書の到達日に計上しているときは、これが認められる
→財務会計と同様
試用販売収益
試用販売とは、得意先に試用品として商品等を送付し、得意先が購入の意思を示したときに販売が成立するという約定付で行う販売の形態
購入意思表示基準
相手方が購入の意思を表示した日を含む事業年度に計上する
→財務会計と同様
予約販売収益
予約販売とは、一般的には商品等の買い手から予約金等として代金の一部または全部を予め受け取り、後日商品等を引渡す旨を訳して行う販売形態
引渡基準
商品等を引渡した日にその引渡し分の収益を計上する
→財務会計と同様
売上値引き等の販売収益の控除項目
売上値引
売上品の量目不足、品質不良、破損等の理由により代価から控除される額
→当事者間において値引をすることが確定した年度
売上戻り高
売上品のうち返品されたもの
原則:返品の発送があった旨の通知を受けた日を含む年度
例外:商品等を返品として受取った日を含む年度
売上割戻し
一定期間に多額または多量の取引をした得意先に対する売上代金の返戻額等
→相手方との契約内容等による
売上割引
代金支払期日前の支払に対する売掛金の一部免除等の額
→売上割引を行った年度
役務収益
役務収益の意義と原則的計上基準
役務収益の意義
役務収益とは、労務や技術などの用益の提供の対価として受け入れる経済価値をいう
→不動産仲介斡旋業、技術役務提供業、運送業、倉庫業、各種サービス業
役務収益の原則的計上基準
役務提供完了基準(原則)
役務の全部の提供を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入する方法
↓しかし
役務提供収益の内容は、極めて多様
↓
ある程度弾力的な運用が必要
役務収益の具体的計上基準
不動産の仲介斡旋報酬〜土地、建物等の売買、交換、賃貸借の仲介または斡旋に伴う報酬
契約効力発生基準(原則)
売買等に係る契約の効力が発生した日に計上
取引完了基準
継続してその契約に係る取引の完了した日
技術役務の提供報酬〜設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供に係る報酬
役務提供完了基準(原則)
契約した役務の全部の提供を完了した日に計上
役務提供部分完了基準
確定した支払を受けるべき報酬額を、その確定の都度計上する
@報酬の額が現地派遣技術者等の数および滞在日数等により算定され、かつ、一定期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合
A基本設計に係る報酬の額と部分設計に係る報酬の額が区分されているように、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、各段階の作業が完了する都度その金額を確定されて支払を受けることとなっている場合
運送収入〜陸運、海運、空運などの運送業における運送収入
役務提供完了基準(原則)
運送に係る役務の提供を完了した日
発券基準(例外)
乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日
積地出発基準(例外)
船舶、航空機等が積地を出発した日に積載分について計上する方法
航海完了基準(例外)
1の航海に通常要する期間がおおむね4月以内である場合において、1の航海を完了した日に計上する方法
運送期間経過基準(例外)
1の運送に通常要する時間また運送を約した期間の経過に応じて日割または月割等により計上する方法
請負収益
請負収益の意義と原則的計上基準
請負収益の意義
請負〜当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約することによって効力を生ずる契約(民632)
・物の引渡しを要するもの〜建設・造船等
・物の引渡しを要しないもの〜運送・公告代理等
建設工事等の請負収益
完成引渡基準の適用形態
原則〜「完成引渡基準」
→具体的適用形態
@ 作業結了基準
A 搬入基準
B 検収完了基準
C 試用収益開始基準
建設工事損益計上の特殊問題
(1)工事代金・工事原価の見積り計上
工事代金が確定していない場合でも、引渡日の属する事業年度末の現状により工事代金の額を適正に見積り計上
→後日確定のときに調整
(2)値増金等の収益計上の時期
@資材の値上がりなどに応じて一定の値増金などを収入することが契約に定められている場合には、その金額は、工事等の引渡しの日の属する事業年度の益金の額に算入
A相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金などについては、その収入すべき金額が確定した日の属する事業年度の益金の額に算入
部分完成基準の強制適用
@一の契約により同種の建設工事等を多量に請負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約または慣行がある場合
A1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約または慣行がある場合
長期請負工事収益
長期請負工事収益の特例的計上基準
完成引渡基準〜原則
工事進行基準〜特例
延払基準〜一定の要件に該当する延払条件付の請負工事にかかる収益
工事進行基準の適用要件(法64T)
@長期工事の請負を行っていること
A損失が生ずると見込まれる請負でないこと
B着工年度から引渡年度の前年度までの各確定決算において工事進行基準の方法による経理を行うこと
C工事進行基準の方法による経理を毎年度継続すること
*長期工事
他の者の求めに応じて行う工事で、その着手から契約上の引渡期日までの期間が1年以上であるもの(法64U)
工事進行基準の方法
見積工事利益の総額(請負工事の対価の額−見積工事原価の総額)を実際工事原価の累積額に基づいて、着工年度から引渡年度の前年度までの各年度に配分し、その各年度に計上すべき工事利益の額に見合った利益(売上)の額及び費用(工事原価)の額を計上する
譲渡収益
譲渡収益の意義と計上基準
譲渡収益の意義
譲渡収益とは、一般に、有形・無形固定資産、商品有価証券以外の有価証券、受取手形等の債権のような販売を目的としない資産の売却(有償譲渡)や贈与(無償譲渡)等によって生ずる利益をいう
⇒純額(ネット)でなく総額(グロス)で計上(法22U)
譲渡収益の計上基準
引渡基準〜原則
固定資産の譲渡収益
不動産の譲渡収益
引渡基準〜原則
契約効力発生基準〜特例
譲渡許可基準〜農地の譲渡
工業所有権等の譲渡収益
契約効力発生基準〜原則
登録基準〜登録が効力発生の要件とされている場合
*工業所有権等・・・特許権、実用新案権、意匠権及び商標権ならびにこれらの権利に係る出願権及び実施権
ノーハウの頭金等
開示完了基準〜原則
開示都度基準〜分割開示・分割支払の場合
*ノーハウ・・・産業上有用な技術的知識・経験
有価証券の譲渡収益
有価証券譲渡収益の原則的計上基準
引渡基準
*有価証券の現物の受渡しには、売買契約の成立の日から4日以内に行うのが慣行
信用取引に係る株式の譲渡収益
取引決済基準
延払条件付譲渡による収益
延払条件付譲渡収益の特例的計上基準
引渡基準〜原則
延払基準〜特例
延払基準の適用要件(法63T)
@税法所定の延払条件付譲渡を行っていること
A損失が生じた譲渡でないこと
B確定決算において延払基準の方法により経理していること
C延払基準の方法による経理を毎年度継続していること
*延払条件付譲渡の要件(法63U)
@月賦、年賦その他の賦払の方法により3回以上に分割して対価の支払を受けること
Aその譲渡の目的物の引渡しの期日の翌日から最後の賦払金の支払の期日までの期間が2年以上であること
Bその譲渡の目的物の引渡しの期日までに支払の期日が到来する賦払金の合計額がその譲渡の対価の額の3分の2以下となっていること
延払基準の方法
延払条件付譲渡の利益の額=延払条件付譲渡の対価の額−(譲渡原価の額+譲渡手数料等の額)
当期に計上すべき延払条件付譲渡の利益の額=延払条件付譲渡の利益の額×{(当期中に支払期日が到来した賦払金の合計額−左の内前期末までに支払を受けた金額+当期中に支払を受けた金額でよく期以後に支払期日が到来するものの合計額)/延払条件付譲渡の対価の額}
受取配当等
受取配当等の意義と計上基準
受取配当等の意義(法23T・24T)
受取配当とは、所有株式に係る配当など他の企業への出資の果実として受取る利益の分配金をいう
・ 他の法人から受ける利益の配当
・ 中間配当
・ 剰余金の分配
・ 特定の証券投資信託の収益の分配
・ みなし配当
受取配当等の計上基準
配当確定基準(原則)
受けるべき権利の確定したときに計上
入金基準(特例)
受取配当等の益金不算入
受取配当等の益金不算入の趣旨
法人が他の法人から受ける配当等の80%相当額は、原則として益金の額に算入されない(法23T)
↑
法人擬制説的な考え方に立った「法人個人一体主義」を記帳とする課税理論に立脚していることの帰結
・ 二重課税を排除
・ 配当税額控除(所法92)
従来
全額損金不算入
↓
平成2年から
20%課税対象、80%課税除外
益金不算入となる配当等の範囲
実質的に利益の分配金の性質を有するもの
支払法人において損金不算入とされるもの
*特定株式等に係る配当等→全額益金不算入
=発行済株式の総数または出資金額の内25%以上を保有している場合(法23W)
短期所有株式等に係る配当等の不適用
みなし配当に該当するものを除き、益金不算入の対象とならず、全額が益金の額に算入(法23U)
*短期所有株式等〜配当等の計算期間の末日以前1ヶ月以内に取得し、かつ同日後2ヶ月以内に譲渡した株式等
↑
租税回避を防止するための措置
受取配当等から控除する負債利子
負債利子控除の趣旨
配当等の元本たる株式等の取得にあたり必要とした借入金等の負債利子があるときは、受取配当等の金額からその利子の額を控除した残額が益金不算入の対象となる(法23V)
↑
受取配当当を益金不算入とする以上、それを得るために要した支払利子も損金不算入とするもの
受取配当等の益金不算入額の計算(法23V)
@+A
@ 一般株式等について受ける配当等の合計額から当期に支払う負債利子の額のうち一般株式等に係る部分の金額を控除した金額の80%相当額
A 特定株式等について受ける配当等の額の合計額から当期に支払う負債利子の額のうち特定株式等に係る部分の金額を控除した金額
控除する負債利子額の計算
(1)総資産按分方式(原則的計算法)
(2)実績割合方式(簡便計算法)
↑
毎期継続的に適用する必要はない
受贈益・債務免除益
受贈益・債務免除益の意義と課税関係
受贈益・債務免除益の意義
受贈益〜金銭その他の資産を無償で譲り受けた場合のその金銭の額またはその資産の時価に相当する経済的利益
債務免除益〜消極財産の減少に起因する経済的利益であり、受贈益と同様
*財務会計においては、受贈については、受贈剰余金という概念がとられ、資本剰余金に属するものとして、収益としては考えられない
課税除外とされる受贈益・債務免除益
法律上の手続をふまない株主等からの受贈益→益金一般に受贈益またはこれに類するものだが、その利益の性質、利益供与者の目的ないし動機及び内容によって→例外的な扱い
↑
一般にこれらのものがすべて同じ性格の受贈益であるというように断定することはできない
資産整理等に係る受贈益・債務免除益
資産整理等に係る受贈益・債務免除益の課税除外(法59T)
受贈または債務免除が商法その他の法令上の資産整理その他これに準ずる特別な資産にあたってなされた場合
→その資産の提供による受贈益及び債務の免除による債務免除益の内の繰越欠損金相当額については課税されない
→受贈及び債務免除によって生ずる益金の額の範囲内においてその欠損金額を損金に算入し、その受け入れによる益金と相殺することが認められるということ
*事業年度を越えてさらに繰越控除が行われることは認められない
要件
(@)商法の規定による整理解散命令
(A)破産法の規定による破産宣告
(B)和議法の規定による和議開始決定
(C)その他(@)から(B)までに掲げる事実に準ずる事実があった場合
広告宣伝用資産の受贈益
広告宣伝用資産の受贈益の課税除外
販売業者等が製造業者等から資産を無償またはその取得価額に満たない価額により取得した場合には、その取得した資産が広告宣伝用資産である場合には、その形態や使用目的等に応じて、特別に課税除外の措置が適用される
課税除外となる金額の計算
(1)広告宣伝専用資産
(2)広告宣伝・事業兼用資産
@ 自動車で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名または社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
A 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫または容器で製造業者等の製造名または社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
B 展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの
(製造業者等のその資産の取得価額×2/3)−販売業者等の負担額=経済的利益の額
*30万円以下であるときは、経済的利益はないものとされる
未払賞与の免除益
未払賞与の免除益の課税除外
会社の整理、事業の債権、その他一定の事由に該当し、役員等に対する未払賞与を取締役会等の決議により受給者の同意を得て支払わないこととした場合の債務免除益は、益金に算入しない
課税除外となる要件
@ 支払わないことの決定が、取締役会等の決議に基づくこと
A 支払を受けるべき者の同意を得て、その全部または大部分の金額が支払われないこと
B 支払わないことが、いわゆる会社の整理、事業の債権及び業況の不振のためのものであること
C 支払わないこととなる金額がその支払を受ける金額に応じて計算されているなど、一定の基準によって決定されたものであること
受取利息・使用料・リース料・その他の収益
受取利息
受取利息の意義
預貯金、公社債、貸付金等の元本の果実として時の経過にともなって生ずる利子を一括して受け取り利息という
ex)預貯金受取利息、受取公社債利息、貸付金利息
受取利息の計上基準
(1)原則的計上基準
期間対応基準
(2)一般事業法人のための特例的計上基準
利払期基準
@ 利子の支払期日が1年以内の一定期間ごとに到来するものであること
A 利払期基準を継続適用していること
(3)相当期間未収が継続した場合等の特例
収益計上抑制基準
@債務者が債務超過に陥っていることその相当の理由により、その支払を催促したにもかかわらず、その貸付金から生ずる利子の額のうちその事業年度末前1年以内にその支払期日が到来したものの全額がその事業年度末において未収となっており、かつ、直近1年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くない(いわゆる焦付利子)か、または極めて少額であること
A債務者につき会社更生法の規定による構成手続または商法の規定による会社の整理その他これに類する法律上の整理手続が開始されたこと
B債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業の好転の見通しがないこと、その債務者が天災事故、経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する自由が生じたため、その貸付金の額の全部または相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと
C会社構成法の規定による構成計画の認可決定、債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全部または相当部分について相当期間棚上げされることとなったこと
使用料・リース料
使用料及びリース料の意義
(1)使用料
土地、建物その他の資産の賃貸借契約に基づき、その使用の対価として支払を受ける地代、家賃等の賃貸料
工業所有権等またはノーハウを他の者に使用させることにより支払を受ける使用料
(2)リース料
形式的には資産の賃貸借に他ならないので、その賃貸借にかかる賃貸料ないし賃借料としてのリース料も、使用料の一種
資産の譲渡とみなされるリースの場合
→分割払いの譲渡対価の性格
金融取引とみなされるリースの場合
→貸付金の回収部分及び利息の性格
使用料の計上基準
(1)賃貸借に係る使用料等
原則〜「支払期日基準」
=前払金部分を除き、契約または慣習によりその支払を受けるべき日に収益計上
特例〜「収益計上抑制基準」
=賃貸借契約の存否に係争がある場合には、紛争が解決して金額が確定し、その支払を受けることとなる日まで収益計上を見合わせる
(2)工業所有権等の使用料
原則〜「金額確定日基準」
=使用料の額が確定下日に収益計上
特例〜「支払期日基準」
=契約による使用料の支払期日に収益計上
リース料の会計処理
(1)売買とされるリース取引
実質的には分割払いの売買と異ならない特定のリース取引
→原則としてリース物権の引渡時に売買が行われたものとして取り扱われる(リース料は、分割払いの売買代金として処理)
(2)リース料の一部を前受収益とすることができるリース取引
リース物権の法定耐用年数に比べて相当短い期間をリース期間とするリース取引
→リース料の一部を前受収益として計上することが認められる
↑
賃借人においてリース料の一部を前払費用として繰延べ経理することが要求されることとの見合い
(3)金融取引とされるリース取引
(a)資産の売買によりリース会社が賃借人に支払う金額は、貸付金の額とする
(b)リース会社がリース期間中に収受すべきリース料の合計額のうちその貸付金の額とした金額に相当する金額については、その貸付金の返済を受けた金額とする
(4)リース期間が法定耐用年数よりも長いリース取引
リース期間が法定耐用年数の120%に相当する年数を超えるものは、金融取引または売買取引とされる
・ 賃借人が取得したリース物権を賃貸人が譲り受けて賃貸するリースバックに該当するもの
→金融取引
・ リースバックでないリース取引
→売買取引
その他の収益 P98、99参照
給与
報酬・給与
報酬・給料の税務会計上の地位
役員に対して支給した報酬の額が、役員の職務に対する対価として不相当に高額であると認められれば、その不相当に高額な部分の金額は、課税所得の計算上、損金の額に算入できない
役員報酬
(1)役員報酬の意義
役員報酬とは、法人がその取締役など役員に対して会社の経営等を委託したことにより提供された役務への対価として支給する給与のうち、賞与及び退職給与以外のものをいう
*賞与、退職給与→臨時的な給与
役員報酬→定期の給与
(2)役員の意義
法人の取締役、監査役、理事、監事及び清算人ならびにこれら以外の者で法人のの経営に従事している者
@ 法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの
ex相談役、顧問その他これらに類するもの
A 同族会社の使用人のうち、「使用人兼務役員とされない役員」にかかる持株についての要件と同一の要件を満たしているもので、その会社の経営に従事しているもの
同族会社の支配的株主グループの一員であって自らも相当の持株を有するもののうち、形式的には使用人でありながら実質的には経営者の地位にあるもの
取締役・監査役等→「法定の役員」
@・A→「みなし役員」
(3)使用人兼務役員の意義
次の役員以外の役員で、部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するもの
@ 社長、副社長、理事長、代表取締役、事務取締役、専務理事、常務取締役、常務理事、清算人その他これらに準ずる役員
A 合名会社及び合資会社の業務執行社員
B 監査役及び監事
C 同族会社の特定の役員
(4)過大な役員報酬の損金不算入
(a)過大役員報酬の損金不算入の趣旨
役員報酬は、役員の職務に対する対価であり、法人の業務を遂行する上で必要な経費というべきものであるから、原則として損金性が認められる
↓しかし
報酬という支出形態を利用して利益の分配を取得するようなケースがあり得る
↓
不当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されない
(b)過大役員報酬の判定と不相当に高額な部分の金額の決定
@ 実質基準
役員報酬の額が、その役員の職務の内容、その法人の収益及び使用人給料の支給状況、その法人と同業の法人で規模が類似するものの役員報酬の支出情況等に照らし、その役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を越える場合・・・その超える部分の金額
A 形式基準
定款の規定又は株主総会、社員総会もしくはこれらに準ずるものの決議により報酬として支給することができる金額の限度額を定めている法人が各年度においてその役員に対して支給した報酬の額の合計額が、その年度に係るその限度額を超える場合・・・その超える部分の金額
@、Aの多いほうの金額が損金不算入
使用人給料
(1)使用人給料の意義
法人がその使用人に対して雇用関係に基づき提供を受けた役務の対価として支給する給与のうちの定期の給与
*法令上の定義はない
(2)使用人給料の損金算入
原則として損金の額に算入される(法22U)
賞与
賞与の税務会計上の地位
賞与の利益処分性→損金控除性を否定
・使用人賞与
→利益処分を目的にした経理以外の方法を前提として損金性を認めている
・使用人兼務役員賞与
→特定の条件のもとに使用人賞与分の適正額の損金性を認めている
・役員賞与
→利益処分性を貫き、いかなる場合にも損金控除性を認めていない
*ドイツ・アメリカでは役員賞与も、損金として認められている
役員賞与
(1)役員賞与の意義
賞与とは、役員又は使用人に対する臨時的な給与のうち、他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの、及び退職給与以外のものをいう(法35W)
(2)役員賞与の損金不算入(法35T)
賞与一般の本質を「利益処分性」とみているため
役員賞与←経営成果稼得の功績に対する役員への利益分配分
使用人兼務役員賞与
次の要件の全てを満たしている場合、例外的に損金の額に算入される(法35U)
@ 賞与の受給者が、いわゆる使用人兼務役員であること
A 役員賞与相当分としての賞与が他の使用人に対する賞与の支給時期に支給されていること
B その使用人分としての賞与が他の使用人に対する賞与の支給時期に支給されていること
C その使用人文章よとして損金経理した金額のうち他の使用人に対する賞与の支給状況等に照らしてその使用人としての職務に対する賞与として相当と認められる金額以下の金額であること
使用人賞与
確定決算において利益又は剰余金の処分による経理をしたときは、その経理した金額は損金の額に算入されない(法35V)
退職給与
退職給与の税務会計上の地位
法人の役員又は使用人に対して支給される退職給与、退職年金
→経費項目として損金の額に算入
役員退職給与
→損金控除に一定の規制
→法人が確定決算において損金経理すること
役員退職給与
(1)役員退職給与の意義
退職給与とは、役員又は使用人の退職に起因して支給される一切の臨時的な給与
*名義のいかん、退職給与規定に従って支給されたかどうかを問わない
退職に起因して支給される金品であっても、福利厚生費等の性格を有するものは、退職給与に該当しない
@ 遺族保障料及び遺族手当
A 葬祭料及び香典
B 結婚祝金品
C 帰郷旅費
D 上記@からCまでに準ずるもの
役員に支給するものに対しては、損金控除に関し規制が加えられている
↑
役員退職給与が在任中の功労に対する利益分与としての報奨金の性格を持つこともあり得るため
(2)過大な役員退職給与の損金不算入
損金経理をしなかった金額及び損金経理をした金額で不相当に高額な部分の金額は損金の額に算入されない(法36)
*不相当に高額であるか否かの判断基準〜「功績倍率方式」など
(3)在任中の役員に対する退職給与
分掌変更や改選による再任等に際し退職給与の名目で支給された給与
→賞与
分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合
@ 常勤役員が非常勤役員になったこと
A 取締役が監査役になったこと
B 分掌変更等のあとにおける報酬の額が激変したこと
(4)役員退職給与の損金算入時期
原則〜株主総会等の決議によりその金額が具体的に確定した日の属する事業年度の損金の額となる
特例〜分割して支給されるときは、役員退職給与を支給した事業年度において、その支給額を損金経理した場合にこれが認められる
使用人退職給与
(1)使用人退職給与の損金算入
法人がその使用人に対して支給する退職給与は、原則として損金の額に算入される(法22U)
↑
使用人退職給与が一般に後払い賃金の性格を持つと見られていることによる
(2)在職中の使用人に対する退職給与
退職給与の打切り支給を行った場合などで一定の条件を満たすときは、在職中の使用人に対する退職給与の損金算入が認められる
退職金共済・退職年金の掛金
(1)退職金共済の掛金
退職金共済の掛金は、支出年度の損金に算入される
*納付されない掛金は、未払金として損金に算入することは認められない
退職年金の掛金等
退職年金とは、退職者の生存中、退職後の一定期間あるいは、一定年齢に達するまで、年金形式で支給される退職給付金をいう
適格退職年金契約に基づいて法人が支出した掛金又は保険料は、支出年度の損金に算入
*未払金として損金に算入できない
経済的利益とその区分
経済的利益の範囲
給与に含まれる「債務の免除による利益その他の経済的な利益」
法人が何らかの行為をしたことにより実質的にその役員に対して給与を金銭で支給したと同様の経済的効果をもたらすもの
*株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞、災害見舞等のように純然たる贈与と認められるものは除かれる
給与となる経済的利益とその区分
「経済的利益」が報酬となるか賞与となるか
→「定期の給与」に該当するかどうかにより判定
交際費等
交際費等に対する税制上の規制
交際費等の税務会計上の地位
交際費・・・一般に取引先との人的関係の形成、維持又は教科を通じて販売の拡張や取引の円滑化を図るために支出する事業遂行上の必要な経費
↓
税務上も損金として控除される筋合いのもの
↓
交際費の支出が社会通念上で是認される限度を超え、接待、供応、贈答等が過度になるばかりでなく、私的費用や費途不明金等が混入することも起こり得る
交際費等に対する二重の規制
(1)質的規制・・・支出内容に対する規制
損金性を持ち得る交際費・機密費・接待費など
→支出の事実や費途が明らかなもの、その費途が事実に関係のあるもの
損金として認められない交際費
→費途不明及び法人の業務に関係のない交際費、渡切り交際費
(2)量的規制
法人が支出した交際費等につき所定の方式で計算した金額の損金控除を認めない
↑
国民経済的に見て消費的、非生産的な性格を持っているため
原則〜支出交際費等の金額を損金不算入(交際費金額否認体制)
交際費等の意義
交際費等の概念構成
交際費等とは、交際費、接待費、機密砒素の他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のあるもの等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう(措61の4V)
交際費等の支出にかかる行為の相手方の範囲
得意先、仕入先その他事業に関係ある者等
・ 間接にその法人の利害に関係ある者及びその法人の役員、従業員、株主等も含まれる
・ 取引関係のあるものには、将来取引関係をもつ可能性のあるものも含まれる
・ 間接的な利害関係者(取引の当事者でない金融機関・証券会社・経済雑誌社の社員)
税務上の交際費等の概念の特異性
交際費の要件
@ 接待、供応、慰安のほか、贈答その他これらに類する行為に支出するものであること
A 支出の相手方は、得意先、仕入先等のように直接取引関係にあるもの、その他法人の事業に関節に利害関係のあるもの及び役員、従業員、株主まで拡大されていること
→税務上の交際費等の範囲のほうが一般でいわれるものよりもはるかに広い
交際費等の範囲
交際費等の範囲に含まれる費用
交際費等の概念に関する規定に基づいて判断
交際費等の範囲から除かれる費用
@ もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行等のために通常要する費用
A カレンダー・手帳・扇子・うちわ・手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
B 会議に関連して、茶菓子・弁当その他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
C 新聞・雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
交際費等と隣接費用との区分
(1) 社内会議費・商談会議費・招待会議費との区分
(2) 現地案内費・旅行案内費・展示会招待費・工場見学費との区分
(3) 模型作成費との区分
(4) 業務委託費との区分
(5) 給与との区分
(6) 寄付金との区分
→「通常要する費用」であるかどうか
交際費等の損金不算入
交際費等の損金不算入額の計算
全額が損金不算入
*資本金5000万円以下の中小法人
→定額控除限度額を超える部分の金額と定額控除限度額以下の部分の10%相当額の合計額が損金不算入
交際費税制の問題点
損金控除の認定基準の不明確さをめぐる問題点
画一的な量的規制による交際費課税方式の問題点
販売促進費
販売促進費の意義と種類
販売促進費とは、生産者の供給を消費者の需要に有効に結び付けて売上増進を図るために展開するマーケティング活動としての販売促進(セールス・プロモーション)に要する諸経費をいう
景品費
景品費の意義
景品費とは、景品付販売、景品引換券付販売、又は抽選券付販売等により景品を交付するために要する費用(一般に広告宣伝費の一種)
→交際費等に該当するものを除いて全面的に損金性が認められる
景品費と交際費等との区分
@ その景品が小額(おおむね3000円以下)物品であること
A その種類及び金額が製造業者等で確認できるものであること
景品費の損金算入時期
(1)抽選券付販売に要する景品費
原則〜抽選券の引換請求日または旅行等の実施日
特例〜抽選日
(2)金品引換券付販売に要する景品費
原則〜引換日
特例〜販売日の属する事業年度における引換未了分についての損金経理による未払金計上
景品費の損金帰属の時期をめぐる問題点
「法的認識基準」(法律上の債務が確定)と「会計的認識基準」(収益費用の対応の原則)との調和をどう図るか
売上割戻し
売上割戻しの意義
売上割戻しとは、一定期間に多額又は多量の取引をした得意先に対する売上代金の返戻額等をいう
→損金控除性が認められている
*財務会計上〜総売上高の控除項目
売上割戻しと交際費等との区分
一定の基準により金銭で支出する売上割戻し
→交際費等に該当しない
物品の交付に当てられるもの、および旅行・観劇等への招待の費用に充てられるもの
→交際費
売上割戻しの計上時期
@ 一般の売上割戻し
算定基準が決まっている
原則〜商品等の販売日
特例〜割戻し額の通知日又は支払日
以外
原則〜割戻し額の通知日又は支払日
特例〜商品等の販売日
A 特約付売上割戻し
原則〜現実の支払日
特例〜実質的に相手方に利益を享受させることとした日
広告宣伝費
広告宣伝費
広告宣伝費は、一般には、生産者から消費者にいたる製品・商品・サービスの流れを直接的または間接的に方向付け、販売を促進するために諸種の媒体を利用して行う広告宣伝活動に要する費用
不特定多数のものに対する宣伝効果を意図するもの
広告宣伝費と交際費等との区分
金品の交付、旅行等への招待又は飲食物の供与といった行為のための支出
↓
不特定多数のものに対する宣伝効果を意図するものは広告宣伝費の性質を有する
広告宣伝費と寄付金との区分
一般消費者に金品を交付するための費用(贈与の形態)
↓
経済的・実質的な内容が広告宣伝のためのもの
広告宣伝費の損金算入時期
(1)経常的な広告宣伝活動
→支出時の費用
(2)前払費用としての広告宣伝費
→支出年度の翌年度以降の損金の額
(3)繰延資産としての広告宣伝費
支出の効果が1年以上に及ぶもの(開業準備費等)
→数年度の償却として損金の額に算入することが認められる
(4)固定資産に化体した広告宣伝費
→減価償却費として各年度に配分
特殊な販売促進費
販売奨励金・販売報奨金
原則〜損金算入
情報提供量
原則〜損金算入
寄付金
寄付金の損金算入の規制の趣旨
寄付金の性格と損金控除規制
一定の金額(損金算入限度額)を超える部分の金額は、損金に算入されない(法37U)
「寄付金」〜法人の事業と直接関係なく、任意に、しかも対価の授受がなく、無償で提供した財産的価値
↑
部分的には利益の分配に近い性格
租税負担回避のための意図的な寄付金支出を誘発
↓
寄付金の損金算入に対する規制措置
形式基準による損金算入限度額の設定
寄付金の意義と範囲
寄付金の意義
寄付金とは、寄付金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が行った金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をいうものとされている(法37Y)
時価よりも低い価額で資産を譲渡し、又は経済的な利益を供与したときは、その時価と対価との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる部分の金額も、寄付金の額に含まれる(法37Z)
寄付金の範囲
(1)寄付金とならないもの
@ 子会社等を整理する場合の損失負担
A 合理的な理由による無利息貸付等
B 個人の負担すべき寄付金
C 資産の取得価額を構成する寄付金
(2)寄付金となるもの
@ 公益法人等が収益事業から公益事業へ支出した金銭
A 公益信託の信託財産とするために支出した金銭
B 金銭でなされた支出
(a)社会事業団体、政治団体に対する献金
(b)神社の祭礼等への寄贈金
寄付金の計上時期
支出した寄付金
→未払金として計上する経理は認められない
→仮払金で経理した寄付金は、支払った年度の寄付金とされる
↑
贈与の取消自由性に着目→意図的に未払寄付金等を計上するという手段による租税回避の防止を狙ったもの
寄付金の区分
寄付金の区分
(1)一般の寄付金
(2)特定公益増進法人に対する寄付金
ex日本育英会、日本赤十字社、学校法人、社会福祉法人
(3)国等に対する寄付金
*寄付によって特別の利益を受けることとなるとめとめられる場合を除く
(4)指定寄付金
(@)広く一般に募集されること
(A)教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること
財務大臣が指定したもの
租税公課
租税公課の意義と損金性
租税公課〜国又は地方公共団体がその活動に要する資金の調達や公共政策の遂行などを目的として無償で国民から強制的に弔する貨幣
ex全ての本税、付帯税、罰科金、課徴税、賦課税
原則〜損金性を有する
ある種の租税公課〜損金性否定
損金不算入の租税公課
損金不算入の租税公課の範囲
(1)法人税
@ 各事業年度の所得に対する法人税及び清算所得に対する法人税の本税(法38T)
A 全ての法人税の延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税(法38T)
(2)法人税以外の国税
@ 公益法人等または医療法人が納付する贈与税及び相続税
A 法人税以外の国税にかかる延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税並びに印紙税法上の過怠税
(3)地方税
@ 都道府県民税及び市町村民税
A 地方税法上の延滞金、過少申告加算金、無申告加算金及び重加算金
(4)罰科金
罰金及び科料ならびに過料
(5)課徴金等
@ 国民生活安定緊急措置法上の課徴金及び延滞金
A 独占禁止法上の課徴金及び延滞金
(6)その他
@ 第2次納税義務にかかる国税または地方税の納付
A 法人税額から控除する所得税額
B 法人税額から控除する外国税額
損金不算入の理由
(1)法人税・住民税
所得処分説
法人税・住民税は、所得を課税対象とし、本来その所得のうちから支払われることを前提とした租税であるから、所得の計算要素になりえないという考え方
所得波動説
法人税額・住民税額を損金の額に算入すると、所得金額が減少して循環的に波動が生じ、税収が不安定になるので租税政策上好ましくないという考え方
(2)延滞税、各種加算税・罰科金等
損金算入を許容するとしたなら、反社会的な行為に対する制裁ないし罰の効果が法人税額等の縮減によって減殺され、国が租税公課の一部の支払を負担した結果となるから
(3)税額控除を選択した場合の所得税額・外国税額
損金控除と税額控除との二重の控除を排除するため
損金算入の租税公課
損金算入の租税公課の例示
(1)国税
@ 退職年金等積立金に対する法人税の本税
A 過大還付加算金に相当する法人税
B 利子税
C 税額控除を選択しなかった場合の所得税額
D 地価税、消費税、登録免許税、有価証券取引税、印紙税
(2)地方税
@ 退職年金等積立金に対する法人税にかかる住民税
A 納期限延長の場合の延滞金
B 事業税
C 不動産取得税、自動車税、自動車取得税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税、都市計画税
(3)外国税
税額控除を選択しなかった場合の外国法人税額
(4)その他
公害健康被害補償法上の賦課金、身体障害者雇用促進法上の納付金
租税公課の損金算入時期
原則〜債務確定日の属する事業年度の損金の額に算入
事業税の損金算入時期の特例
原則〜当期の損金の額に算入されない
↓
中間申告分の事業税〜当期の損金算入←債務確定基準
↓
前期確定分の事業税〜当期の損金の額に算入
消費税の損金算入時期
税込経理による場合の損金算入時期
税抜経理方式〜損金に関係させない
税込経理方式〜納税申告書が提出された日の年度の損金の額に算入
*申告期限未到来の消費税額を損金経理により未払金に計上したときは、損金経理をした年度の損金の額に算入される
地価税の損金算入時期
原則〜納税申告書が提出された日の属する事業年度
貸倒損失
貸倒れの認定に関する基本的な考え方
売掛金、貸付金その他の債権の貸倒れ償却による損失→損金の額に算入
*貸金等の評価換えによる帳簿価額を減額した場合→×
貸倒認定基準の構成と考え方
法律的な意味での貸倒れの認定基準
ex貸金等の切捨て
経済的な意味での貸倒れの認定基準
ex回収不能の貸金等の貸倒、一定期間取引停止後弁済がない場合
↓
法律上または事実上、回収不能になったことが実質的に確認される状態→厳格
↓
緩和的措置
↓
債権償却特別勘定
貸倒れの確定的認定基準
確定的認定基準による貸倒償却
@ 貸金等の金額が回収不能の場合(法律的には存在している貸金等が経済的に無価値化した場合の貸倒償却の容認)
A 貸金等の全部または一部の切捨てをした場合(特定の事実の発生に伴う貸金等の切捨てによりその切捨て部分が法律的に消滅した場合の貸倒償却の強制)
B 売掛債権につき、(@)一定期間取引停止後弁済がない場合、(A)債権額が回収費に満たない場合(特定の状況のもとで売掛債権が経済的に無価値化したとみなされる場合の貸倒償却の容認)
貸倒れの暫定的認定基準
暫定的貸倒認定基準の導入の趣旨
貸金等が回収不能か否かの実質判断は困難な場合が多い
↓
緩和措置
↓
所定の条件のもとに、その貸金等の一部を暫定的に貸倒れとして認め、債権償却特別勘定として経理
債権償却特別勘定の設定・積増し
@ 税務当局の認定による場合
A 形式基準による場合
B 貸金等の長期棚上げの場合
C 状況が変化した場合
債権償却特別勘定の充当・取崩し
弁済があった場合の充当
第1順位・・・債権償却特別勘定の金額に相当する部分以外の部分
第2順位・・・債権償却特別勘定の金額に相当する部分
第3順位・・・質権等によって担保されてる部分・金融機関によって保障されている部分
債権償却特別勘定の取崩し(益金算入額)
@ 貸金等うち内債権償却特別勘定の金額に相当する部分について弁済を受けた場合
⇒その部分について弁済を受けた金額
A その貸金等について貸倒れが生じた場合
⇒その貸倒れによる損失の額
B 外国からの利子、配当等について送金が許可された場合
⇒その許可された金額
C 形式基準による設定のときの申立てにつき取下げ・棄却または却下が行われた場合
⇒その債権償却特別勘定の金額
福利厚生費・保険料・その他の費用
福利厚生費
福利厚生費の意義
企業が国の社会政策及び独自の労務政策に基づき従業員の福利、構成のために負担する費用
・法定福利費〜健康保険、公税年金保険、労働保険等の保険料や掛金等のうちの事業主負担分
・法廷外の福利厚生費
(1)食堂・社宅の設置・運営等に要する費用
(2)従業員の親睦慰安のための運動会・旅行等の費用
(3)従業員の慶 ・禍福に際して支給する金品の費用
(4)永年勤続・改善提案等をしたものに与える金品の費用
福利厚生費の損金算入
法定福利費
損金算入
所定の事業主負担分を超えて負担した場合のその超過分
→原則:給与
法定外の福利厚生費
損金算入
実質的な異様に照らして役員給与または交際費等とされるもの
→損金控除規制
福利厚生費と給与との区分
P175表17−1参照
福利厚生費と交際費との区分
P177表17−2参照
保険料
生命保険料(P178図17−1)
@ 養老保険
A 定期保険
B 定期付養老保険
C 傷害特約等
損害保険料(P178図17−2)
その他の費用
海外渡航料(P178図17−3)
法人が役員または使用人等の海外渡航に際して支給する各種運賃、宿泊費、日当、支度金等からなる旅費
会費・入会金費(P180図17−4)
それぞれのケースにおける入会形態や支出内容等により、給与、福利厚生費、交際費等、寄付金、前払費用、資産等として処理
支払リース料(P181、182図17−5)
一般の賃貸借と異ならないリース取引
原則:支払期日の属する年度の損金の額に算入
税務上のリース取引
図参照
損害賠償金(P183図17−6)
損金性を有する損害賠償金
原則:賠償額の確定日に損金算入
特例:相手方に申し出た金額について、未払金計上による損金算入を認める
前払費用・消耗品費等
前払費用
原則:前払費用として資産計上
特例:短期の前払費用についてその支払額を継続して支払日に損金の額に算入しているとき→○
消耗品費等
特例:経常的につきその取得費用の額を継続して取得日に損金の額に算入しているとき→○
新規取得土地等に係る負債利子
1988年〜1996年終了のため省略
税務資産会計
有価証券
有価証券の意義と範囲
財産権を表章する証券(小切手・手形・株券・再建・貨物引換証権・倉庫証券・船荷証券・商品券等)
*税務上〜投資の対象とするものに限定
有価証券の取得価額
取得の態様と取得価額
@ 払込により取得した場合・・・払込金額
A 有利な発行価額により取得した場合・・・払込期日における価額
B 購入した場合・・・購入代価
C 合併または出資により受け入れた場合・・・受入価額
D @〜C以外の方法により取得した場合・・・取得時に通常要する価額
身代わり株式等の取得価額
*身代わり株式〜発行法人の株式の分割・併合及び他方人との合併により、旧株の代わりに取得した新株
旧株の帳簿価額を新株の取得価額に付け替え、あるいは、旧株の帳簿価額と新株の取得価額を平均して新旧1株あたりの取得価額を計算
有価証券の譲渡損益
譲渡価額(譲渡収益)から譲渡原価途上と経費を差し引いて計算
有価証券の評価方法(改正の為、省略)
有価証券の評価損益(改正の為、省略)
棚卸資産
棚卸資産の意義と範囲
棚卸資産の意義
販売または消費するために保有する財貨または用役
非貨幣性資産に属する典型的な費用性資産
税務上の棚卸資産の範囲
@ 商品または製品(副産物および作業くずを含む)
A 半製品
B 仕掛品(半成工事を含む)
C 主要原材料
D 補助原材料
E 消耗品で貯蔵中のもの
F 上記の資産に準ずるもの
棚卸資産の取得価額
購入した棚卸資産の取得価額
(1)取得価額の基本構成(P196図19−1)
購入代価にそれを消費または販売する為に直接要した費用を加算した金額
(2)取得価額への任意算入項目(P196図19−2)
(3)見積価額と確定購入代価の調整
見積価額を用いて取得価額を算出
↓その後、購入代価確定
差額相当額は、購入代価確定日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入
製造等した棚卸資産の取得価額
(1)取得価額の基本構成(P197図19−3)
製造原価の額に、それを消費また販売するために直接要した費用を加算した金額
(2)取得価額への任意算入項目(P198図19−4)
(3)製造間接費の製造原価への配付の特例
事業規模が小規模である等のため製造間接費を配賦することが困難である
↓
全額を製品の製造原価にだけ配賦することが認められている
合併・出資により受け入れた棚卸資産の取得価額
受入価額にそれを消費または販売するために直接要した費用を加算した金額
*受入価額が仕入時価を超える場合は、その仕入時価をもって取得価額とする
交換等により受け入れた棚卸資産の取得価額
取得のために通常要する価額(仕入時価)にそれを消費または販売するために直接要した費用を加算した金額
棚卸資産の期末評価
棚卸資産の原価配分と期末評価
(1)払出価額基準法
期首繰越価額+当期受入価額−当期払出価額=期末評価額
→損益法を背景
(2)期末評価基準法
期首繰越価額+当期受入価額−期末評価額=当期払出価額
→財産法を背景
(3)払出価額・期末評価額相互独自決定法
棚卸資産の払出価額と期末評価価額をそれぞれ別個に直接算定する方法
*税務上の棚卸資産の原価配分は、(2)の方法に立脚している
棚卸資産期末数量の決定方法
(1)継続記録法
棚卸資産の受入・払戻の都度帳簿その他に逐一記録し、肌末残存数量を把握する方法
(2)棚卸計算法
期末に実地棚卸を行うことにより期末棚卸数量をじ際に把握する方法
税務上は、期末の実地棚卸を行うことが原則として要求されている
↓業種、業態により
部分計画的棚卸その他の合理的な方法も継続適用を条件として認められる
棚卸資産の評価方法
原価法
個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、単純平均法、最終仕入原価法、売価還元法
低価法
洗替え低価法、切放し低価法
税務署長の承認を得た特別な評価方法
原価法
原価法の意義
原価法は、期末棚卸資産を取得価額で評価する方法
個別法
期末棚卸資産の全部について、そのここの実際の取得価額をその取得価額とする方法
*通常一の取引によって大量に取得し、かつ、規格に応じて価額が定められているものについては選定することはできない
↑
払出順序の操作による租税回避を防止するため
続きはありますが時間のあるときに追加します。